エイラは、双子の姉ヒュラと共にアイドルユニット「ツインズ・スター」として活動していた。完璧な容姿と歌声を持つヒュラに対し、エイラは影の存在。それでも、ヒュラとステージに立つ時、エイラの胸には激しい高鳴りが広がり、心臓はけたたましく鼓動していた。それは、憧れであり、嫉妬であり、そして深い愛だった。

ある日、新しい楽曲「シンセサイザー・ラプソディー」が提供された。複雑なシンセサウンドが特徴的な、聴く者の心を揺さぶる曲だった。しかし、その曲はヒュラをメインに据えたソロ曲。エイラは、初めて自分の存在意義を問われる。

ジェミラとユイラ、もう一つの双子ユニット「デュアル・ムーン」が台頭してきた。彼女たちは、シンセサウンドを駆使した斬新なパフォーマンスで人気を急上昇させていた。エイラは、自分たちのユニットが埋もれていく恐怖を感じ、ヒュラに自分の気持ちを訴えた。

「私にも、もっとシンセの音を感じたい！歌いたい！」

ヒュラは、冷たく言い放った。「あなたは、私のサポート役。それだけよ。」その言葉は、エイラの心を深くえぐり、二人の関係は完全に破綻した。エイラの胸の高鳴りは、もはや憧れや愛ではなく、絶望と怒りに塗り替えられていた。

エイラは、一人で「シンセサイザー・ラプソディー」を練習し、独自の解釈を加え、ヒュラを超えるパフォーマンスを目指した。しかし、その舞台は、エイラにとって最後のステージとなった。過度な練習による疲労と、ヒュラへの憎しみ、そして激しい鼓動が、舞台上でエイラを襲い、彼女は倒れ、二度と立ち上がることができなかった。 シンセサイザーの音だけが、静かに会場に響き渡っていた。 ツインズ・スターは、その日、消滅した。