マルマルちゃんとバツバツ君
授業が終わり、なんとなく帰る気になれずに2階の渡り廊下の窓から外を眺めていた。
風が気持ち良い。
すると、
「ねえ、マコちゃん。今度のデートなんだけど……」
渡り廊下の下から男子生徒の声が聞こえてきた。
恋人同士のやり取りかな?
盗み聞きするつもりはなくても、勝手に聞こえて来る。
それにしてもこの声、聞いたことがあるような……。
女子生徒の返事を静かに待っていると、
「デート?」
しっくり来ていない様子の声。
この調子だと振られるな。
「だって約束したよね?」
「えー、してないよ。もしかしてあの言葉、本気にしちゃった?」
結果は予想通り。
これは恋人同士のやり取りではなかった。
少しだけ男子生徒が不憫に思えた。
「そ、そんな……」
「用ってそれだけ?私もう行くね」
「ま、待って!」
男子生徒の掛け声も虚しく、1人分の足音が遠ざかる。
では振られたばかりの男子生徒の顔を拝もうか。
私は少しだけ窓から身を乗り出すと、そこには矢巾君がいた。
チャラいって噂は本当だったんだ。
しかも、今日はサヤカちゃん?だっけ、教室で口説いていたのに、その子じゃない子とデートをしようとしていたのか。
どんまい、と心の中で呟いていると、不意に矢巾君が上を見上げた。
「あっ……」
バッチリと視線が合う。
気まずい……。
いやいや、こんな誰にでも聞かれる場所でやり取りをしていた矢巾君が悪い。
目を逸らした方が負け。
なんとなくそう思って逸らさずにいると、
「聞いてたー?」
矢巾君は声を張り上げて、意外なことを聞いてきた。
素直に答えても良いものか。
そう言えば、今朝は頑固って言われたんだっけ?
誤魔化せる気もしないし、ここは素直な一面でも見せてやろう。
「聞いたー!」
なぜか上から目線で私は答えた。
実際にこちらは2階にいるのだから、上からには変わりないけれど。
「それなら話が早いわ。○○さーん!俺とデートしない?」
……は?
今なんて言った?
デート?
私と矢巾君が?
本気なの?
矢巾君が声をかけていたサヤカちゃんと、顔は見ていないけどマコちゃんと言う子、絶対に私と系統が違う。
からかっているに決まっている。
気軽にそんな風に誘わないでよ。
だから、答えは決まっている。
「バッカじゃないの!」
そう言い捨てて私は矢巾君から逃げた。
あーあ、せっかく素直になれたと思ったのに。
本当は嬉しかったくせに。
自分が嫌になっちゃう。
風が気持ち良い。
すると、
「ねえ、マコちゃん。今度のデートなんだけど……」
渡り廊下の下から男子生徒の声が聞こえてきた。
恋人同士のやり取りかな?
盗み聞きするつもりはなくても、勝手に聞こえて来る。
それにしてもこの声、聞いたことがあるような……。
女子生徒の返事を静かに待っていると、
「デート?」
しっくり来ていない様子の声。
この調子だと振られるな。
「だって約束したよね?」
「えー、してないよ。もしかしてあの言葉、本気にしちゃった?」
結果は予想通り。
これは恋人同士のやり取りではなかった。
少しだけ男子生徒が不憫に思えた。
「そ、そんな……」
「用ってそれだけ?私もう行くね」
「ま、待って!」
男子生徒の掛け声も虚しく、1人分の足音が遠ざかる。
では振られたばかりの男子生徒の顔を拝もうか。
私は少しだけ窓から身を乗り出すと、そこには矢巾君がいた。
チャラいって噂は本当だったんだ。
しかも、今日はサヤカちゃん?だっけ、教室で口説いていたのに、その子じゃない子とデートをしようとしていたのか。
どんまい、と心の中で呟いていると、不意に矢巾君が上を見上げた。
「あっ……」
バッチリと視線が合う。
気まずい……。
いやいや、こんな誰にでも聞かれる場所でやり取りをしていた矢巾君が悪い。
目を逸らした方が負け。
なんとなくそう思って逸らさずにいると、
「聞いてたー?」
矢巾君は声を張り上げて、意外なことを聞いてきた。
素直に答えても良いものか。
そう言えば、今朝は頑固って言われたんだっけ?
誤魔化せる気もしないし、ここは素直な一面でも見せてやろう。
「聞いたー!」
なぜか上から目線で私は答えた。
実際にこちらは2階にいるのだから、上からには変わりないけれど。
「それなら話が早いわ。○○さーん!俺とデートしない?」
……は?
今なんて言った?
デート?
私と矢巾君が?
本気なの?
矢巾君が声をかけていたサヤカちゃんと、顔は見ていないけどマコちゃんと言う子、絶対に私と系統が違う。
からかっているに決まっている。
気軽にそんな風に誘わないでよ。
だから、答えは決まっている。
「バッカじゃないの!」
そう言い捨てて私は矢巾君から逃げた。
あーあ、せっかく素直になれたと思ったのに。
本当は嬉しかったくせに。
自分が嫌になっちゃう。
このボタンは廃止予定です