マルマルちゃんとバツバツ君
ーーおまけ(古森side)ーー
席替えをしてから気が付いたことがある。
それは後ろの席の○○さんが不器用だってこと。
やたら後ろから“あっ”と焦るような声や、“ぐっ”と苦戦する声が聞こえるから。
あまりにも頻度が多いものだから、俺はついつい世話を焼いてしまう。
その度に恥ずかしそうにお礼を言う彼女が可愛いものだから、俺も嬉しくなって些細なことまで気に掛けるようになった。
さすがに自分で投げたボールに当たるなんて芸を見せられたときには、驚いて助けるどころじゃなかったけれど。
ーーーー
ある日、俺がやたら○○さんを気に掛けるからか、クラスの女子から、
「ちょっと古森君、これ運ぶの手伝ってくれない?」
「これ、一緒にやらない?」
「古森君助けてー!!」
なんて、ちょっとした助けを求められるようになった。
別に手が空いていればいいけれど、わざわざ俺を探し出して頼んでくるのは違うと思った。
そのくらいなら一人でも大丈夫なんじゃないの?って。
そう思ったとき、俺はハッとした。
○○さんのドジっぷりも見る人によっては俺がさっき思ったように感じることを。
だけど○○さんに対しては微塵も煩わしいとは思わなかった。
おそらくこの感情は世話を焼きたい以上の感情があるから。
それに気付いてから一緒に帰る機会がやってきた。
なにか、なにか○○さんと仲良くなれるきっかけはないか。
そんなことを考えていたけれど、結局大した話ができないまま分かれ道に差し掛かった。
「じゃあ、俺こっちだから。また明日ね」
「うん…………」
残念がっていると、不意に○○さんに呼び止められた。
「あの……こんなこと言うの、心苦しいんだけど……」
苦虫を噛み潰したような表情の○○さん。
きっと良い話じゃないんだろう。
だけど俺はゆっくりでいいよ、と落ち着かせた。
そしてようやく出た言葉は、
「古森君、もう私の世話を焼かなくていいよ」
良かれと思ってやっていた行動がまさか○○さんにとって負担になっていたとは。
迷惑を掛けていたことにも、こんなことを言わせてしまったことにも申し訳なくなった。
そんな俺に、
「古森君は悪くないの」
と、気を遣ってくれる○○さん。
しかし、よくよく話を聞いていると、彼女は何か思い違いをしているようだった。
俺が皆に親切?そんな風に見えていたの?
「俺、誰にでも優しいワケじゃないよ」
どうやら聖臣に世話を焼くことや、連日のクラスメイトのやり取りを見てそう思ったらしい。
だとして、何故彼女は自分に世話を焼かなくてもいい、と言った?
俺の勘違いでなければ○○さんも俺のことが……。
それならば、と分かりやすいように思いを伝えた。
「不器用なりに一生懸命なところとか、放っておけないなって思うようになって。○○さんが良ければ、これからも世話を焼かせてもらえないかな?」
「ありがとう。だけど、やっぱりお世話はもういいかな」
あれ、もしかして告白だって気付いていない?
そんな俺の態度を見てか、○○さんは慌てて付け足した。
「あのね!嫌じゃなかったし、むしろ嬉しかったから!だけど頼りっぱなしだと私は成長できない気がして」
なんだか○○さんらしいと思った。
むしろ、そんな頑張っている彼女に惹かれたことを再確認できた。
「分かった。でも、どうしても助けが必要になったら、いつでも言って」
「うん。そのときはよろしくね!」
結局最後まで俺の告白に気が付かなかった○○さん。
ひょっとして手先だけじゃなくて、性格も不器用なのかもしれない。
だけど、清々しい表情をした彼女を見ると、今はいいかな、と思った。
これからゆっくり口説いていけば良い。
席替えをしてから気が付いたことがある。
それは後ろの席の○○さんが不器用だってこと。
やたら後ろから“あっ”と焦るような声や、“ぐっ”と苦戦する声が聞こえるから。
あまりにも頻度が多いものだから、俺はついつい世話を焼いてしまう。
その度に恥ずかしそうにお礼を言う彼女が可愛いものだから、俺も嬉しくなって些細なことまで気に掛けるようになった。
さすがに自分で投げたボールに当たるなんて芸を見せられたときには、驚いて助けるどころじゃなかったけれど。
ーーーー
ある日、俺がやたら○○さんを気に掛けるからか、クラスの女子から、
「ちょっと古森君、これ運ぶの手伝ってくれない?」
「これ、一緒にやらない?」
「古森君助けてー!!」
なんて、ちょっとした助けを求められるようになった。
別に手が空いていればいいけれど、わざわざ俺を探し出して頼んでくるのは違うと思った。
そのくらいなら一人でも大丈夫なんじゃないの?って。
そう思ったとき、俺はハッとした。
○○さんのドジっぷりも見る人によっては俺がさっき思ったように感じることを。
だけど○○さんに対しては微塵も煩わしいとは思わなかった。
おそらくこの感情は世話を焼きたい以上の感情があるから。
それに気付いてから一緒に帰る機会がやってきた。
なにか、なにか○○さんと仲良くなれるきっかけはないか。
そんなことを考えていたけれど、結局大した話ができないまま分かれ道に差し掛かった。
「じゃあ、俺こっちだから。また明日ね」
「うん…………」
残念がっていると、不意に○○さんに呼び止められた。
「あの……こんなこと言うの、心苦しいんだけど……」
苦虫を噛み潰したような表情の○○さん。
きっと良い話じゃないんだろう。
だけど俺はゆっくりでいいよ、と落ち着かせた。
そしてようやく出た言葉は、
「古森君、もう私の世話を焼かなくていいよ」
良かれと思ってやっていた行動がまさか○○さんにとって負担になっていたとは。
迷惑を掛けていたことにも、こんなことを言わせてしまったことにも申し訳なくなった。
そんな俺に、
「古森君は悪くないの」
と、気を遣ってくれる○○さん。
しかし、よくよく話を聞いていると、彼女は何か思い違いをしているようだった。
俺が皆に親切?そんな風に見えていたの?
「俺、誰にでも優しいワケじゃないよ」
どうやら聖臣に世話を焼くことや、連日のクラスメイトのやり取りを見てそう思ったらしい。
だとして、何故彼女は自分に世話を焼かなくてもいい、と言った?
俺の勘違いでなければ○○さんも俺のことが……。
それならば、と分かりやすいように思いを伝えた。
「不器用なりに一生懸命なところとか、放っておけないなって思うようになって。○○さんが良ければ、これからも世話を焼かせてもらえないかな?」
「ありがとう。だけど、やっぱりお世話はもういいかな」
あれ、もしかして告白だって気付いていない?
そんな俺の態度を見てか、○○さんは慌てて付け足した。
「あのね!嫌じゃなかったし、むしろ嬉しかったから!だけど頼りっぱなしだと私は成長できない気がして」
なんだか○○さんらしいと思った。
むしろ、そんな頑張っている彼女に惹かれたことを再確認できた。
「分かった。でも、どうしても助けが必要になったら、いつでも言って」
「うん。そのときはよろしくね!」
結局最後まで俺の告白に気が付かなかった○○さん。
ひょっとして手先だけじゃなくて、性格も不器用なのかもしれない。
だけど、清々しい表情をした彼女を見ると、今はいいかな、と思った。
これからゆっくり口説いていけば良い。
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