マルマルちゃんとバツバツ君
部活が終わり、ナオちゃんと帰ろうとしていると、
「あ、○○さんたちも今帰り?」
声のした方へ振り向くと、そこには古森君と縮こまっている佐久早君がいた。
なんでこんなタイミングで会うのかな。
なんとなく気まずい空気の中、一番に口を開いたのはナオちゃんだった。
「あ、私今日は急いで帰らないといけなかった!古森、良かったら私の代わりに●●と帰ってよ」
「え、それは構わないけど……」
「じゃあ、よろしく!またね●●」
ナオちゃんは私にだけ見えるようにウインクをして足早に去っていった。
気を利かせなくてもいいのに。
告白なんかしないから。
そうこうしているうちに、
「俺も今日は寄るところがあるから」
何故か事情を知らないはずの佐久早君もそんな事を言って、私たちの帰る方とは逆の方向へと歩いていった。
「行っちゃった……」
「聖臣、ドラッグストアで除菌アイテムを買いたいんだって」
そう言えば潔癖だって言っていたっけ。
「俺と2人きりになっちゃってごめんね」
「ううん、そんなことない!」
むしろ嬉しいと言うか……。
「それなら良かった!俺たちも帰ろうか!」
「うん」
せっかくの機会だから、古森君にあの事を伝えないと。
タイミングを見計らっていると、いつの間にか分かれ道に到着していた。
「じゃあ、俺こっちだから。また明日ね」
「うん…………あのっ!」
背を向けた古森君を呼び止めた。
「何、○○さん?」
「あの……こんなこと言うの、心苦しいんだけど……」
言葉に詰まる私を古森君はゆっくりでいいよ、と待ってくれた。
「古森君、もう私の世話を焼かなくていいよ」
そんなに親切にされると好きが止まらなくなっちゃうから。
「急にどうしたの?俺、お節介だった?」
「ううん。古森君は悪くないの。だけど皆に親切にすると勘違いされちゃうよ。私みたいなのとかに」
「…………」
「だから……」
「俺、誰にでも優しいワケじゃないよ」
「え、だって佐久早君とか今日のノートを運ぶのだって」
「あれ、知らなかったっけ?聖臣は俺の従兄弟。あいつ超ッッッ絶ネガティブたから俺がフォローしてやらないとって」
もしかして、以前ナオちゃんが言いかけていたことってこのこと?
「ノートの件も頼まれたから一緒に運んでいただけで……。言い方悪いけど自分から手伝ったワケじゃないから」
「それならなんで私なんかを」
「俺、○○さんと仲良くなりたくて。だけど、どうすればいいか分からなかったから世話を焼いていた」
私と仲良くするのに、そんなに難しく考えなくていいのに。
「とにかく好かれたいから尽くそうって。だから俺は○○さんが思っているほど親切じゃない。打算的なんだよ」
「古森君……」
「不器用なりに一生懸命なところとか、放っておけないなって思うようになって。○○さんが良ければ、これからも世話を焼かせてもらえないかな?」
「ありがとう。だけど、やっぱりお世話はもういいかな」
「そっか……」
あからさまにシュンとしてしまった古森君。
言葉足らずなことに気が付いて、私は慌てて付け足した。
「あのね!嫌じゃなかったし、むしろ嬉しかったから!だけど頼りっぱなしだと私は成長できない気がして」
「分かった。でも、どうしても助けが必要になったら、いつでも言って」
「うん。そのときはよろしくね!」
言いたいことが言えて清々しい気持ちになった。
ーーFinーー
「あ、○○さんたちも今帰り?」
声のした方へ振り向くと、そこには古森君と縮こまっている佐久早君がいた。
なんでこんなタイミングで会うのかな。
なんとなく気まずい空気の中、一番に口を開いたのはナオちゃんだった。
「あ、私今日は急いで帰らないといけなかった!古森、良かったら私の代わりに●●と帰ってよ」
「え、それは構わないけど……」
「じゃあ、よろしく!またね●●」
ナオちゃんは私にだけ見えるようにウインクをして足早に去っていった。
気を利かせなくてもいいのに。
告白なんかしないから。
そうこうしているうちに、
「俺も今日は寄るところがあるから」
何故か事情を知らないはずの佐久早君もそんな事を言って、私たちの帰る方とは逆の方向へと歩いていった。
「行っちゃった……」
「聖臣、ドラッグストアで除菌アイテムを買いたいんだって」
そう言えば潔癖だって言っていたっけ。
「俺と2人きりになっちゃってごめんね」
「ううん、そんなことない!」
むしろ嬉しいと言うか……。
「それなら良かった!俺たちも帰ろうか!」
「うん」
せっかくの機会だから、古森君にあの事を伝えないと。
タイミングを見計らっていると、いつの間にか分かれ道に到着していた。
「じゃあ、俺こっちだから。また明日ね」
「うん…………あのっ!」
背を向けた古森君を呼び止めた。
「何、○○さん?」
「あの……こんなこと言うの、心苦しいんだけど……」
言葉に詰まる私を古森君はゆっくりでいいよ、と待ってくれた。
「古森君、もう私の世話を焼かなくていいよ」
そんなに親切にされると好きが止まらなくなっちゃうから。
「急にどうしたの?俺、お節介だった?」
「ううん。古森君は悪くないの。だけど皆に親切にすると勘違いされちゃうよ。私みたいなのとかに」
「…………」
「だから……」
「俺、誰にでも優しいワケじゃないよ」
「え、だって佐久早君とか今日のノートを運ぶのだって」
「あれ、知らなかったっけ?聖臣は俺の従兄弟。あいつ超ッッッ絶ネガティブたから俺がフォローしてやらないとって」
もしかして、以前ナオちゃんが言いかけていたことってこのこと?
「ノートの件も頼まれたから一緒に運んでいただけで……。言い方悪いけど自分から手伝ったワケじゃないから」
「それならなんで私なんかを」
「俺、○○さんと仲良くなりたくて。だけど、どうすればいいか分からなかったから世話を焼いていた」
私と仲良くするのに、そんなに難しく考えなくていいのに。
「とにかく好かれたいから尽くそうって。だから俺は○○さんが思っているほど親切じゃない。打算的なんだよ」
「古森君……」
「不器用なりに一生懸命なところとか、放っておけないなって思うようになって。○○さんが良ければ、これからも世話を焼かせてもらえないかな?」
「ありがとう。だけど、やっぱりお世話はもういいかな」
「そっか……」
あからさまにシュンとしてしまった古森君。
言葉足らずなことに気が付いて、私は慌てて付け足した。
「あのね!嫌じゃなかったし、むしろ嬉しかったから!だけど頼りっぱなしだと私は成長できない気がして」
「分かった。でも、どうしても助けが必要になったら、いつでも言って」
「うん。そのときはよろしくね!」
言いたいことが言えて清々しい気持ちになった。
ーーFinーー
このボタンは廃止予定です