マルマルちゃんとバツバツ君
今日みたいに定期的に女子バレー部と男子バレー部が同じ体育館を半々に分けて部活をする日がある。
着替えを済ませ体育館の扉を開けると、誰もいなかった。
もちろんネットも張っていない。
3年生がいないならともかく、後輩がいないのは珍しい。
だけど、彼なら絶対にいる。
誰よりも早く体育館に来てボールを拭いたり、掃除を率先的にしている彼が。
体育倉庫を開けると、その彼がボールを拭いていた。
これから使われて汚れるのに、キュッキュッと丁寧に。
「やっぱりここにいた。北、いつも早いね」
この作業を北はいつも率先してやっている。
だから北は後輩から慕われているんだろうな。
他人にも厳しく、自分にはもっと厳しい。
「●●も十分早いやろ」
「そうかな」
私も北と同じ事をしたら後輩はどう思うかな?
慕ってくれるかな。
そもそも、そんなことを思う時点でダメなのかもしれない。
そう思いながらも北の隣に腰掛けた。
「私も久しぶりにボール拭こうかな」
もちろん、私も1年生のときは率先してやっていた。
だけど、それも学年が上がるにつれて後輩にやらせて、自分ではしなくなった。
でも、北と一緒なら悪くないのかもしれない。
なんて、私の場合は後輩に慕われたいと言う下心ありきだけれど。
「他の子たち、遅いね」
「授業が長引いてるんやろ」
「そっか」
それ以上の会話はなかったけれど、不思議と苦にならなかった。
しばらくすると、1・2年生が慌てて体育倉庫へと入ってきた。
「●●先輩、すみません。遅くなりました!」
「ボール拭き代わります!」
「もう終わるから大丈夫だよ」
おかげで初心にも帰れたし。
「ネット張りの方をお願い」
「はい!」
後輩たちはネットとポールを持ってパタパタと体育倉庫から出ていった。
私も行こうかな。
立ち上がると、北が話しかけてきた。
「慕われてるな」
「えっ……?」
今の私と後輩のやり取りを見てそう思ったの?
慕われているわけないじゃん。
「勘違いじゃない?」
それだけ言うと、今度こそ私は体育倉庫を出た。
着替えを済ませ体育館の扉を開けると、誰もいなかった。
もちろんネットも張っていない。
3年生がいないならともかく、後輩がいないのは珍しい。
だけど、彼なら絶対にいる。
誰よりも早く体育館に来てボールを拭いたり、掃除を率先的にしている彼が。
体育倉庫を開けると、その彼がボールを拭いていた。
これから使われて汚れるのに、キュッキュッと丁寧に。
「やっぱりここにいた。北、いつも早いね」
この作業を北はいつも率先してやっている。
だから北は後輩から慕われているんだろうな。
他人にも厳しく、自分にはもっと厳しい。
「●●も十分早いやろ」
「そうかな」
私も北と同じ事をしたら後輩はどう思うかな?
慕ってくれるかな。
そもそも、そんなことを思う時点でダメなのかもしれない。
そう思いながらも北の隣に腰掛けた。
「私も久しぶりにボール拭こうかな」
もちろん、私も1年生のときは率先してやっていた。
だけど、それも学年が上がるにつれて後輩にやらせて、自分ではしなくなった。
でも、北と一緒なら悪くないのかもしれない。
なんて、私の場合は後輩に慕われたいと言う下心ありきだけれど。
「他の子たち、遅いね」
「授業が長引いてるんやろ」
「そっか」
それ以上の会話はなかったけれど、不思議と苦にならなかった。
しばらくすると、1・2年生が慌てて体育倉庫へと入ってきた。
「●●先輩、すみません。遅くなりました!」
「ボール拭き代わります!」
「もう終わるから大丈夫だよ」
おかげで初心にも帰れたし。
「ネット張りの方をお願い」
「はい!」
後輩たちはネットとポールを持ってパタパタと体育倉庫から出ていった。
私も行こうかな。
立ち上がると、北が話しかけてきた。
「慕われてるな」
「えっ……?」
今の私と後輩のやり取りを見てそう思ったの?
慕われているわけないじゃん。
「勘違いじゃない?」
それだけ言うと、今度こそ私は体育倉庫を出た。
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