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マルマルちゃんとバツバツ君

#46

おバカちゃんと甘党君

洋菓子店に着くとイートインスペースがあったので、せっかくだからここで食べながら勉強を教えて貰うことになった。

約束のシュークリーム2個と飲み物を2人分注文。
端から見たらシュークリーム1つずつ食べると思われてるんだろうな。
実際は月島君が2個とも食べるんだけど。


「それで、どこが分からないの?」


月島君はシュークリームを食べながら私が広げた教材を覗き込んできた。


「ここと………あと、ここ。それから……」

「全部教えるから一つずつ聞いて」

「あ、はい」


教えて貰えるのが嬉しすぎて先走ってしまった。

月島君は参考書を読みながらシュークリームと飲み物を嗜み、ときたま私の質問に答えてくれた。
ずっと見られると緊張してしまうので助かる。

前々から思っていたが月島君の教え方は上手で勉強が捗る。
家で一人でやっていたら恐らく分からないままだっただろう。

あと少しで切りがいいところで月島君のシュークリームと飲み物がなくなった。


「教えるのはここまででいいよね」

「ケーキ追加する?ドーナツは?」

「いらない」


ちぇっ!延長戦に持っていけなかった。


「じゃあ自分の分だけ注文してこよっと」


最悪残りは帰ってからでもできる。
私も一息つきたかったので、追加でケーキを注文することにした。

ショーケースの中身を吟味。全部美味しそう。
その中でも一際は輝くイチゴが乗ったのショートケーキに決めた。

席に戻ると月島君の視線がイチゴのショートケーキに向いていた。


「欲しがったら食べて良いからね」

「いらない」


口ではそんなことを言っているが、目は口ほどに物を言う。

そうだ。私はフォークに一口サイズのケーキを刺し、月島君に向けてあーんをした。


「美味しいよ?」


ま、どうせ食べないでしょうけどね。
そう思っていたのに、月島君は私の手首を掴み引き寄せたフォークから直接ケーキを食べた。

え、え、え~~~!!


「んま。………って、なんて顔してるのさ」

「いや、まさか食べてくれると思わなくて」

「………なんか、○○さんの前では僕のキャラが崩れる」


そうでしょうとも。私だってあーんが成功するなんて微塵も思っていなかったから。

これはもう、


「告白?」

「違う」


照れ隠しに眼鏡のレンズを拭く月島。
私は思わずスマホを取り出しシャッターを切っていた。


「は?何撮ってんの」

「眼鏡外した顔、初めて見たなーって」

「ちょっと事務所通してくれない?」


月島君って冗談も言える人なのか。
それならば、


「個人で楽しむからいいんですー」


冗談には冗談で返す。


「ふっ、なんだそれ」


月島君はくすっと笑った。


「その表情の方がいいよ」

「え?」

「だって学校ではずっとしかめっ面してるから」


笑ってた方が絶対にモテるのに。
常にとは言わないから。

あ、でもそんなことしたら女子生徒たちが群がって、私が話しかける機会が減るかも。
自ずと勉強を教えてもらう機会も減る。

それは困るかな。


「やっぱり、今まで通りでいいや」

「変なやつ。………ま、それは置いといて、この写真は消させてもらうから」

「あ」


下らないことを考えている内に、いつの間にか月島君にスマホを取られていた。

戻ってきたスマホからは先ほどの写真は跡形も失くなっていた。

このボタンは廃止予定です

2024/11/18 23:19

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