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マルマルちゃんとバツバツ君

#39


結局、永瀬カレンが気になってその日の授業は全く集中できなかった。

あの正直で素直な木兎が仮に他に好きな人ができたとしたら、二股をせずに私を振ると思う。

それか私に情が湧いて振れずにいて、次の恋に行きたくても踏ん切りが付かないとか。

教科書を借りたときの木兎、いつもと変わらないように見えたけれど、あれが空元気だとしたら……。

なんだか申し訳なくなってしまった。

だけど自分から木兎を振る勇気はない。
だって私はまだ木兎のことが好きだから。

かと言って唐突に振られるのも心の準備が必要。

そうだ。木兎に振られるように、嫌われることをしよう。
私の面倒くさい愛情表現を許して、木兎。

そうとなれば早速……。
これをあーして、こーしてっと……できた!

帰りのホームルームを終えた後、木兎のクラスの前で待機をした。

数分後教室内がザワザワしたかと思えば、次々と生徒たちが教室から出てきた。

その中からお目当ての人物を探す。

頭一つ抜きん出た彼はすぐに分かった。


「木兎!」

「おう、●●!」

「教科書ありがとう」

「また忘れたらいつでも言えよ!」


木兎に教科書を手渡すが、その前に伝えないといけないことがある。


「それでね、うっかり自分の教科書と間違えて油性ペンで落書きしちゃって……ごめんね?」


教科書の端には先程急いで描いたブサイクにした木兎の似顔絵が。


「これは……!」


木兎は教科書をまじまじと見た。

借りたものに落書きとか私なら許せない。
木兎もそうでしょう?

ところが、


「めっちゃいいじゃん!これ俺でしょ?!」


そう言いながらスマホを取り出して落書きの写真を取り始めた木兎。


「え……?あ、うん。そう」


あれ、おかしいな。
まあ感じ方は人それぞれだし、木兎は気にしないタイプなのね。

次の作戦に移ろう。

このボタンは廃止予定です

2024/11/14 23:54

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