マルマルちゃんとバツバツ君
ーーおまけ(及川side)ーー
ピンク色の封筒にハートのシール。
この手の手紙はイヤってほど貰った。
手紙に書いてあった場所へ向かうと、小柄な女子生徒が待っていた。
名前が書いてあったが、顔を見ても覚えがない。
近付くと、俺の顔を見るや否やパッと明るくなった彼女の表情。
「ごめんね~、遅れちゃって」
いつもみたいにヘラヘラと話しかける。
「及川先輩、来てくれてありがとうございます」
部活中の生徒の声に書き消されそうなほど小さな声で彼女は言った。
「話って何かな?」
聞かなくても分かるけれど、建前上尋ねた。
「えっと……そのぉ……」
だけど彼女はモジモジしていて中々答えない。
「ゆっくりでいいからね」
そう言うと安心したのか、意を決して話し始めた。
「及川先輩の部活姿がとても格好よくて、その……一目惚れしました。よければ連絡先を教えて下さい!」
知りもしない子と付き合うつもりは最初からなかったけれど、期待を持たせるのもよくはない。
「ごめんね」
今は誰とも付き合うつもりはない。
そう続けて言おうとしたら、
「なら、せめて思い出を下さい!」
「……っ!?」
彼女はいきなり抱き付いてきた。
「迷惑な……っ自覚はあります。……だ、だけど、少しだけでいいの……っで、このまま……グスッ……」
無理やり剥がすこともできたけれど、泣いている彼女を可哀想に思い、落ち着くまでそままでいることにした。
ポンポンと背中を擦る。
……。
…………。
ふと●●ちゃんの顔が頭に浮かんだ。
彼女はあの手紙を見て何とも思わなかったかもしれないけど、勘違いされたくないな。
悪いけど、そろそろ退いてもらわないと。
俺は彼女を剥がすように、そっと肩を押した。
「そろそろ落ち着いた?」
「はい……すみません」
彼女は袖で涙を拭うと、
「あの……私、及川先輩に振られてもずっと好きでいますので!」
先程の小さな声とは比べ物にならないくらい力強く言い放った。
「失礼します!」
「……」
他の人のことを気になっている俺なんかやめて、良い人を探してほしい。
去っていく彼女の後ろ姿を眺めながらそう思った。
このときの出来事をまさか岩ちゃんに見られていたとは、このときは思いもしなかった。
ピンク色の封筒にハートのシール。
この手の手紙はイヤってほど貰った。
手紙に書いてあった場所へ向かうと、小柄な女子生徒が待っていた。
名前が書いてあったが、顔を見ても覚えがない。
近付くと、俺の顔を見るや否やパッと明るくなった彼女の表情。
「ごめんね~、遅れちゃって」
いつもみたいにヘラヘラと話しかける。
「及川先輩、来てくれてありがとうございます」
部活中の生徒の声に書き消されそうなほど小さな声で彼女は言った。
「話って何かな?」
聞かなくても分かるけれど、建前上尋ねた。
「えっと……そのぉ……」
だけど彼女はモジモジしていて中々答えない。
「ゆっくりでいいからね」
そう言うと安心したのか、意を決して話し始めた。
「及川先輩の部活姿がとても格好よくて、その……一目惚れしました。よければ連絡先を教えて下さい!」
知りもしない子と付き合うつもりは最初からなかったけれど、期待を持たせるのもよくはない。
「ごめんね」
今は誰とも付き合うつもりはない。
そう続けて言おうとしたら、
「なら、せめて思い出を下さい!」
「……っ!?」
彼女はいきなり抱き付いてきた。
「迷惑な……っ自覚はあります。……だ、だけど、少しだけでいいの……っで、このまま……グスッ……」
無理やり剥がすこともできたけれど、泣いている彼女を可哀想に思い、落ち着くまでそままでいることにした。
ポンポンと背中を擦る。
……。
…………。
ふと●●ちゃんの顔が頭に浮かんだ。
彼女はあの手紙を見て何とも思わなかったかもしれないけど、勘違いされたくないな。
悪いけど、そろそろ退いてもらわないと。
俺は彼女を剥がすように、そっと肩を押した。
「そろそろ落ち着いた?」
「はい……すみません」
彼女は袖で涙を拭うと、
「あの……私、及川先輩に振られてもずっと好きでいますので!」
先程の小さな声とは比べ物にならないくらい力強く言い放った。
「失礼します!」
「……」
他の人のことを気になっている俺なんかやめて、良い人を探してほしい。
去っていく彼女の後ろ姿を眺めながらそう思った。
このときの出来事をまさか岩ちゃんに見られていたとは、このときは思いもしなかった。
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