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マルマルちゃんとバツバツ君

#35

傍観者ちゃんとモテ男君

告白の手紙を拾った翌日。

登校して早々、及川君と同じバレー部の岩泉君が口論をしていた。
自分の席に行きづらく、教室の入り口で佇む。


「おいクソ及川。部活休んでんのに女子と逢瀬か?」

「岩ちゃん、昨日のはそんなんじゃないって~」


昨日見てしまった手紙の子とのやり取りか。
そんなんじゃないってことは、呼び出されたけど付き合うには至らなかったってことかな?


「なんでもいいが、気が散るから体育館の近くであんなことするな」

「それも見てたの?岩ちゃんのえっち!」


あんなこと?あんなことって何?


「殴られてぇのか?」


岩泉君は及川君に握り締めた拳を見せつけた。


「ごめんって」

「とにかく、早く足治せよ。じゃあな」


あっ!岩泉君、待って!帰らないで!
あんなことって何?!

私の心の声なんか知る由もなく、岩泉君は教室から出ていった。
だけど、これでようやく席に着ける。


「お、おはよう、及川君。朝から大変だね」


教室の端にいても聞こえる声で口論をしていたせいで、気まずい挨拶になってしまった。


「おはよう、●●ちゃん……」


及川君は何か言いたげにチラチラとこちらを見てくる。
さっきのことを聞いてもいいのかな?


「昨日、何かあったの?」

「ないって言ったら嘘になるけど、俺は何もしてないから!」


詳しくは話せないけど勘違いもしてほしくない、と言ったところか。
これ以上は踏み込んではいけないようだ。
もどかしい気持ちが募る。


「明日病院に行くから、状況次第では休み明けから部活に復帰できそう」


気まずいのか及川君は話題変えてきた。


「そっか、よかったね」


机を運ぶのも今日で最後か。
長いようで短い1週間だった。
これで話す口実もなくなるのかな?
少し……いや、かなり寂しい。

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2024/11/14 08:23

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