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マルマルちゃんとバツバツ君

#27

気弱ちゃんと気遣い君

帰り道の途中、公園を通りかかった。
すると、無言だった菅原君が口を開く。


「ちょっと寄っていかね?」

「いいよ」


誰もいない公園。
前日に雨が降ったせいか、地面はぬかるんでおり、土の湿った臭いがした。
そのため遊具も所々濡れた跡が残っている。
幸いにもベンチは乾いており、私たちはそこへ腰掛けた。


「最近暑くなってきたなー」

「そうだね」


この間まで桜が咲いていたのに、あっという間に夏休みに入りそうだ。


「何で助けてくれたの?って聞いたろ?」

「うん」


焦らされた答えがようやく聞けるようだ。


「それはな、○○のことが好きだから」

「わ、私……?」

「○○も俺と同じ気持ちなら付き合ってほしい」


不意打ちのような告白。

お喋りして笑った顔を見るだけで私は満足だったのに、願ってもみなかった菅原君からの告白は当たり前だが嬉しかった。

もちろん私の気持ちは決まっている。
だけど、私なんかでいいのだろうか。

そんな自信のなさからか“いいよ”と言うたった3文字が言えなかった。
いつもは嫌なお願い事ですら息を吐くように言えるのに。


「○○ってさ、頼まれ事されたらいつもいいよって返事するべ?」

「……」

「もし今回も嫌な気持ちを抑えて、無理やり付き合うことで丸く収めようとか考えているようなら、そんなことしなくていいから」

「そんなことっ!」


そんなことないのに……。
今回に限っては特に。


「断られる以上に無理やり付き合わせて、○○が悲しむのは嫌だから」


苦しそうな表情を浮かべる菅原君をこれ以上見ていられなかった。
だからこそ、これだけは先に聞かせてほしい。
そうしたらちゃんと返事をするから。


「なんで私なの?私と付き合ったって菅原君にメリットなんかないのに」

「俺、メリットがあるから○○と付き合いたい訳じゃないよ」

「じゃあなんで……!」

「そんなの、○○のことが好き以外の理由がある?」

「菅原君……」


ここまで言われて断るなんてできない。
大切にしていた胸の内をそっと打ち明けよう。


「私も……菅原君のことが好き。む、無理やりだとか、嫌々……とかじゃなくて、心の底から……好きです」


つっかえながらだけど、確かに言えた。

このボタンは廃止予定です

2024/11/11 23:48

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