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マルマルちゃんとバツバツ君

#26

気弱ちゃんと気遣い君

ペタペタと廊下を歩き、階段を降り、結局無言のまま昇降口までやってきた。

このまま解散の流れになるのだろうか。

青井さんと井口さんは今頃大人しくワックスがけをしているのか、それとも他の人に頼んだのか。
どちらにせよ、ここまで来れば話しても大丈夫だろう。

私は足を止めて菅原君の方へ向いた。


「頼まれ事って嘘でしょ?」


だって、どう考えても頼まれ事をされた覚えがないから。


「うん。○○が断らないのを良いことにまた仕事を押し付けられそうだったから。迷惑だった?」


菅原君って本当に周りをよく見ている人だ。
迷惑なわけない。


「ううん、助かった。ありがとう」


本当に今回ばかりは、断りたい気持ちが引き受ける気持ちを上回りそうだったから。
そうは思っても、菅原君が割って入ってこなければ、きっと私はいつものように引き受けていただろう。


「お節介にならなくて良かった」

「でも、何で助けてくれたの?」

「ほら、前にも言ったべ?断らないことによって○○が悲しむ方が嫌だって」

「だからって……」


私が悲しんだところで、菅原君には関係ないことなのに。

 
「……なあ、途中まで一緒に帰らない?」


菅原君は私の質問には答えずに、スリッパから靴へ履き替えた。


「いいけど……部活は?」

「体育館もワックス掛けで使えないから休み。だから、ね?」


確かに、そうでなければ今頃部活が始まっている頃だ。


「うん……」


私も菅原君に続いて靴に履き替えた。

初めて一緒に帰る。
そもそも菅原君の家の方向を知らないけれど、たまたま私と同じなのだろうか。

2人並んで歩く道はすっかり夕焼け空。
後ろには長く伸びた影が2つだけ、後を追いかけるように揺らめいていた。

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2024/11/11 20:34

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