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マルマルちゃんとバツバツ君

#23

気弱ちゃんと気遣い君

「じゃあ、お前ら気を付けて帰れよー」


気怠げな先生の言葉と共にホームルームが終わった。

いそいそと帰り支度をしていると、


「○○さーん、お願いがあるんだけど。このノートを武田先生のところに持っていってくれない?」


佐藤さんと山田さんに渡されたクラス分の現代文と漢文のノート。


「私たち、ちょっと急ぎの用事があって、代わってもらえると助かるんだけど……。どうかな?」


私だって今日は塾の日だから早く帰りたかったのに。
そんなことを思いつつも、


「いいよ」


意志の弱い私は作り笑顔を貼り付けて引き受けた。


「やったあー!さすが○○さん!じゃあよろしくね」


そう言うと彼女たちはパタパタと教室から出ていってしまった。

残された大量のノート。

1回で運びきれるかな。
職員室に寄ったらついでに帰りたいから荷物も一緒に持った。


「よいしょっ」


うわぁ重たい……。
だけど、顎で押さえれば1回で運べるかも。

多少よろめきながらも運び出そうとしたところで、菅原君が話しかけてきた。


「あれ、○○って現国の係りだっけ?」

「違うけど、頼まれたから代わりに運ぼうと思って」

「ふ〜ん」


いつもなら話しかけてくれることが嬉しいけれど、重たいノートに加え荷物を持っている身、早く話を切り上げたかった。
そう思っていると、


「手伝うよ」

「え?」


菅原君は私の返事を聞く前にノートをひょいと奪い取った。


「わ、悪いよ……」

「武田先生のところでしょ?バレー部の顧問なんだよね。ちょうど用があったし、ついでだから気にしないで」

「ありがとう……」


早く話を切り上げたいなんて思ってごめんなさい。
心の中で菅原君に謝ると、改めて彼の優しさが染みた。


「ほら行くべ?」

「あ、待ってー!」


ーーーー


「はい、確かに受け取りました」

「失礼しました」


無事に先生のところまで届け、職員室を出た。


「じゃあ、俺は部活行くわ!またな、○○!」

「うん、本当にありがとう!」


菅原君と手を振って分かれた。

……あれ?

菅原君、武田先生に用があるって言っていたのに……。
私に気を遣わせないように嘘をついたの?

頭にはてなを浮かべながら昇降口へと向かった。

このボタンは廃止予定です

2024/11/11 00:13

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