電波と恋情、それは意気地無しの天敵
[漢字]戸塚 湊[/漢字][ふりがな]とづか みなと[/ふりがな]。中学3年生。ホラー好きの陸上部。得意教科は国語。
部活と塾と学校に追われる受験生だが、モテたいという願望を捨てきれずにいる。
いや、リア充とか憧れるじゃん?
勉強に集中しろ!とツッコまれそうだが、何しろ中3という多感な時期である。無理だろ。
学校で友達と騒ぎまくり、部活で顧問の指導を受けながらトレーニング。
そのあとは家に帰りベットにダイブ。毎週水曜日のみ部活を休んで塾だ。
テスト期間に入ると部活がなくなるので週3で塾。
なぜか気力がどんどん削られて行っている気がする。
湊「あー、疲れたぁ…」
家に帰りベットにバタンキュー。
そのまま眠りに入ろうとしたが、充電ケーブルを繋いだままのタブレットが目に入る。
湊「久しぶりに書くか…!」
ベットから跳ね起きると、そのまま椅子に飛び乗る。
タブレットを立ち上げると、久々の空想世界が広がってきた。
そう、俺はネット小説家『太陽SAN』なのである。
得意ジャンルはホラーとミステリー。なのになぜ明るい名前にしたのか。
理由は深夜テンションで始めたからである。
我ながらしょうもない理由だ。
ふと、一つの小説が目に入る。
『罪人達の原生林』。この作品は、俺が一番好きな作品である。
作者は『夏宮ここね』さん。話によると一個下の女子らしいが、とても一個下とは思えない語彙力と発想に少し悔しい気持ちになる。
これは嫉妬だな、嫉妬。
彼女に張り合えるように文章力を磨き、彼女の作品は全て目を通している。
ガラス細工のように美しいが、その間から覗く真っ黒な“ナニカ”。
彼女のそういう文章が、すごく好きだ。
最近は新作も多いし、その表現に磨きがかかっている気がする。
何より、主人公が抱く恋愛感情の表現がより緻密に描かれるようになった。
こりゃ、好きな人でもできたかな?
微笑ましく思いながらも、やはり嫉妬心は燃え続ける。
やっぱ、天才だなぁ。
そんなことを思いながら、コメント欄に感想を入力してそのサイトを閉じた。
[水平線]
湊「あー、学校だぁ…」
「お前ひどい顔してんな!」
湊「うるせぇ!」
話しかけてきた親友と戯れているが、意識は違う方向に向いている。
目線の先は──同じクラスの[漢字]樰沢 明日香[/漢字][ふりがな]ゆきざわ あすか[/ふりがな]だ。
お察しの通り、俺の好きな人である。
太陽のようなあの笑顔を向けられてから、かれこれ3ヶ月彼女の姿が頭から離れない。
明日香「あ、戸塚!おはよう!」
湊「お、お、おはよう!」
声裏返ってないか!?顔赤くないか!?
太陽のように裏表のない笑顔がこちらに向けられ、普通に召天しそうである。
彼女が去ったあと、親友がニヤニヤしながら『ふぅ〜ん??そんな感じ??』と言ってきたので拳骨を一発喰らわすと、席について鉄壁のガードを築いた。
[水平線]
湊「ただいまぁぁぁぁ!!!!!!!」
昂る感情をお神輿のごとくわっしょいしながら部屋に飛び込み、ベットに顔を埋める。
もうすぐある一大イベントの修学旅行、樰沢と一緒の班になれた…!
興奮と歓喜が溢れそうになって、タブレットを立ち上げる。
恥ずかしい、けれど書きたい。
樰沢への気持ちを、この小説に託す。
ノンフィクションのこの作品を、誰かへ。
勢いのまま書き込むと、誤字の見直しなどせず投稿ボタンを押した。
湊「うっし…」
満足してベットに浸かり数分、ピコン、とタブレットから音がした
もうコメントがついたのかとタブレットを開くと、そこには夏宮さんからの感想があった。
『応援しています』
短い、短い文だった。
いつも感想を三行は書いてくれているのに、今回は一行と呼べるかも怪しかった。
なぜか、その短い感想に、寂しさを覚えてしまった。
部活と塾と学校に追われる受験生だが、モテたいという願望を捨てきれずにいる。
いや、リア充とか憧れるじゃん?
勉強に集中しろ!とツッコまれそうだが、何しろ中3という多感な時期である。無理だろ。
学校で友達と騒ぎまくり、部活で顧問の指導を受けながらトレーニング。
そのあとは家に帰りベットにダイブ。毎週水曜日のみ部活を休んで塾だ。
テスト期間に入ると部活がなくなるので週3で塾。
なぜか気力がどんどん削られて行っている気がする。
湊「あー、疲れたぁ…」
家に帰りベットにバタンキュー。
そのまま眠りに入ろうとしたが、充電ケーブルを繋いだままのタブレットが目に入る。
湊「久しぶりに書くか…!」
ベットから跳ね起きると、そのまま椅子に飛び乗る。
タブレットを立ち上げると、久々の空想世界が広がってきた。
そう、俺はネット小説家『太陽SAN』なのである。
得意ジャンルはホラーとミステリー。なのになぜ明るい名前にしたのか。
理由は深夜テンションで始めたからである。
我ながらしょうもない理由だ。
ふと、一つの小説が目に入る。
『罪人達の原生林』。この作品は、俺が一番好きな作品である。
作者は『夏宮ここね』さん。話によると一個下の女子らしいが、とても一個下とは思えない語彙力と発想に少し悔しい気持ちになる。
これは嫉妬だな、嫉妬。
彼女に張り合えるように文章力を磨き、彼女の作品は全て目を通している。
ガラス細工のように美しいが、その間から覗く真っ黒な“ナニカ”。
彼女のそういう文章が、すごく好きだ。
最近は新作も多いし、その表現に磨きがかかっている気がする。
何より、主人公が抱く恋愛感情の表現がより緻密に描かれるようになった。
こりゃ、好きな人でもできたかな?
微笑ましく思いながらも、やはり嫉妬心は燃え続ける。
やっぱ、天才だなぁ。
そんなことを思いながら、コメント欄に感想を入力してそのサイトを閉じた。
[水平線]
湊「あー、学校だぁ…」
「お前ひどい顔してんな!」
湊「うるせぇ!」
話しかけてきた親友と戯れているが、意識は違う方向に向いている。
目線の先は──同じクラスの[漢字]樰沢 明日香[/漢字][ふりがな]ゆきざわ あすか[/ふりがな]だ。
お察しの通り、俺の好きな人である。
太陽のようなあの笑顔を向けられてから、かれこれ3ヶ月彼女の姿が頭から離れない。
明日香「あ、戸塚!おはよう!」
湊「お、お、おはよう!」
声裏返ってないか!?顔赤くないか!?
太陽のように裏表のない笑顔がこちらに向けられ、普通に召天しそうである。
彼女が去ったあと、親友がニヤニヤしながら『ふぅ〜ん??そんな感じ??』と言ってきたので拳骨を一発喰らわすと、席について鉄壁のガードを築いた。
[水平線]
湊「ただいまぁぁぁぁ!!!!!!!」
昂る感情をお神輿のごとくわっしょいしながら部屋に飛び込み、ベットに顔を埋める。
もうすぐある一大イベントの修学旅行、樰沢と一緒の班になれた…!
興奮と歓喜が溢れそうになって、タブレットを立ち上げる。
恥ずかしい、けれど書きたい。
樰沢への気持ちを、この小説に託す。
ノンフィクションのこの作品を、誰かへ。
勢いのまま書き込むと、誤字の見直しなどせず投稿ボタンを押した。
湊「うっし…」
満足してベットに浸かり数分、ピコン、とタブレットから音がした
もうコメントがついたのかとタブレットを開くと、そこには夏宮さんからの感想があった。
『応援しています』
短い、短い文だった。
いつも感想を三行は書いてくれているのに、今回は一行と呼べるかも怪しかった。
なぜか、その短い感想に、寂しさを覚えてしまった。