またしてもポカポカした日差しに目をやられるのかと思ったら、そうでもなく。

少し冷たさを含んだ風が、私の頬を撫でた。

「ぬぅ...?」なんとまあ、気の抜けた声が出てきたこと。女の子が出していい声じゃないよね。
障子の向こうからは、私より眠たそうな月が顔を出していて、もう夜だよ、起きなさい、と言っているようだった。

なんで寝ていたんだろう。再度、記憶のUSBメモリを操作する。

やばい。また寝てる。思考放棄しすぎてる。


脳内会議開こう。そうしよう。



[斜体]脳内会議、開幕[/斜体]

[明朝体][斜体]えーっと、異能力って何？についてだけど…。おそらく、私が物を創れるのと同じような、不思議な力のことだと思う。よし、次！
養子がなんだって？について…。最初はあの失礼な男が言ってたんだよね。あの男ご当主が父らしい。しかも、養子にするのもご当主だとも言ってた。ということは、あいつと義理のなんかになるってことだね最悪。ほい、次！
ご当主ってなんだ？…。知らん。とりあえず、おっきなお家の偉い男の人ってことだよ。ちなみにですがあの男の父だ。しかも私を養子にしようとしてる。あー、もーいっかいおさらいしようかな？？いや、おさらいすればするほど頭がカオスになって死にそうになる。もういいや。誰か来るまで寝よっと。[/斜体][/明朝体]

[斜体]脳内会議閉会！[/斜体]

ん？まてよ、私寝てばっかじゃない??…中止中止、寝るのやめよう！

お腹空いたし。

[小文字]「お腹空いた」[/小文字]

声に出た。最小限の大きさにしたけど。

お腹ほんとに空いた。

ぺちぺちバリアをぺちぺちすんのも飽きた。

ご飯が食べたーい。

ここって、お屋敷だよね？？作りも立派だし、育ち良さそうな美女も来たし。しかも、あの男が連れてきたんならご当主関連の場所でしょ??そうでしょ???考えただけでは吐きそうだけど…。 誰か一、お願いだからめちゃうまご飯持ってきてー…。


少しばかり時間が過ぎ…。

おかゆだった。

がらら…。

と、襖が開いたと思ったら。

土鍋が運ばれてきて、鍋だぁ！と、うきうきしたら。

パカッと開いたら。

真っ白なご飯が現れましたとさ。


…美味しくいただきました。

めちゃうまだったけど。

なんで？

まぁ、ずーっと寝てた人にはちょーどいいかも知んないけど。

なんで？

真っ白なおかゆなの？

卵がゆとか。

雜炊とか。


具なしなのはなんで？？

まあいいか。

お腹もしっかりと膨れたことだしね。


寝ますか？◀

寝ませんか？


よし、寝てばっかで悪いけど、寝ちゃおうか。


よーっし、寝ましょ！



(つ∀-)ｵﾔｽﾐｰ




その後、食べ終わったと聞いてやってきたあの男が、寝てる琉貴にぶち切れかけたのは、まだ知らない琉貴である。