僕たちは車から降りると玄関へ向かった。

僕たちが来たということを車で把握した組の一員は玄関前で待っていてくれた。

「お疲れっす！魁星さん！白希さん！」

元気よく挨拶し、綺麗なお辞儀を見せた。

「ん。お疲れ。龍廻に会える？」

「もちろんっす！」

そう言ってはどうぞどうぞといわんばかりにドアをあけて手を動かす。

僕たちはそのドアに足を踏み入れ、靴を脱ぎ、長い廊下をてくてくと歩いて行った。

奥から二番目の部屋。
一番奥にするとバレやすいからと決めた龍廻の部屋の位置。そこに父はこう声をかけた。

「入ってもいいか？」

数秒もしないうちに中から声がした。

「ええよ。入り。」

おそらく龍廻さんの声だ。その声を聞いて父は襖を開けた。


中は広く、窓辺に龍廻さんはいた。

僕をみるなり龍廻さんはへらぁっと笑いこう言う。

「白希やん！ほんま、かわええわぁ、、お久しぶりやなー」

「兄貴、白希には甘いな、、」

「しゃーないやん。白希がちょーかわええんやから。」

「恐ろしいぞ、ここの組長。」

「うっさいなぁ、魁星も元一員やないかい」

「今は違うだろ、、」

楽しそうに話す、父と龍廻さん。父もあんなことをいいつつも、ここ最近会えていなかったから嬉しいと思う。

二人の会話を微笑ましく見ていると後ろから声がした。


「えっ！白希ちゃんやん〜！お久しぶりやぁ〜元気にしとった？」

茶色の髪をもつボブの女の人。
[漢字]妖絡　夕月[/漢字][ふりがな]ようらく　ゆづき[/ふりがな]という名をもつ彼女のピアスはバチバチで、勿論というように舌ピもある。
イカついがとてもかわいく、優しい。自分の姉の様な感じだ。

「うん。元気だったよ。夕月さんはどう？」

「めちゃめちゃ元気やったで〜今も元気やで〜！！」

「そういう感じがするよ。」

「あちゃ〜バレとった？」

「バレバレ。」

さっき起きていた悪夢が嘘の様に楽しい楽園へと変わった。

僕にとっての天国はここなのかもしれない。




しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎる。

もう夕方になってしまっていて帰る時刻。

「またきてな〜！！」

「白希、またなぁ。魁星もまたきーや？」

「へいよ。」

「じゃあねっ龍廻さん、夕月さん。」

軽く挨拶を済ませて僕たちは来た道を帰って行った。