炒飯もでき、食べていた時。インターホンが鳴り響く。

父な軽く舌打ちして玄関へ向かった。僕は慌てて玄関から見えぬ位置へ移動する。

父が意味もなく舌打ちをするわけがない。そう。あいつらだ。

「あっ魁星さんっ！これっ天使様、、白希様へ渡していただけませんかっ？」

「何回言ったら分かんだ？白希には何も渡さん。」
始めは優しかった父の声も段々とキツくなる。

「なんでそんなこと言うんです？！白希様の体調が優れないからお粥作ったんですよ？！」

「あんなぁ、お粥ぐらい俺らが作るんよ。他人が作ったお粥なんぞ食わんわ。良い加減理解しろ。」
イライラすると父は方言が出てくる。

「でも、、、あまりにもっひどいです！！」

「好きに言え。せやけどさ、、馬鹿なことしとんのはお前やろ？何泣きそうやねん。」

「馬鹿なことって！こんなにもっ、、白希様をっ、、想ってるのにぃっ！！」

「あんさぁ、、渡すんやったら飯やないのにすりゃええやん。なんで飯やねん。」

「それはっ、、、私の手作りを食べて欲しくて、、」

「へぇ〜。なんらかの薬が溶け込まれとるこれを？？？せやなぁ、このちょっとしか変わらん色といい、この匂いといい、、、睡眠薬と麻痺薬かぁ。んで？この器にはGPSねぇ。エグい性格してはりますなぁ！！」

僕は絶句した。そんなことやられる立場なのか？僕は。偶々吸血鬼を追っ払っただけでこんなことされるのか？


父は「もうくんな」と一言。そして勢いよくドアを閉めた。鍵もきっちりと。

そして怯えている僕の元へくると優しく抱きしめた。
「すまんな。不器用だからこんなことしかできねぇ。俺が怖かったか？」

首を横に思いっきり振った。そして震える声で僕はこう呟いた。

「ちがうっ、、、あの人っが、、怖くてっ、、なんで僕は、こんな目にっ、合わなくちゃ、いけないのっ、、？」

そう言われた父はぐっと唇を噛んだ。


実は何度もここから離れようとした。
しかし一歩足を出すだけで酷い恐怖に襲われ、いつもその場に抱え込んでしまっていた。
離れられない。離れることができない。

天使と呼ばれる僕にとって天乃地区と呼ばれるここは地獄そのものだ。