転生したら愛された件について【sha受け】
<[太字]シャオロン視点[/太字]>
「ん、朝か」
さわやかな朝日を受けて俺は起きる。
ふわふわとしたベッドに上質な服。
俺は、この国の王子だ。
立ち上がって、窓の近くを見ると、もうひとつベッドがあって、そこで、丸まって寝ている彼の姿。
弟感が否めない彼に、笑みがこぼれる。
「ふふっ、ショッピくーん、朝だよー?」
彼の寝ているベッドの縁に腰掛け、軽く揺すると、アメジストのように美しく透き通った紫色の瞳が現れた。
「ふ、あ・・・。おはよ、ございます…」
あくび混じりに答えたショッピくん。
「おはよ。起きれる? ご飯食べよ?」
「たべます」
「ん、いい子」
ふんわりとした栗色の髪を撫でると、彼は花が咲くように微笑んだ。
「今日、ゾムとロボロ来るよ。一緒に話す?」
「…嫌です。でも、シャオさんと一緒がいいので、行きます」
「そっか」
俺は苦笑する。
友人の名前を聞き、露骨に嫌な顔をした彼の頭をもう一度撫でてやる。
自己紹介が遅れた。俺はシャオロン。
もともと漫画とゲーム好きな普通のサラリーマンだったんだけど、事故に遭って、気づけば転生(?)していた。
ここは、俺がハマっていた漫画の世界。そこは魔法が使える世界だった。
そして、俺の転生先は、俺と全く同じ名前の、悪役王子。
ヒロインにちょっかい出しまくり、いたずらしすぎた結果、ヒロインのことが好きな3人に殺されてしまう、という生粋の悪役だった。
この漫画が好きな同士の殆どがこのキャラを嫌味嫌うけれど、俺は結構好きなキャラやった。
名前が同じ、というのもあるけど、同情したんやろうなと思う。
母親に先立たれ、父親である国王には忙しさを理由にかまってもらえなかった、愛を知らない子どもだったのだ。
だから、俺はどうしてもこいつを嫌いになれない。
だからといってもこいつに転生したと知ったとき、結構ビビった。
なぜなら、このままだと、俺は原作と同じストーリーを辿って死ぬ。
そんなんいややから、俺は、俺を殺した3人の好感度を上げることにした。
[水平線]
一人目:[太字]ショッピ[/太字](現在17 殺害時19)
原作の中でショッピくんは、シャオロンの[漢字]奴隷[/漢字][ふりがな]どれい[/ふりがな]として城へ来たんやけど、貴族同士の交流で来ていたヒロインに惚れる。
要するに一目惚れだ。
ヒロインと出会って2年経ち、この国一の剣使いになっていた20歳の彼は、己を虐げ、自分の好きな人を傷つけたことへの復讐としてシャオロンを殺す。
仕方ないことだと思う。やって、自分を見下してきたやつ排除すんのは当たり前やもん。
ショッピの中でトリガーとなったのは、「シャオロンへの復讐心」。
やから、俺はショッピくんをいじめたりなんて絶対せんかった。当然のことやけど。
17歳という若さで奴隷としてここにきさせられて、どれくらい辛かったんやろ。
そう思うとショッピくんにどうしても甘くなってしまう。
でも、ショッピくんは心を許してくれたし、メンヘラぽくはあるけどすごく懐いてくれた。
弟がいたらこんな感じなんかなって思う。かわいい。
ショッピに殺されるルートは回避できたはず!
[水平線]
二人目:[太字]ゾム[/太字] (現在20 殺害時22)
原作によると、ゾムは公爵家の息子。親戚に当たるヒロインとは昔から交流があったらしい。
彼は高身長で、前髪が長くて目元が見えないため、怖いと感じられてしまい、避けられていた。
しかし、そんなこと関係なしに仲良くしてくれたヒロインにゆっくりと惚れていったそうだ。
めっちゃピュアやん、こいつ。って思ったけど、油断してはいけない。
こいつはシャオロンをヒロインをいじめたことに対する怒りで殺したが、ナイフで、みぞおちと首を狙ってグサッ、ザクッ…。
ヒロインを想う三人が同時にシャオロンを殺すという名場面はこいつのせいでだいぶグロくなった。
うえ。
ゾムが心を開いたトリガーは「避けないこと」「優しくすること」。
だから、国中の公爵家や貴族が集まるパーティーで優しく話しかけた。
それからも、時々あって話したり、手紙を送ったりした結果、友達という地位をもらうことができた。
ちょっと外見は怖いけど、すごくいいやつだから。
ゾムルート、回避。
[水平線]
三人目・[太字]ロボロ[/太字] (現在19 殺害時21)
こいつが一番時間を使った。
なにせ、人に対する警戒心が高すぎるのだ、こいつは。
貴族として育ったロボロはあまり人と関わることがなく、身内にしか信頼をおけなかった。
しかし、庭に迷い込んだヒロインとの会話で心が解きほぐされて、ヒロインを好きになる。
大切な人を傷つけたという怒りをもって、弓でシャオロンの心臓をピンポイントで撃ち抜いたときは、「エイム良すぎん???」って何度も思った。
こういう人を相手にするとき、焦っちゃいけない、焦らせちゃいけない。
ゆっくり歩み寄ることが大切だとわかっていたので、パーティーとかで話したり、ロボロの家を訪ねたり。
同い年なのもあるんだろうけど、すぐに波長のあった俺らは、マブダチだ。
ロボロと一緒にいるとすごく楽しいし、仲良くなれてよかったと心から思ってる。
信用した人はとことん信じる彼は、俺を殺すことはもうない。
ロボロに殺されるルートは存在しない。
[水平線]
転生してから半年が立つ。
最初の頃はキャラが変わりすぎて、みんなに驚かれていたけど、最近は「やっと改心されたのだ」と思われている。
正直、こっちのシャオロンが可哀想。
時期的には、誰かがヒロインに会ったとしてもおかしくはない。
ぶっちゃけ、ヒロインなんてどうでもいい。
俺は、ただただ平和にいたいだけやから。
このあと誰がヒロインを好きになろうと、個人の自由だ。
本編では三人のうち誰を選んだのか書かれていないけど、この世界なら見られるかもしれない。
「? シャオさん?」
「んー? どうしたん」
「はよご飯食べましょ」
「そやな」
さて。今日は何をしようかな。
【続く】
「ん、朝か」
さわやかな朝日を受けて俺は起きる。
ふわふわとしたベッドに上質な服。
俺は、この国の王子だ。
立ち上がって、窓の近くを見ると、もうひとつベッドがあって、そこで、丸まって寝ている彼の姿。
弟感が否めない彼に、笑みがこぼれる。
「ふふっ、ショッピくーん、朝だよー?」
彼の寝ているベッドの縁に腰掛け、軽く揺すると、アメジストのように美しく透き通った紫色の瞳が現れた。
「ふ、あ・・・。おはよ、ございます…」
あくび混じりに答えたショッピくん。
「おはよ。起きれる? ご飯食べよ?」
「たべます」
「ん、いい子」
ふんわりとした栗色の髪を撫でると、彼は花が咲くように微笑んだ。
「今日、ゾムとロボロ来るよ。一緒に話す?」
「…嫌です。でも、シャオさんと一緒がいいので、行きます」
「そっか」
俺は苦笑する。
友人の名前を聞き、露骨に嫌な顔をした彼の頭をもう一度撫でてやる。
自己紹介が遅れた。俺はシャオロン。
もともと漫画とゲーム好きな普通のサラリーマンだったんだけど、事故に遭って、気づけば転生(?)していた。
ここは、俺がハマっていた漫画の世界。そこは魔法が使える世界だった。
そして、俺の転生先は、俺と全く同じ名前の、悪役王子。
ヒロインにちょっかい出しまくり、いたずらしすぎた結果、ヒロインのことが好きな3人に殺されてしまう、という生粋の悪役だった。
この漫画が好きな同士の殆どがこのキャラを嫌味嫌うけれど、俺は結構好きなキャラやった。
名前が同じ、というのもあるけど、同情したんやろうなと思う。
母親に先立たれ、父親である国王には忙しさを理由にかまってもらえなかった、愛を知らない子どもだったのだ。
だから、俺はどうしてもこいつを嫌いになれない。
だからといってもこいつに転生したと知ったとき、結構ビビった。
なぜなら、このままだと、俺は原作と同じストーリーを辿って死ぬ。
そんなんいややから、俺は、俺を殺した3人の好感度を上げることにした。
[水平線]
一人目:[太字]ショッピ[/太字](現在17 殺害時19)
原作の中でショッピくんは、シャオロンの[漢字]奴隷[/漢字][ふりがな]どれい[/ふりがな]として城へ来たんやけど、貴族同士の交流で来ていたヒロインに惚れる。
要するに一目惚れだ。
ヒロインと出会って2年経ち、この国一の剣使いになっていた20歳の彼は、己を虐げ、自分の好きな人を傷つけたことへの復讐としてシャオロンを殺す。
仕方ないことだと思う。やって、自分を見下してきたやつ排除すんのは当たり前やもん。
ショッピの中でトリガーとなったのは、「シャオロンへの復讐心」。
やから、俺はショッピくんをいじめたりなんて絶対せんかった。当然のことやけど。
17歳という若さで奴隷としてここにきさせられて、どれくらい辛かったんやろ。
そう思うとショッピくんにどうしても甘くなってしまう。
でも、ショッピくんは心を許してくれたし、メンヘラぽくはあるけどすごく懐いてくれた。
弟がいたらこんな感じなんかなって思う。かわいい。
ショッピに殺されるルートは回避できたはず!
[水平線]
二人目:[太字]ゾム[/太字] (現在20 殺害時22)
原作によると、ゾムは公爵家の息子。親戚に当たるヒロインとは昔から交流があったらしい。
彼は高身長で、前髪が長くて目元が見えないため、怖いと感じられてしまい、避けられていた。
しかし、そんなこと関係なしに仲良くしてくれたヒロインにゆっくりと惚れていったそうだ。
めっちゃピュアやん、こいつ。って思ったけど、油断してはいけない。
こいつはシャオロンをヒロインをいじめたことに対する怒りで殺したが、ナイフで、みぞおちと首を狙ってグサッ、ザクッ…。
ヒロインを想う三人が同時にシャオロンを殺すという名場面はこいつのせいでだいぶグロくなった。
うえ。
ゾムが心を開いたトリガーは「避けないこと」「優しくすること」。
だから、国中の公爵家や貴族が集まるパーティーで優しく話しかけた。
それからも、時々あって話したり、手紙を送ったりした結果、友達という地位をもらうことができた。
ちょっと外見は怖いけど、すごくいいやつだから。
ゾムルート、回避。
[水平線]
三人目・[太字]ロボロ[/太字] (現在19 殺害時21)
こいつが一番時間を使った。
なにせ、人に対する警戒心が高すぎるのだ、こいつは。
貴族として育ったロボロはあまり人と関わることがなく、身内にしか信頼をおけなかった。
しかし、庭に迷い込んだヒロインとの会話で心が解きほぐされて、ヒロインを好きになる。
大切な人を傷つけたという怒りをもって、弓でシャオロンの心臓をピンポイントで撃ち抜いたときは、「エイム良すぎん???」って何度も思った。
こういう人を相手にするとき、焦っちゃいけない、焦らせちゃいけない。
ゆっくり歩み寄ることが大切だとわかっていたので、パーティーとかで話したり、ロボロの家を訪ねたり。
同い年なのもあるんだろうけど、すぐに波長のあった俺らは、マブダチだ。
ロボロと一緒にいるとすごく楽しいし、仲良くなれてよかったと心から思ってる。
信用した人はとことん信じる彼は、俺を殺すことはもうない。
ロボロに殺されるルートは存在しない。
[水平線]
転生してから半年が立つ。
最初の頃はキャラが変わりすぎて、みんなに驚かれていたけど、最近は「やっと改心されたのだ」と思われている。
正直、こっちのシャオロンが可哀想。
時期的には、誰かがヒロインに会ったとしてもおかしくはない。
ぶっちゃけ、ヒロインなんてどうでもいい。
俺は、ただただ平和にいたいだけやから。
このあと誰がヒロインを好きになろうと、個人の自由だ。
本編では三人のうち誰を選んだのか書かれていないけど、この世界なら見られるかもしれない。
「? シャオさん?」
「んー? どうしたん」
「はよご飯食べましょ」
「そやな」
さて。今日は何をしようかな。
【続く】
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