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この作品は前作「能力者たちの詩編歌」の続編です。前作を見てない人はまずそちらを見てきてくれると話が理解しやすいと思います。
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希望に満てる知識欲

#10



「どうしてそんなに悲しい顔するの?」

「[太字]あなたは特別なのよ。木偶の坊のお姉ちゃんとは違うのよ、シエル[/太字]」

「このままいい子に育ってね。」

「[小文字]…[太字]私たちのために。[/太字][/小文字]」


あたしはずっと周りから特別な子として育てられた。
生まれつき賢くて、能力も便利で。
だから学校も受験させられた。仲の良い友人ができても、離れて遠くの頭のいい学校に行かされた。

ずっとあたしは賢くて特別で いい子で天才で
そんなレッテルをずっと貼られてきた。

___[小文字]あたしはこんな生き方、嫌…[/小文字]
「…だめ、みんなあたしに期待してるんだから、そんなこと言ったら罰が当たる」

___いつまでこんな顔してればいいの?
「いつまでもだよ。ずっと耐えた先に、愛されるあたしが待ってるんだから…」

___[大文字]どんなあたしでも愛してよ、いい子のあたししか認められないの?
そんな世界、そんなルール…![/大文字]
「……うるさい!黙って、周りの型に合わせるの!!!!!」

そうしてあたしは、本心に蓋をした。

姿も
心も
役割も
みんなみんな あたしのために誰かが作ったもの。
それを使って生きることが、あたしの人生の道。




高校生になっても変わらなかった。
ずっと同じ気持ちで、期待に応える100点の日々。

ただ違ったのが、先輩の存在だった。

[太字]神威 柳太[/太字]。
良く知らないけど、彼は中学生のころ、酷いいじめに遭っていたらしい。
神威「求真さん!」
その声からは想像も出来ないほどの暗い背景に、あたしも踏み込む気にはなれなかったんだけど。

神威「悩んでることあったらいつでも言ってね、力になるから!」
先輩はあたしをずっと気にかけてくれた。

2年生になったいつだったかのテスト。
親に褒められるために、愛されるためにキープしてきた学年1位。
その時は取り逃してしまったんだ。

神威「大丈夫だよ、2位ったって10点差でしょ?」
先輩はその日も励ましてくれた。
シエル「…あたしもそう思うんです、1位も2位も大差ないって。
…でも、だめなの。
みんなはずっとあたしに期待してるから…完璧な人生を…
もし「完璧から落ちた」ことを知ったら…あたしは…
お姉ちゃんみたいに…」

神威「……そんなこと、誰が言ったの?誰が決めたの?
…求真さんは本当に…その地位を、大切にしたいの?」

シエル「…」

神威「もっと求真さんらしくいこうよ!
…もし今までの事がつっかえてしまうなら、
それだって壊しちゃえばいいんだ!」

シエル「……あたし、らしく…」

って、何だっけ?

このままずっと高成績を保つことは、きっと将来役立つ。
あたしだって、いい仕事についていい生活したい。したいんだ…

…でも、本当に…したい、のかな…?

___[小文字]あたしはずっと、こんな生き方、嫌だったよ。[/小文字]
シエル「…!」

___こんなあたしでも愛してくれる人はいるよ。
シエル「でも…でも…」

___わからなくていい、今だけ、この蓋を取って?
シエル「…っ」

シエル「…あたしが…ほんとに…したいことは…!」


「シエル、あなたどういうつもりなの!!」

シエル「どうもこうもない、[太字]あたしは高校を中退して、
この家からも出ていって、知りたいことを追い求めるから。
聞こえなかった?何度でも言ってあげるよ。あたしは折れない。[/太字]」

「このままいい子にしてれば、もっといい職業につけるのよ!?」

シエル「で?それが何。興味ない、そんなの。」

シエル「あたしはもう、そんないい子いい子の立場は、嫌なの!!!!」

シエル「…貴女がこんなに拘束してよしよしした子にも、こうして逃げられた。
もう希望はないんじゃない?」

「…親に向かってなんて態度…!!」

シエル「お前こそ娘に向かってどーゆー態度してんだクズ!!お前のせいで
何度お姉ちゃんは泣くことになったと思ってんだ!!」

後にも先にも、これ以来あたしはこんなに声を荒げたことはない。

でも、これがあたしのありのまま。
嘘で作った蓋は捨てた。
知りたいことを知りに行く。
今までの地位も、権威も全部捨てたってかまわない。

あたしは求める、真に知りたいことを。

あたしはそうやって、前を向いたんだっけ…。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

いえいシエルの過去回だぞ~~
なぜかソプラノの時のほうが長かったぞ~なんでだマジで((
そしてもうすぐ閲覧数200だぞ!!ベリーベリー感謝だ!!!ありがとう!!

2024/11/18 20:45

おとうふ ID:≫rpvJPv02lqkiQ
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