一話「お前は本当に女か？」
ピピピピ
光「ふぁー。もう朝か。仕事に行かなくちゃいけないな」
俺の名前は西本光、長所も短所も特にないただのしがない医者だ。
俺は「西本クリニック」を経営している父を継いで5代目西本クリニック経営者？となって3年、特に変わったことはない。
強いていうなら「妻」ができたことだ。
妻の名前は西本綾香(旧：山之内綾香)、元々は山之内コンポレーションという大金持ちグループの長女だ。容姿端麗で運動神経がよく性格もいいのだがコイツには大きな問題がある。
それはなんと女なら必ずできるであろう「家事」が何一つできないのだ。
付き合ってから3年、結婚してから1年経つのだが妻は自分から家事ができたことが一度もない。本当はやってほしいが俺も朝っぱらからこんがりこげてまるでプラバンづくりを失敗したかのような大きさになったパンを食べたくはないので自身で作っている、もちろん妻の分もだ。
ガチャ
綾香「おはよう、光くん」
光「ああ、おはよう。アヤ」
妻はいつも4時になると俺を迎えに部屋まで来てくれる。結婚してからの恒例行事ともなっている。それにアヤ(妻の呼び方、俺が勝手に呼んでいる)が必ず来てくれるのには理由がある。
綾香「今日は、朝から花井コンポレーションの社長との面会があるから朝はスーツで行くといいよ。次に新しくワクチンの入手があるよ、準備しておいてね。それと情報番組の方が最近新しくできた注射方法について質問があるからね。その他いろいろあるけれどそれ以外はこのスケジュール表を見てね」
この通りアヤは記憶力が良く何か聞いたら絶対に忘れないタイプだ。だが家事は何度教えてもできなかった。しかしその記憶力を何かに活かせると思って俺の毎日のスケジュールを教えてもらっているのだ。
光「ああ、ありがとう。いつも助かっている」
綾香「いえいえ、こんな私を妻として迎えてくれることの方が助かっています。」
光「はは、もっと自信持てよ」
綾香「フフフ、できたらね」
光「そうだ、今日の朝ごはんは何がいい？」
綾香「そうだなぁ、光くんは何がいい？」
光「なんでもいいよ」
綾香「それじゃあペンネパスタが良いかな。オムライスも捨て難いけど今の気分はペンネ！」
光「OKペンネな。まぁどちらにしてもオムライスは無理だよ、だってアヤの好きなオムライスは少し前に高級レストランで食べたやつだろ？俺は五つ星シェフじゃないからな。」
綾香「光くんが作ってくれるものは五つ星シェフより美味しいよ？なんせ気持ちが詰まった世界で一つの料理だから！」
光「ハハハ、ペンネは冷凍食材だけどな」
綾香「ムッ、ほかの料理の時に言えば良かった・・。名言だと思ったのにぃ」
光「そうだなぁ。」
そんな会話で俺たちの朝は始まる・・・。