おほほですわ
ワンは、ある喫茶店に立ち寄った。カランコロン。
「いらっしゃい、ご注文は?」
白い口髭を生やした喫茶店のマスターがワンを見て、注文を尋ねる。ワンは淀みなくこう答えた。
「コーヒーは冷めない内に温めて」
ピクッとマスターの片眉が動く。やがて恭しく頭を下げ、奥の扉を指して言った。
「あちらに、ございます」
「わかった」
ワンは小さく顎を引くと、奥の扉に向き直って歩き、奥の扉の中へと入っていった。
奥の扉の中は、一見スタッフルームに見えるが、そこに不釣り合いな電話ボックスが置いてあった。
ワンは、電話ボックス内に入り、電話についている数字のボタンをある規則に従い打ち込んだ。すると。
ガコッ。音がした。その後にガシャンとワンの立っているところだけ床がそのまま、スーーっと緩やかに下がっていく。
やがて止まると、ポーンと音がして目の前の空間に光が差した。
「やあ、ご苦労。お疲れ様~~」
そこには、執務机の方にいる上機嫌の上官が労いの言葉を掛けてきた。そう、ここは彼らスパイの地下アジトの1つである。
「ただいま戻りました。上官」
「うん! あ、今はお仕事じゃないから上官じゃなくてサウザンドちゃんでいいよ~~」
ワンはズッコケた。
「いえ、上官。それでは示しがつかないでしょう」
サウザンド上官は、弱冠20歳のエリートスパイである。が、ピチピチな金髪おにゃのこでもある。
「ん~~なんか堅苦しいの苦手でさ~~。ワンちゃんもそう思わない?」
「……思わなくはないですが」
「でっしょーー? じゃあいつものようにサウザンドちゃん愛してる今宵は寝かせないぜって言って?」
「言ってませんね。捏造しないでください」
「ちぇ~~。つまんないの~~」
ぶーとむくれるサウザンドちゃん。だがすぐにニコッとして、指でハートマークを作った。
「でもそんなつれないところもす・き」
「これが回収したものになります」
さっとUSBメモリを執務机の上に差し出すワン。
「んも~~。ありがとありがと」
スルーされたことにプンプンしながらサウザンドちゃんは、USBメモリを手にする。
「……うむ。間違いない。よくやったワン」
上官モードのサウザンドちゃんが鷹揚に頷いてみせる。ワンはすっと頭を下げて礼をした。どこまでも律儀であるワンちゃん。
「それではこれで」
「待て。話はここからだ」
「ゲームは1人でやってください」
「違うよう!」
駄々っ子サウザンドちゃんが否定する。
「ゲームもしたいけど! これはマジの最重要ミッションなの! ちゃんと聞く!」
ワンは、嘆息しながら、姿勢を正した。
「どんな任務でも必ずや遂行してみせます。詳細をお聞かせ願えますか?」
ワンは、どこまでも、実直な男なのだった。
「いらっしゃい、ご注文は?」
白い口髭を生やした喫茶店のマスターがワンを見て、注文を尋ねる。ワンは淀みなくこう答えた。
「コーヒーは冷めない内に温めて」
ピクッとマスターの片眉が動く。やがて恭しく頭を下げ、奥の扉を指して言った。
「あちらに、ございます」
「わかった」
ワンは小さく顎を引くと、奥の扉に向き直って歩き、奥の扉の中へと入っていった。
奥の扉の中は、一見スタッフルームに見えるが、そこに不釣り合いな電話ボックスが置いてあった。
ワンは、電話ボックス内に入り、電話についている数字のボタンをある規則に従い打ち込んだ。すると。
ガコッ。音がした。その後にガシャンとワンの立っているところだけ床がそのまま、スーーっと緩やかに下がっていく。
やがて止まると、ポーンと音がして目の前の空間に光が差した。
「やあ、ご苦労。お疲れ様~~」
そこには、執務机の方にいる上機嫌の上官が労いの言葉を掛けてきた。そう、ここは彼らスパイの地下アジトの1つである。
「ただいま戻りました。上官」
「うん! あ、今はお仕事じゃないから上官じゃなくてサウザンドちゃんでいいよ~~」
ワンはズッコケた。
「いえ、上官。それでは示しがつかないでしょう」
サウザンド上官は、弱冠20歳のエリートスパイである。が、ピチピチな金髪おにゃのこでもある。
「ん~~なんか堅苦しいの苦手でさ~~。ワンちゃんもそう思わない?」
「……思わなくはないですが」
「でっしょーー? じゃあいつものようにサウザンドちゃん愛してる今宵は寝かせないぜって言って?」
「言ってませんね。捏造しないでください」
「ちぇ~~。つまんないの~~」
ぶーとむくれるサウザンドちゃん。だがすぐにニコッとして、指でハートマークを作った。
「でもそんなつれないところもす・き」
「これが回収したものになります」
さっとUSBメモリを執務机の上に差し出すワン。
「んも~~。ありがとありがと」
スルーされたことにプンプンしながらサウザンドちゃんは、USBメモリを手にする。
「……うむ。間違いない。よくやったワン」
上官モードのサウザンドちゃんが鷹揚に頷いてみせる。ワンはすっと頭を下げて礼をした。どこまでも律儀であるワンちゃん。
「それではこれで」
「待て。話はここからだ」
「ゲームは1人でやってください」
「違うよう!」
駄々っ子サウザンドちゃんが否定する。
「ゲームもしたいけど! これはマジの最重要ミッションなの! ちゃんと聞く!」
ワンは、嘆息しながら、姿勢を正した。
「どんな任務でも必ずや遂行してみせます。詳細をお聞かせ願えますか?」
ワンは、どこまでも、実直な男なのだった。
このボタンは廃止予定です