隣の席の赤新さん
僕と赤新さんは屋上から下りて、校舎の中にある自動販売機の前で飲み物を買って、その場でゆったりとしていた。
「赤新さん。僕からも1ついいかな?」
僕はそう切り出した。
「どうぞ~~。ズズズ」
赤新さんは紙パックのいちごミルクを飲みながら、言葉の続きを待つ。ちなみに僕はメロン・オレ。こちらはペットボトルだ。
僕は、キャップを回して、メロン・オレを一口飲む。甘くて美味しい。
「ルーズリーフにも書いたと思うんだけど……」
僕は一拍置いて、赤新さんに〖とある希望〗を告げた。
「僕の書いた小説を読んでほしいんだ」
我ながら烏滸がましいことを言っているなとは思う。でも僕は自分の欲望に逆らわず、素直になった。
どうしてもこの小説を赤新さんに読んでもらいたかったから。僕は緊張しながら赤新さんの返事を待つ。
「いいよ~~」
軽かった。めちゃくちゃ返事が軽かった。僕は呆気に取られてしまった。何だろう……肩すかしを食らったような感じだ。
依然として、紙パックのいちごミルクのストローをチューチューする赤新さん。ふとその唇を見て、僕はドキッとしてしまった。
僕が慌てて目を逸らし、メロン・オレをグビグビ飲んでいると赤新さんは僕を不思議そうに見つめていた。
「い、いいの? 本当に?」
「うん。吉川君の小説読んでみたい」
嬉しかった。その言葉が聞けて本当に嬉しかった。僕はその喜びを胸に噛み締めていた。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
こんな他愛ないやり取りでさえもこんなにも楽しく思えるのはなぜだろうか。ぼっちの僕には知る由もなかったこの感情の正体はきっと――
とても温かいなにか、なのだろう。
「赤新さん。僕からも1ついいかな?」
僕はそう切り出した。
「どうぞ~~。ズズズ」
赤新さんは紙パックのいちごミルクを飲みながら、言葉の続きを待つ。ちなみに僕はメロン・オレ。こちらはペットボトルだ。
僕は、キャップを回して、メロン・オレを一口飲む。甘くて美味しい。
「ルーズリーフにも書いたと思うんだけど……」
僕は一拍置いて、赤新さんに〖とある希望〗を告げた。
「僕の書いた小説を読んでほしいんだ」
我ながら烏滸がましいことを言っているなとは思う。でも僕は自分の欲望に逆らわず、素直になった。
どうしてもこの小説を赤新さんに読んでもらいたかったから。僕は緊張しながら赤新さんの返事を待つ。
「いいよ~~」
軽かった。めちゃくちゃ返事が軽かった。僕は呆気に取られてしまった。何だろう……肩すかしを食らったような感じだ。
依然として、紙パックのいちごミルクのストローをチューチューする赤新さん。ふとその唇を見て、僕はドキッとしてしまった。
僕が慌てて目を逸らし、メロン・オレをグビグビ飲んでいると赤新さんは僕を不思議そうに見つめていた。
「い、いいの? 本当に?」
「うん。吉川君の小説読んでみたい」
嬉しかった。その言葉が聞けて本当に嬉しかった。僕はその喜びを胸に噛み締めていた。
「あ、ありがとう……」
「どういたしまして」
こんな他愛ないやり取りでさえもこんなにも楽しく思えるのはなぜだろうか。ぼっちの僕には知る由もなかったこの感情の正体はきっと――
とても温かいなにか、なのだろう。
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