隣の席の赤新さん
「「ご馳走様でした」」
お昼を食べ終わり、僕と赤新さんは食後のお茶で一服していた。
「吉川君はおにぎりの具で好きなのはある?」
唐突な質問をぶっ込んできた赤新さん。
「ん~と。エビマヨ、かな」
僕がそう答えるとへ~と赤新さんはちょっと驚いた顔をしていた。
「ツナマヨじゃないんだ?」
「ツナマヨも好きだけど……。小学生の頃に食べた時の衝撃が凄くて。あのエビのプリプリ感とマヨネーズのまろやかさがベストマッチしているというかなんというか」
「わかりみ~~」
ふんふんと赤新さんが賛同してくれた。ありがたい。
「赤新さんは?」
「たくあん」
それおにぎりの具じゃなくない? まさかの付け合わせの方だった。まあ、美味しいけど。
「あのコリコリ感がいいのよ」
赤新さんは、実感込もった口調で僕にそう告げてきた。僕は、ゆっくりと頷く。
「まあ、確かにね。キュウリの浅漬けとかも僕は好きだし……ん?」
あれ? ちょっと待って? たくあんって野菜だよね? 大根だし。
「たくあんは別~~」
エスパーの赤新さんが僕の考えを先読みしてきた。親指と人差し指で小さくたくあんの形を作って見せてくる。なんだか可愛い。
「そ、そうなんだ……」
よ、よく分からない……。赤新さんはやっぱりちょっと変だ。……でも。
「そうなんです。……ね、吉川君。1つ聞いてもよろし? 大根おろし?」
大根おろしいる?
「ど、どうぞ……」
僕が手で先を促すと、赤新さんは小さく口を開いた。
「午前中、言ってたじゃない? 私がちょっと変なのは変なのかなって」
僕は大きく頷いた。
「うん。言った」
「私ね……びっくりしたんだ。みんな優しいから私がこういうこと言うと決まって『大丈夫だよ。変じゃないよ』とか、『気にしなくてもいいから』とか励ましてくれるんだよね」
「…………」
「でも私ちょっと変なんだよね。自覚はしてる。だから毎度毎度不安に思っちゃってたんだけど……」
赤新さんが俯いていた顔を上げ、僕をチラリと見た。
「吉川君は、違った。ちょっと変を、否定しなかった」
あの時、聞こえなかったけどそういうことを言っていたんだ。僕は納得する。
「だから、その、ありがとう……」
「!!」
赤新さんのお礼の言葉に僕は凄く照れくさくなって思わず俯いてしまった。この人は……自分の可愛さも自覚しているのだろうか?
「吉川君? どうしたの?」
今覗き込まれるとまずい。僕は咄嗟に両手で顔を隠した。理由は言わずもがな恥ずかしいからだ。こんなに至福なことがあってもいいのかと僕は思った。空は、晴れまくっていた。
お昼を食べ終わり、僕と赤新さんは食後のお茶で一服していた。
「吉川君はおにぎりの具で好きなのはある?」
唐突な質問をぶっ込んできた赤新さん。
「ん~と。エビマヨ、かな」
僕がそう答えるとへ~と赤新さんはちょっと驚いた顔をしていた。
「ツナマヨじゃないんだ?」
「ツナマヨも好きだけど……。小学生の頃に食べた時の衝撃が凄くて。あのエビのプリプリ感とマヨネーズのまろやかさがベストマッチしているというかなんというか」
「わかりみ~~」
ふんふんと赤新さんが賛同してくれた。ありがたい。
「赤新さんは?」
「たくあん」
それおにぎりの具じゃなくない? まさかの付け合わせの方だった。まあ、美味しいけど。
「あのコリコリ感がいいのよ」
赤新さんは、実感込もった口調で僕にそう告げてきた。僕は、ゆっくりと頷く。
「まあ、確かにね。キュウリの浅漬けとかも僕は好きだし……ん?」
あれ? ちょっと待って? たくあんって野菜だよね? 大根だし。
「たくあんは別~~」
エスパーの赤新さんが僕の考えを先読みしてきた。親指と人差し指で小さくたくあんの形を作って見せてくる。なんだか可愛い。
「そ、そうなんだ……」
よ、よく分からない……。赤新さんはやっぱりちょっと変だ。……でも。
「そうなんです。……ね、吉川君。1つ聞いてもよろし? 大根おろし?」
大根おろしいる?
「ど、どうぞ……」
僕が手で先を促すと、赤新さんは小さく口を開いた。
「午前中、言ってたじゃない? 私がちょっと変なのは変なのかなって」
僕は大きく頷いた。
「うん。言った」
「私ね……びっくりしたんだ。みんな優しいから私がこういうこと言うと決まって『大丈夫だよ。変じゃないよ』とか、『気にしなくてもいいから』とか励ましてくれるんだよね」
「…………」
「でも私ちょっと変なんだよね。自覚はしてる。だから毎度毎度不安に思っちゃってたんだけど……」
赤新さんが俯いていた顔を上げ、僕をチラリと見た。
「吉川君は、違った。ちょっと変を、否定しなかった」
あの時、聞こえなかったけどそういうことを言っていたんだ。僕は納得する。
「だから、その、ありがとう……」
「!!」
赤新さんのお礼の言葉に僕は凄く照れくさくなって思わず俯いてしまった。この人は……自分の可愛さも自覚しているのだろうか?
「吉川君? どうしたの?」
今覗き込まれるとまずい。僕は咄嗟に両手で顔を隠した。理由は言わずもがな恥ずかしいからだ。こんなに至福なことがあってもいいのかと僕は思った。空は、晴れまくっていた。
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