[斜体]6月8日 午前7時[/斜体]


一馬「はあ…やだなあ…」

重い足を引き摺りながら高校一年生である僕は学校に登校する。

僕の父親はカイシンコーポレーションという会社の社長だった。
それが最初学校に広まったときはだいぶ騒がれて一時期人気者になれた。しかし…
お金持ちな事や断れない自分の性格が災いしていつしか僕はATMのような扱いを受けるようになっていた。

「今日○○行こうぜ！」「え？あそこの店高くない？」
「そこは一馬に金借りたらいいじゃん(笑)」

そんな会話を廊下でしているのを聞いたことがある。
まあ、聞いた癖に結局押しに負けてお金を貸してしまったから自分にも原因は大アリだけどね…
父親は僕を＿＿＿＿＿＿

[太字][大文字]ドカッ[/大文字][/太字]

考え事をしながら歩いていたせいで曲がり角で誰かとぶつかってしまった。

[太字]「ごめん！だいじょーぶ⁉︎痛かったよね⁉︎」[/太字]

目を開けると、綺麗で長い黒檀の色の髪が目立つ女の子が立っていた。

一馬「あっはい…大丈夫です…」

こけた勢いで散らばった僕の教科書を拾いやや強引に僕のカバンに詰め込む。

「ごめんね？」

女の子は舌をぺろりと出しながらそう言うと駆け足でどこかに行ってしまった。


…僕の周りには彼女の花の匂いのようなものがまだ残っていた。


[水平線]

学校に着き＿＿＿＿＿＿。

先生「今日は転校生が来たから自己紹介してもらうぞー。さぁ、入ってきなさい」

教室に入ってきた者に僕は二度見した。

一馬[太字]「…え？」[/太字]

優香「今日から転校してきました！[漢字]花園[/漢字][ふりがな]はなぞの[/ふりがな] [漢字]優香[/漢字][ふりがな]ゆうか[/ふりがな]ですっ………[太字]あー！[/太字]」

彼女…優香さんは僕に指をさす。
そう、転校生は今日の朝ぶつかった子だったのだ。

先生「ん？なんだお前ら知り合いか？ならちょうどいい。一馬の隣に座りなさい」

優香さんがこっちに近づいて…隣に座った。

優香「一馬君よろしく！…今朝はごめんね？」

一馬「あっひゃい‼︎だいじゃべっ大丈夫デス‼︎」

彼女は大きな、宝石のような輝きの瞳でこちらを見つめる。
この時から、僕はもう彼女の虜になっていたのかもしれない…。