[斜体][漢字]神外[/漢字][ふりがな]かみそと[/ふりがな]町 某ファミリーレストラン内[/斜体]


吉田[太字]「なあカズ…奢ってくれよ…“トモダチ”だろ？」[/太字]

吉田は僕の肩に腕を乗せる。

[漢字]灰真一馬[/漢字][ふりがな]かいしんかずま[/ふりがな]「えっ…で、でもこの前も僕が奢ったのに…」

僕がそう言うや否や吉田はあからさまに不機嫌な顔になった。

吉田[太字]「いーじゃねーか！お前はあの大企業《カイシンコーポレーション》の御曹司なんだろ⁉︎金持ちなんだろ⁇この程度も奢らないとかチョーケチじゃね⁉︎」
[/太字]

吉田と[漢字]親友[/漢字][ふりがな]マブダチ[/ふりがな]の佐藤と石井もうんうんと頷いた。

佐藤「俺らが食ったのなんてポテトとからあげだけじゃん！」

石井「そーそー、金持ちのお坊ちゃんには安いもんでしょ(笑)」

僕は小さな声で言う。

一馬「[小文字]でも、どのお店行っても毎回僕が払ってるじゃないか…これじゃ友達じゃなくてまるで財布…[/小文字]」

吉田「はぁ…お前がこんなに酷いやつとは思わなかったぞ？“トモダチ”やめちゃおっかなぁ…？」

一馬[太字]「ち、ちょっと待ってよ！奢る！奢るから‼︎」[/太字]

吉田がニヤリと笑う。

吉田[太字]「そうそう！ソレが正しい！やっぱり俺たちはトモダチだな！」[/太字]

僕を除く全員が大爆笑した。

[水平線]

一馬「はあ…やっぱみんな僕をただの財布としか思ってないのかな…」

家に帰ってきた僕は自室でそう呟いた。
吉田達の憎たらしさと同時に何事も断りきれない自分に情けなくなる。

一馬[太字][斜体]「本当の“友達”が欲しいよ……」[/斜体][/太字]


この時の僕は知らなかった。まさか次の日に、友達どころか『運命の人』と出会うことになるなんて…。