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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現が含まれている場合があります。
これを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

【せかゆめ1周年!これからもよろしくお願いします!】

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世界に溢れる夢

#92

92.霧と仮面と蜜の味(4)

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ミエルが仮面を外し、その顔が露わになる。その顔立ちはハイヴにそっくりだった。ノイトはそれを見てフィルマリーの先程の発言を思い出す。
(なるほど...確かにフィルさんが言ってた通り、血縁関係っぽいな...。)
[明朝体]「...兄さん。私はこの街に来てから、守るべきものを知りました。その責任は取らなければいけないので...私はこの街に残ります。」[/明朝体]
ハイヴはミエルの言葉を聞いてから静かに頷き、言葉を返した。
「ミエル、あなたが決めたことなのであれば私がそれを止める権利はありません。しかし、ノイト様を試すような真似を行い、魔族と戦わせるような事態を引き起こすのは違います。」
[明朝体]「...はい。分かり、ました。」[/明朝体]
ミエルが反省した様子を確認して、ノイトはミエルに尋ねる。
「いえ、別に僕は大丈夫だったんで気にしなくて良いですよ。...ところで、僕達はこの街から外の世界に戻りたいんですけど、出口はどこですか?」
ミエルは街全体を囲う深い霧を指差す。
[明朝体]「霧の中を真っすぐ進めば外に出られる...が、そのためには強力な魔法か魔術で結界を破らなければこの街からは出られないようになっている。」[/明朝体]
「なるほど。それなら心配いらないですね。」
ノイトはリーリャたちが居る方へと戻り、街を出ることを伝える。ミエルはハイヴに咎められたことによってそれ以上口を出してこなくなっていた。ノイトたちがいざ街の外へと歩き出したその時、ハイヴが後ろから声をかける。
「あの...!」
「[小文字]あぁ、大丈夫。リーリャたちは先に行ってて。[/小文字]......どうしましたか?」
ハイヴは申し訳なさそうな顔でノイトに自分の意志を伝えた。
「ノイト様にお誘いいただきましてこの旅にご同行させていただいた身でありながら誠に非礼ではございますが...、私はこの街に残りたいと思います。」
[明朝体]「......兄さん?!」[/明朝体]
ノイトは微笑んでミエルの方を見てからハイヴに話しかける。
「分かりました。それがハイヴさんの意志であれば、僕がそれを否定する権利なんてものはありませんしね。それと、僕に着いてきたのもあなたの意志です。非礼だなんて言わないでください。」
「...。...ありがとうございます。どうか、お気をつけて。」
「ハイヴさんとミエルさんも、これから頑張って下さいね!」
ノイトはそう言って一礼し、先に街の外へと向かっていたリーリャたちの方へと駆け出した。
[明朝体]「兄さん...どうして...?」[/明朝体]
「...確かにノイト様は大事な仲間です。しかしどうやら、私は唯一の肉親の方が大切みたいです。ノイト様も、きっとそうしたでしょう...。それに...、まだ先程の質問に答えてもらっていないですからね。」
[明朝体]「あ...。ハァ...分かりました。それじゃあ兄さん、紅茶とコーヒーが美味しい喫茶店があるので、そこでお話しましょうか。」[/明朝体]
その兄弟は魔神を何度も倒した少年とは正反対の方へ歩みだしていったが、心の中には少年の言葉が残り続けていた。

 ──つべこべ考えている暇があれば、行動してしまった方が良いです。

ハイヴに足りていなかった野心と言うものを与えた言葉はこれからのハイヴの生き様そのものになるのであった。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトたちは街の端に到着した。霧が分厚い壁のように街を囲っていて、半端な魔法ではこじ開けることも出来なさそうだ。しかし、この場には魔神にも有効な攻撃を扱える者、魔法や魔術の知識に長ける者、王族の血を受け継いでおり膨大な魔力を有する者、未知の魔法で世界を変える者が揃っている。
「さてと...誰から試してみる?」
「はい!私から行かせてください!!」
「それじゃあフィルさん、どうぞ!」
フィルマリーは杖をかざして魔術を放った。
[中央寄せ][太字][明朝体]上級魔術:[大文字]〘ᚵᚪᛚᛖ〙[/大文字][/明朝体][/太字][/中央寄せ]
フィルマリーが放った猛風が渦となって霧を抉り、道を作った。
「どうですかノイトさん!」
「ん〜、ちょっと先が暗いですね...。」
「え〜、そんな〜...!」
「ノイト、それなら私が。」
リーリャは前に出て炎を弓矢を構える。ルミナスとフィルマリーはリーリャがピアノの演奏以外の魔法を見るのが初めてであるため驚いていた。ノイトはリーリャが魔法を放つまでの間に、マジックバッグから【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を取り出す。リーリャの指先が差すのはフィルマリーが作り出した隙間。それを、[漢字]緋[/漢字][ふりがな]あか[/ふりがな]い炎が照らす。

[中央寄せ][太字]超級魔法:[大文字][明朝体]『[漢字]獄炎弓箭[/漢字][ふりがな]プロクス・ヴェロス[/ふりがな]』[/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]

炎が霧のトンネルを照らす。そして、ノイトがその光源の動きを抑えた。

[水平線]
[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]遅延再生[/漢字][ふりがな]スローモーション[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]
[水平線]

ノイトの魔法で炎が進む速度が遅くなり、ノイトたちが走らずとも明るいトンネルを進むことが出来るようになった。
[太字][明朝体]「わぁ!リーリャさんもお兄ちゃんもすごいです!!」[/明朝体][/太字]
「えへへ...ノイトの魔法をずっと見てたから、覚えちゃったみたい。」
リーリャはノイトの腕に自身の腕を絡ませる。ノイトはリーリャがいつもより近くに居ることを感じつつも、お得意の謙虚さを披露する。
「僕の魔法がきっかけだったとしても、それはリーリャの実力だよ。実際、僕が“記憶の魔神”に使った魔法の反動で動けなくなってた時に、魔神にトドメをサシてくれたのはリーリャじゃん。上級魔導師も一撃で仕留めてたし。」
[太字][明朝体]「魔神にトドメを!? 私もいつかリーリャさんみたいに強くなれるでしょうか?」[/明朝体][/太字]
ノイトはルミナスがはしゃいでいるところを久しぶりに見て笑った。リーリャはノイトの顔を軽く覗き込みながら話す。
「アハハッ...でも、私が魔神にトドメを刺せたのはノイトの魔法のお陰だよ〜?」
「偶然魔神との相性が良かっただけだよ。他の魔神が相手だったら2人で討伐なんて出来ないでしょ。」
霧のトンネルをある程度進んでいくと、見えない魔力の壁に突き当たる。
「これは...先程ミエルさんが言っていた魔術の壁ですかね?」
[太字][明朝体]「お兄ちゃん!お兄ちゃんやリーリャさんやフィルマリーさんだけにおまかせしてばかりではノルティークの血を引く者として申し訳ないです!今度は私にやらせて貰えませんでしょうか!!」[/明朝体][/太字]
「もちろん。まだ強くなったルミナの実力が見れてないからね〜。それじゃあ、ここは任せたよ。」
[太字][明朝体]「はい!」[/明朝体][/太字]
[太字][明朝体](これは先程の黒い羽の影とは違ってどこかに本体があって、それを攻撃すれば良いと言うわけではなさそうです...。結界そのものを全て壊すことは出来ないけど...お兄ちゃんやフィルマリーさんみたいに一箇所だけなら!)[/明朝体][/太字]

[中央寄せ][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]光の剣[/漢字][ふりがな]クラウ・ソラス[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/中央寄せ]

[中央寄せ][斜体][明朝体][太字]〈バリンッ〉[/太字][/明朝体][/斜体][/中央寄せ]
ルミナスの一突きが結界に穴を開ける。ルミナスは自分がノイトたちのために貢献出来たことを実感して喜んだ。
[太字][明朝体]「やりました!お兄ちゃん、やりましたよ!」[/明朝体][/太字]
「すごいじゃん!この結界、普通の魔法じゃ破れないくらいに頑丈なのに...ルミナのお陰で助かったよ。ありがとう!」
(......で、リーリャはいつまで僕にくっついているつもりなんだろ...?)
ノイトたちはルミナスが結界に開けた穴から外に出て、再び霧の中を歩き始めた。街に入ってきた際には油断していたためリーリャとルミナスとフィルマリーが霧を吸い込んで眠ってしまったが、今はノイトが一定範囲の浄化を施しているため誰も眠ってしまうことなく霧が晴れた場所まで移動出来た。
「あれ...?もう夕方?何だか時間感覚が変になっちゃう...。」
「まぁ、疲れただろうし近くの街の宿で泊めてもらおうか。」
[太字][明朝体]「宿ですか!私、今まで宿屋に泊まったことがなくて...どんな場所か楽しみです!!」[/明朝体][/太字]
「楽しみにするようなものではないけどね。」
フィルマリーは杖を掲げて辺りの様子を確認した。
「ん......取り敢えず、近くに魔物は居ないようですね。近くの街はあっちです!」
「よし、それじゃあレッツゴー!」
こうしてノイト、リーリャ、ルミナス、フィルマリーの4人は近くの街に向かって歩き出すのだった。

[中央寄せ]エリア〚温泉郷・ユートマルス〛[/中央寄せ]

[太字][明朝体]「わぁ〜!お兄ちゃん、これは何ですか?」[/明朝体][/太字]
「温泉、だね。天然のお風呂。メルの故郷のノービリアも温泉は良かったけど、この街の温泉も気持ちよさそう...!!」
[太字][明朝体]「その温泉、というのは男女で分かれて入るものなのですか?」[/明朝体][/太字]
「んー、混浴っていう概念はあるけど、僕はそういうのは生理的に嫌かな。」
「でも、ハイヴさんが居なくなってしまった以上、ノイトさんが一人ぼっちになっちゃいますよ?」
「......僕は大丈夫ですよ。...さぁ、温泉入ってゆっくりしたいですし、さっさと宿の部屋借りましょう!」

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

顎が暖かいお湯に浸かった感覚がしたのは、きっと体勢を変えたことによって起こった水面の揺れのせいだろう。視界の下の方から昇っていく湯気が暗い空に向かっていき、やがて見えなくなる。
(あぁ...私、何してたんだっけ...?)
少し離れた場所からルミナスとフィルマリーの声がした。ルミナスは初めて入る温泉にはしゃいでいるようで、フィルマリーがルミナスの話し相手になっているようだ。
(ノイトは、また一人ぼっちで入ってる...やけに混浴を嫌がってるみたいだけど...昔、何かあったのかな...?)
ルミナスとフィルマリーは満足したようで、先に上がって借りた部屋に戻るらしい。フィルマリーがどうするのかを聞いてきたため、答える。
「私は...まだ、もうちょっと入ってる。」
2人が脱衣所へと戻って話し声が小さくなっていくのを聞き流しながら、深く息を吐いた。そして、しばらくしてから声をかけてみる。
「...ねぇ、ノイト。...聞こえてる...?」
少しの間が空き、返事が帰ってきた。
[中央寄せ]〈うん、聞こえてるよ。...どうしたの?〉[/中央寄せ]
仕切り垣の向こう側から聞こえる声は、何だかいつもと違って聞こえる。だけど、確かにノイトの声だと分かった。
(どうしてだろう...。)
再びに思いに耽るところだったが、ノイトに声をかけてから言葉を返していなかったことを思い出して会話を続ける。
「ううん、別に...何かあったわけじゃないんだけどね...。...ちょっとだけ、ノイトの声が聞きたくなっただけ。」
目を閉じると、浸かっているお湯の熱がよく身に沁みるのを感じた。
[中央寄せ]〈...そっか。〉[/中央寄せ]
短い言葉であるにも関わらず、心に温もりを感じる。やっぱり、ノイトと一緒に居ると楽しい。それからまたしばらくの間静かな温泉に浸かって少し考え事をして、お湯から上がる。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

部屋に戻ると、ルミナスがフィルマリーの話を面白そうに聞いていた。
「フィルさん、ルミナに何の話をしていたんですか?」
「ノイトさん、おかえりなさい!丁度、魔神についての話をしていたところです。ノイトさんのお話も是非!」
少し遅れてからリーリャも部屋に帰ってきて、4人全員が揃った。黒一点であるノイトはメルクと一緒に居た頃を思い出して少し寂しく感じたが、目の前で目をキラキラさせてこちらを見ているルミナスを見てそれも気にならなくなる。
「それじゃあ、“記憶の魔神”と戦った時の話...で良いのかな?」
(誰でも良い、っていう訳では無いけど...。)
ノイトは目の前に広がる空間を見て自然と顔が綻んでくるのを感じた。
[太字][明朝体]「どんな戦いだったのかは以前ドメリアスさんの魔術で見させていただきましたので、今はその時のお兄ちゃんの心情と戦略について教えてくれませんか?」[/明朝体][/太字]
「うん、分かった。」
(これが...今、目の前にあるものを大切にする、ってことなのかな。)
その夜は遅くまで笑いで満ちた時間が続き、先程までの懸念はいつの間にかどこかに消えていっていた。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は、霧の街・ブリュエルからの出発と温泉郷・ユートマルスでの休息を描きました。今回で短いながらも“霧の街”篇は幕引きとなり、次回からはディアスムングロール大陸後篇に入ります。そして...。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受け付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

[追記]
キリ良く100話で終わるかどうかは分からないのであまり期待はしませんように...お願いします。

2026/01/14 21:12

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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