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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現や戦争などに関連する内容が含まれている場合があります。
これらを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#83

83.魔族と欲

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚学術都市・ノルストラ〛[/中央寄せ]

ノイトとリーリャは一緒に街の中央広場へと来ていた。
「ノイト、何か探してるの?」
「あぁ...ちょっとね。一応、ミルーサさんの弟の行方不明届けが出ているかどうかだけ確認しに来たんだけど...見た感じ出てなさそうだね。」
「そうだね...。ねぇ、ノイト...やっぱり心配なの...?」
ノイトがそう問いかけてくるリーリャの方を向くと、こちらを不安げな表情で覗き込んでいる。ノイトはリーリャを落ち着かせるように微笑んで答えた。
「うん、ちょっと心配だね...だけど、きっと見つかるよ。」
「...うん、そうだねっ!」
ノイトは中央広場を離れてある店に入った。リーリャも後に続くように入っていくと、中には色々な[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]が置かれていた。ノイトはマジックバッグから高級[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を取り出してカウンターに並べる。
「すみません、物々交換しませんか?」
「ん〜、良いよ〜」
ものすごくマイペースそうな店員が出迎えてくれた。店員がカウンターの上に置かれた[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を見ると、奥から水色や緑色の液体が入った瓶を取り出してくる。
「これでどうかな〜?水色のやつが一時的な感覚増強の効果、緑色のやつが一時的に魔力を抑える効果だね〜」
「それぞれ5個ずつください。」
「は〜い」
店員が2種類の[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を持ってきて、それをノイトに渡す。
「どっちも珍しいやつだから大事に使うんだよ〜。合計でその高級[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]12本だね〜」
ノイトがノルティーク王から貰った高級[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]の数は20本であるため、これで3種類の[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]が揃ったことになる。
「ありがとうございました!」
「またよろしくね〜」
店を出てノイトはリーリャと『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』へと向かった。
「ノイト、もう出発するの?」
「いや、ディアスムングロール大陸じゃなくてヴェルグランド大陸に用事があるんだよ。以前、メルが所属してる組織の黒いローブの男に襲われてゆっくり見れなかったからね。」
リーリャはノイトの話を聞いて頷く。2人は『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』をくぐり抜け、貿易都市・レミステラへと移動した。

街中を歩いて港へと向かっている途中で、2人はエスミルト騎士団の格好をした人物を見かけた。
「リーリャ、あれって...」
「ロズウェルさんだ!!」
リーリャの声を聞いてロズウェルが振り返った。
「ノイト、リーリャ!久しぶりだな!! 元気だったか?」
「「はい!」」
どうやらロズウェルはある用事のためにレミステラに来ているようだった。
「え...ルミナス様の護衛任務...?ってことは、今この街にルミナス様が...!ノイト、どうするの?会いに行く...?」
ノイトは少し俯いて考える素振りをしてから首を横に振った。
「いや...今は止めておこう。向こうで会うって約束したから、ね。」
「そっか...。」
「それじゃあ、俺は任務に行かないと。またな!」
そこでロズウェルをリーリャが引き止めた。
「あっ、待ってください!...えっと、その...ルベリアさんに伝えてほしいことが...」
「ルベリアに...何だ?」
リーリャはルベリアに買ってもらった手袋の魔具が壊されてしまったことをロズウェルに伝える。ロズウェルは微笑んで頷いて答えた。
「分かった。でも、リーリャは悪くないぞ。相手が相手だったんだろうし...リーリャが無事で何よりだ!それじゃあ、またな!!」
ノイトとリーリャはロズウェルの背中を見送ってから再び港へ向かう。
港ではカモメの鳴き声がよく聞こえ、船夫たちの掛け声や荷物を運ぶ指示をしている人の声が聞こえた。ノイトとリーリャは海の上に浮かんでいる飛行船に乗り込んで甲板へと上がる。
「そろそろ出発かな...?ヴェルグランド大陸に着いたあとはどうするの?」
「『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』から機械都市・カタパリアに向かおうと思う。まだ店も全部は見られてないし、ディアスムングロール大陸にも似たような幻の街があるって言う噂があってね...。」
「幻の街、か...。ちょっと行ってみたいかも!」
ノイトは笑って飛行船の出発を知らせるアナウンスを聞き流した。
「まぁ、運が良ければ帰ってこられるだろうしね。」
「うん...、え?」
飛行船のプロペラが回転し始め、少しずつ船体が浮かび上がっていくのを感じる。低い振動音が響き、港が低くなっていった。
「わぁ...飛んだぁ...。」
「以前乗ったときは空ばかり見てたから気にならなかったけど、よく考えたらスゴいよね...。」
「前はワイバーンの群れが襲ってきたんだよね?」
リーリャはノイトの顔を覗き込むようにして聞いてくる。それを聞いてノイトはその時のことを思い返した。
(襲ってきた...と言うよりは、ね...?邪魔だったから僕とメルが無理やり追い払って...メルが火力をミスったから気嚢が燃えちゃったんだよな...。)
ノイトは甲板を船の進行方向へと歩き出す。上を見上げると、以前メルクが焦がした気嚢は完全に直っていた。
(それで、リーリャの演奏で翼を創ってヴェルグランド大陸まで持たせたんだったっけ...。)
ノイトは水平線を見つめる。また、何かが飛んでいた。それがワイバーンではないことは確かだ。
「あれ、何だろうな...?」
巨大な人型の何か。人間の上半身に複数本の蛇のとぐろのような形状の下半身。ノイトは伝説の魔生物の本で読んだことがあった。それは、伝説の魔生物の中でも、膨大な魔力量と高い知能を有する存在。"魔族"だった。
「うわ...これはちょっと...。」
滅多に人間に干渉してくることはないため、魔神程の脅威はないとされているが、ものに寄っては魔神よりも面倒だ。そして今、飛行船の前に飛んでいるのはティフォンと言う魔族で、とある神話ではゼウスを一時的とは言え幽閉したことがあるという伝説もある。
「...大人しく退いてもらうか、こちらが避けるかしないと死ぬね。」
[斜体]「えっ!?」[/斜体]
恐らく力を抑えるために本来の大きさよりも小さくなっている。しかし、本来の大きさに戻ればノルティーク帝国の近隣に現れたキメラなど指の上に収まってしまうだろう。
「あれは多分、魔神よりもヤバい。極力関わりたくないな...。」
ノイトはマジックバッグから【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を取り出して、飛行船の甲板のバリアを一部分だけ破壊する。外の冷たい風が甲板に吹き込んだ。
「ノイト!どうするの?!」
「僕が何とかするよ。」
ノイトは武器を構えて剣先をティフォンへと向ける。魔力が込められて[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]が蒼く光り、盾のような部分に魔力で出来た時計盤が映し出された。

[水平線]

[中央寄せ][大文字][大文字][斜体][太字][明朝体]〔[漢字]時帝・神球[/漢字][ふりがな]クロノ・スフィア[/ふりがな]〕[/明朝体][/太字][/斜体][/大文字][/大文字][/中央寄せ]

[水平線]

その瞬間、ティフォンを覆う魔力の球体が顕れた。その隙に飛行船が全速力でヴェルグランド大陸へと飛んだため、リーリャは甲板の上に倒れ込んでしまった。
[斜体]「うわっ!!」[/斜体]
バリアのノイトに壊された部分から冷たい風が猛烈に吹き込んでくる。リーリャは咄嗟に両手を前へと突き出した。すると、リーリャが首に掛けていた[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]が光りを放ち、ノイトが壊した部分が緑色の魔力で埋められた。お陰で甲板にはもう冷たい空気が入ることは無い。やがてヴェルグランド大陸の港町が見えてきて、飛行船の高度も落ちてきた。そこでノイトの魔力が切れてしまい、ノイトがふらついて甲板に手を突く。
「[斜体]ゔっ...[/斜体]」
「ノイト!大丈夫?!」
リーリャに支えられながらノイトはマジックバッグから高級[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を取り出して、中身を喉へと流し込んだ。それでもまだ魔力しか回復していないようだった。
「[斜体]っ、ハァ...ハァ...。[/斜体]」
「ノイト...もう、1人で抱え込みすぎだって!無理しないでよ!!」
ノイトはゆっくりと立ち上がって港へと無事に到着した飛行船を降りようとする。
「僕は、大丈夫...だけど、本当に一か八かって感じだったよ...。もし気に障るようなことをしたら、The・ENDだったね。」
リーリャはノイトを心配しながら一緒に飛行船を降りた。港町へと足を降ろすと、以前黒いローブの男に襲われた時の記憶が戻ってくる。
(あの時は本当に怖かったけど...ノイトのお陰で逃げられたから良かった...。)
ノイトとリーリャは魔導都市・マギノシティまで歩いていくことにした。
「ねぇ、ノイト。フィルマリーさんに会いに行くの?」
「ん〜、そうだね、ちょっと顔見せて行こうか。」
2人は遠くに見えてきたマギノシティへと進みながらディアスムングロール大陸やラクスドルム大陸について話す。ノイトは指で空を指して指先から魔力で何かを作った。
「これは...?」
「これはこの世界の世界地図だね。この中心にあるのがノルティーク大陸で、今歩いている方にあるのがこのヴェルグランド大陸。リーリャの方にあるのがディアスムングロール大陸で、ノルティーク大陸の手前側にあるのがラスクドルム大陸だよ。取り敢えず今はこれだけ知ってれば充分だね。」
「ふ〜ん...?」
ノイトは魔力で作った世界地図をまとめて球体にし、魔法陣を展開する。リーリャはノイトの様子を見つめていた。
「ふふっ...ノイトはスゴいね、すごく器用だし、色んな魔法とか魔術とかが使えて。」
「ありがとっ!...でも、まだ[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]とか[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]は使えないんだよな〜。」
「そう...?それでもスゴいよ!」
ノイトはリーリャの励ましを聞いて微笑んだ。魔法陣をマギノシティの上空へと向け、魔法を放った。
[中央寄せ][[漢字][太字]羅針盤[/太字][/漢字][ふりがな]コンパス[/ふりがな]][/中央寄せ]
マギノシティの上空に魔力で出来た羅針盤が浮かび上がり、その針はノイトとリーリャの方を向いている。リーリャは不思議そうに眺めた。
「何をしたの...?」
「すぐに分かるよ。」
[中央寄せ][[漢字][太字]瞬間移動[/太字][/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]][/中央寄せ]
その瞬間、フィルマリーが[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]して来た。
「やっぱりノイトさんなんですね!」
「フィルさん、お久しぶりです!丁度近くに寄ったから顔でも出、[斜体][明朝体][大文字]ウグッ[/大文字][/明朝体][/斜体]」
ノイトはフィルマリーに勢いよく抱きつかれて少し苦しそうだ。
「先程から海の方に膨大な魔力の反応があるんですけど、それもノイトさんですか?」
ノイトは何とかフィルマリーを引き剥がしながら答える。
「...いえ、あれはティフォンですね。魔族の。」
「まぁ...伝説の魔族が海の上に...散歩でしょうかね...?」
空に浮いているため散歩とは言わないだろうが、ノイトは特にそのことを気にしなかった。リーリャがそっとノイトの腕を掴んでくる。ノイトがそれに気がついてリーリャの方を見ると、何故か不満そうな顔でこちらを見ている。
「...リーリャ?どうしたの?」
「...別に。」
それを見てフィルマリーもノイトと腕を組んでくる。
「ノイトさん!せっかくここまで来たのであれば、お茶でもしていきませんか?」
「...リーリャ、どうする?」
「...。」
フィルマリーが黙っているリーリャを見てニヤけ、さらに言葉を付け足した。
「丁度、美味しいティラミスがあるんですよ!リーリャさんも是非食べていってください!!」
「ハッ...、食べる...。」
(前々から思ってたけど、そういう所でチョロいな...。)
ノイトは心の中でため息をつきながらフィルマリーの誘いを受けた。フィルマリーが再び[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]を使い、次の瞬間には3人はフィルマリーの店の中に居た。
「ノイトさん、リーリャさん、こっちです!」
フィルマリーの後に着いていくと、地下にある部屋へと通された。フィルマリーが指をパチンと鳴らすとテーブルの上にティーセットとティラミスが現れる。
「どうぞ、ゆっくりしていってくださ〜い!」
「「ありがとうございます!」」
ノイトとリーリャは促されるまま椅子に座って紅茶を飲む。
「「ん!おいしい!!」」
「そうでしょう そうでしょう!! この街でも1番おいしいと有名な店の限定品なんですからねっ!」
「何でフィルさんがそんなに自信満々に言うんですか?」
「いや〜、ノイトさんのために買っておいた私を褒めてもらいたいものですよ!と言うことで、褒めてください!!」
自由奔放なフィルマリーに少し呆れながらもノイトは少しキャラを作って応えた。
「ウッウン...。[明朝体][斜体][大文字]フィル、わざわざ買っておいてくれてありがとう。僕のためにやってくれたって聞いて僕も嬉しいよ。[/大文字][/斜体][/明朝体][小文字]あれ、上手く繋がらないな...もう良いや。[/小文字][明朝体][斜体][大文字]いつも頑張ってて偉いね。お疲れ様。[/大文字][/斜体][/明朝体]」
羞恥心が後から来た。ノイトは自分の顔が赤くなっていくのを感じる。そして、一瞬だけ見たフィルマリーの顔と、何故かリーリャの顔も赤くなっている。
(うっわ恥ずっ!前世でたまにふざけてた人の真似してみたけど...どんだけ肝が据わってるんだ...?!)
「......欲しい...。」
「...はい?」
顔を上げるとフィルマリーが頬を赤らめて笑っていた。
「やっぱり...ノイトさんが欲しいですッ...!」
よく分からない危険を感じたノイトは一瞬たじろいで固まるが、冷静にフィルマリーから距離を取る。
「ちょっ、落ち着いてください...?何をするつもりですか?」
フィルマリーは右手の人差し指を唇に当てて悪戯に笑って答えた。
「秘密...♡」
ノイトはすぐさま後ろへと飛び退こうとしたが、僅かに遅かった。次の瞬間にはフィルマリーに抱きつかれた上に魔法で縛られる。
(うっ...拘束...?! こんなことなら魔法を跳ね返す魔法でも覚えておくべきだったか...。)
リーリャはすぐにノイトの拘束を解こうとしたが、一歩踏み出した時には既にノイトと同じように魔法で縛られていた。
「ふふふ...ノイトさんを、今から私の大事な大事なぬいぐるみコレクションに加えちゃいましょう...!」
「やめてください!僕はモノじゃありません!!」
「大丈夫ですよ〜、別にペットにしようってわけじゃありませんから〜!もう魔獣や魔神と戦う必要もないですし、ずーーーっと私が守ってあげますからね♡」
(話が通じてない...何等かの魔法か魔術...?理性が薄れる時期がある呪いの一種...?それとも...いや、これは素だな。本性と言うのも変だけど、僕のことを独占したいと言う欲か......え、メンヘラ気質なの?)
流石のノイトでも、先程ティフォンに対して使った魔法で魔力を膨大に消費した上に無理やり高級[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]で魔力を回復させ、さらに[漢字]羅針盤[/漢字][ふりがな]コンパス[/ふりがな]も出現させたため、抵抗出来る程の気力も無かった。
「別に、怖がらなくても大丈夫ですよ〜!痛くもないし、痒くもないです...!!」
フィルマリーがノイトに触れようとしたその時、ノイトの右の頬にトライデントのような記号が浮かび上がる。どうやらそれは魔力で出来ているようだった。
「[斜体]...これは!![/斜体]」
フィルマリーは手を引っ込めてしばらくそれを観察していたが、やがてそれが何なのかを何となく理解して手を退けた。
「なるほど...護られて居たんですね。しょうがないです...相手が悪すぎました。...ノイトさん。今回は見逃してあげますから、また今度は覚悟しておいてくださいねっ!!」
ノイトとリーリャの拘束は解かれた。ため息をついてノイトは縛られていた所をさすりながら頬に浮かんだ魔力の反応がまた馴染んでいくのを感じる。
「ハァ...勘弁してくださいよ...?本当に。......もう落ち着きました...?」
「はい...残念ながら...。」
「どこが残念なんですか、僕は危うくあなたにぬいぐるみにされるところだったんですけど...?」
ノイトは口ではそう言いながらも、フィルマリーに対して本気で怒っている様子はない。あくまでも今回は魔法に護られていたため、フィルマリーにぬいぐるみにされることは免れたが、だからと言っても調子に乗るような真似はしない。
「ノイト...大丈夫だった...?」
「うん、取り敢えず助かったよ。...それじゃあ、ティラミス食べよっか。」
ノイトとリーリャは再び椅子に座って紅茶を飲んだ。
「ん...?フィルさん、食べないんですか?」
「えっ、あ...食べます!」
その後、3人は何事も無かったかのようにお茶をしてフィルマリーの雑談に付き合う羽目になった。
「それで、今度それについて研究してみようと思っているんですよ〜!リオールくんにも協力して貰いたいんですけど、詳しいことが書かれた文献が中々見つからないんですよね...。」
フィルマリーはどうやら魔神や魔族とは全く別の自然現象的な大災害について研究しているらしい。"セフィラ"と呼ばれるものが世界に複数存在していることが分かっていると聞いてノイトは手を止めた。
「...それなら、ノルストラに丁度良い参考文献になりそうな資料がありますよ。」
「本当ですか!?」
驚いたフィルマリーは思わず立ち上がった。リーリャは丁度ティラミスの最後の一口を口にしたところだ。
「ごちそうさまでした!ねぇ、ノイト。またノルストラに戻るの?」
「いや、面倒だからこっちでの用事を済ませたらそのままディアスムングロール大陸に行っちゃおうかな。...フィルさんはどうします?」
フィルマリーは顎に手を当ててしばらく考えてから顔を上げて答える。
「私も行きます!ノルストラにはリオールくんに行ってもらって、私はノイトさんと一緒に冒険したいです!!」
「......お店はどうするんです...?」
「大丈夫ですっ!私はもしこの店に何かあってもすぐに戻ってこれるので!!」
自信ありげに堂々と言い張るフィルマリーの様子を見て、ノイトは頷いた。
(もうさっきのことも気にしてないようだし...ルミナの魔法のお陰でしばらくは心配なさそうだな。一緒に行っても問題はないだろう。)
「それじゃあ早速、支度してください。一度カタパリアまで行きますよ!」
「は〜い!」
そして数分後、マジックバッグを肩にかけ、いかにもファンタジー作品で出てきそうな木でできた魔法の杖を背負ってフィルマリーが店から出てきた。
「お待たせしました!! それじゃあ早速出発しましょう!」
[中央寄せ][[漢字][太字]空間転移[/太字][/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]][/中央寄せ]
3人は足元に現れた魔法陣が放つ光に包まれてカタパリアまで飛んでいったのだった。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
「ディアスムングロール大陸前篇」と堂々と書いてあるのにも関わらず、未だにヴェルグランド大陸で時間を費やしていますが...何とか繋げるのでご了承ください!!次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/12/14 11:20

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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