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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現や戦争などに関連する内容が含まれている場合があります。
これらを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#78

78.懐古Ⅱ/問題児

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

彼女の名前は樟本 ▓▓。ピアノの演奏を趣味としている公立中学3年生で、ピアノのコンクールで最優良賞を獲得するなど、才能を発揮していた。彼女は友達も多く、クラスメートたちは彼女のピアノの演奏を聞くのが好きだった。若くしてピアノの才に恵まれていて、それ故に友達も多く持つことが出来、充実した毎日だったようだ。

しかし、彼女はある日のピアノコンクールで最優良賞を獲得した後に、もう二度とピアノが弾けなくなってしまったのだ。階段を踏み外して落下し、指と足を骨折した。雨が強い夜のことだった。そして彼女は救急車で運ばれたのだが、不運なことにも、スリップした救急車が通行人を轢いてしまったのだ。彼女は病院に運ばれた後に助かったが、轢かれてしまった少年は命を落としてしまう。

それを聞いてショックを受けた彼女は、自分が調子に乗って階段を踏み外したせいで、罪無き少年の命を奪ってしまったのだと思いこむようになってしまった。そして、耐え難い罪悪感からの逃げと少年へのせめてもの償いとして、彼女は自らその命を天に捧げたのだった。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

リーリャの演奏はまだ途中だったのだが、その人物の侵入が起こった瞬間、それは王城全体を守るものではなく、周囲に居る人物を守るためのものに変わった。しかし、それを切り替えた時には、もうその人物がルミナスの目の前に居て剣を振りかぶっている。リーリャはその一瞬、何も出来なかった。
[斜体](!! 間に合わな...)[/斜体]
[中央寄せ][大文字][大文字][大文字][明朝体][太字][斜体]ガキィィンッ[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/大文字][/大文字][/中央寄せ]
しかしそこで、甲高い金属音が大広間中に響き渡る。その人物の攻撃を弾いた者がルミナの前に立っていた。
[大文字][斜体](ノイト...!!)[/斜体][/大文字]

[大文字][太字][斜体]「この子は、僕の大事な[明朝体][漢字]お姫様[/漢字][ふりがな]いもうと[/ふりがな][/明朝体]だ!! 汚い手で触れようとするな!」[/斜体][/太字][/大文字]

咄嗟に目を閉じたルミナスが再び目を開けたとき、目の前に立っていたのはノイト。ルミナスの視界に映る景色がじんわりとぼやけてきて、ノイトの背中だけがはっきりと見える。
[明朝体][太字]「[斜体]お兄ちゃん...!![/斜体]」[/太字][/明朝体]
ノイトは手をかざして魔術を唱える。
[水平線]
[中央寄せ][太字]上級魔術:[大文字]〘ᚺᛖᛚᛚ'ᛋ ᛁᚾᚠᛖᚱᚾᛟ〙[/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
以前フィルマリーがノイトに放った上級魔術を、ノイトが再現する。渦巻く炎がノイトの手から放たれ、剣を弾き飛ばされた人物は王城の外へと飛ばされた。
そこでルミナスがノイトに抱きついた。
[明朝体][太字]「お兄ちゃん...!! 無事で、良かった...!」[/太字][/明朝体]
「ルミナ、それにリーリャも。大事もないようで良かったよ。きっと、さっきのリーリャの魔法のお陰だろうね。」
「そんな...私だけの力じゃないよ。もしドメリアスさんが手伝ってくれてなかったらもっと酷くなってたかもしれない。」
ドメリアスは頭を掻きながらノイトたちの方へと歩いてきた。
「ハァ...つくづく運が悪いな、お前は。若くして戦争に巻き込まれ、本来使い所なんてほとんどないはずの上級魔術まで修得して...。」
「まぁ、起こってしまったものは仕方ないですよ。」
大広間の窓があった場所からラルカが覗いていたことに気がついたノイトは軽く手を振っておいた。ラルカは反射的に手を振り返したが、自分がした予想外のことに固まった。
ルミナスはノイトに言いたいことがあるようだ。ルミナスが手に持っていたのはノイトに貰った2つの革袋。一方はノイトたちがノルティーク帝国を発つ時に渡した、[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]やノイトの[漢字]小箱[/漢字][ふりがな]オルゴール[/ふりがな]が入っているもの。もう一方は先程レイクを通して受け取った、聖剣や聖鎧などが入っているものだ。革袋を大事そうに抱えたルミナスがノイトの顔を見上げて笑う。
[明朝体][太字]「お兄ちゃん...これ、ありがとうございます。ずっとずっと大事にしますから!」[/太字][/明朝体]
リーリャはルミナスがノイトに少し甘えている様子を見て、軽く頬を膨らませている。ノイトの方へと歩み寄っていき、リーリャがノイトの腕をがしっと掴んだ。
「ノイト。服、汚れてる。無茶したんでしょ...。」
「え、あぁ...ちょっとね。大したものじゃないし、大丈夫でしょ。」
「駄目。外からスゴい音が聞こえたし、全然大丈夫じゃないよ...。」
ノイトはリーリャがルミナスに嫉妬していることに気がついてリーリャの左手を取った。中指に付けられている指輪に触れてノイトは魔力を流し込む。すると指輪が蒼く光り、リーリャの嫉妬の感情が収まった。
「ツライことも、悲しいことも、楽しいことも、嬉しいことも。全部大事な記憶の一部だからね。その感覚を残しておくためのものなんだよ、それは。」
リーリャは手から伝わるノイトの熱を感じながら頷く。僅かに頬が赤くなっているが、ノイトは先程吹き飛ばした人物が戻って来るのを警戒して王城の外を見据えていたため気が付かない。
[小文字][小文字]「...バカっ」[/小文字][/小文字]
「ん?それ、僕に向かって言った?」
ノイトは耳がよく効くのだった。そのため、リーリャが呟いた言葉も聞こえていた。
「いや、その...何でもないよ。ごめん。」
「...?」
リーリャが何かを抱えていることはノイトにも分かったが、それが何かは分からない。ノイトはしばらくリーリャのことを不思議そうに見つめていたが、やがてルミナスに声をかけられてそちらへと意識が行く。
[明朝体][太字]「お兄ちゃん。私、レイクに稽古をつけてもらって少しだけですが...その、強くなりました!お兄ちゃんたちと一緒に冒険出来るように、もっと頑張りますので...。...楽しみにしててくださいね!」[/太字][/明朝体]
ノイトはルミナスの言葉を聞き、微笑んで答えた。
「もちろんだよ。ルミナ、これからも頑張ってね!!」
[明朝体][太字]「はい!!」[/太字][/明朝体]
ノイトはルミナスの嬉しそうな表情を見てから王城の外の方を見る。
(レイクさんとカメリア様は大丈夫かな...?あと...ラルカはいつまであそこに居るんだ?)
ラルカは一向に大広間へと入ろうとしない。それもそのはず、彼女は王妃とその不倫相手の間に生まれたのだ。流石に真実を知ってしまっては王族とも関わりづらいのであろう。ノイトは無理にラルカを連れ込むような真似はせず、それとなくリーリャやルミナスと少し話してから再び王城の外へと向かった。

ノイトは大広間の窓があった場所から王城の外へと飛び降りる。着地した先にはラルカが腕を組みながらそっぽを向いて立っていた。
「えっと...待っててくれてたの?」
「...違う。戦力の監視だ。」
ラルカが見ている方を見ると、レイクとカメリアがそれぞれ何者かとの戦闘を繰り広げているところだった。
(あぁ...さっき僕が吹き飛ばした2人か...。レイクさんもカメリア様も特に苦戦しているようには見えないし、大丈夫かな。)
レイクとカメリアが相手をしているのは、黒いローブに身を包んだ男たちだった。
「ん...あれ...?」
ノイトは相手が戦闘員ではないことに気が付き、警戒を強める。
(メルが所属している組織の人間かな...。ついさっき僕とリーリャを襲ってきた人と同一人物...?いや、それならさっき気づいたはずだ。別の個体、...じゃなくて人物か...。)
ノイトはマジックバッグから【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を取り出す。ラルカはそれを横目で見てから再び視線を戻した。
「援護しに行くのか?」
「いや、まぁそうだけど...あの黒いローブの人たち、多分魔神を復活させようとしている組織の人間だと思う。油断は出来ないよ。」
ラルカは肩にかけて背中に回していた[漢字]銀色の金属[/漢字][ふりがな]アセロトス[/ふりがな]製の[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]を前へと持ってきて構える。
「...、行くのか?」
「そうだね。」
武器を持った2人はレイクとカメリアが居る方へと飛び出した。ラルカが建物の上を駆け抜けながら[漢字]照準[/漢字][ふりがな]エイム[/ふりがな]を黒いローブの人物の片方に合わせた。ラルカは真っ直ぐと敵を見据えて引き金を引こうとする。しかしその時、ラルカは駆け抜けていた建物の屋根から足を踏み外して弾が外れてしまった。そのせいで相手に勘付かれる。そのうえ、ラルカは建物から落下している。
「ラルカ!」
咄嗟に跳び退いてラルカの元へ移動し、ラルカの腕を掴んだ。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はリーリャの前世と、ノイトとルミナスの再会を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての感想も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/30 00:57

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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