世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトはノルティーク帝国の王城へ向かって走っている。王城にはレイクやカメリアが居るため、万が一のときでも充分安心だと思われるが、それでも気が気でないとノイトは王城へと向かうのだった。
(ルミナ...今行くから、それまで無事に居て...!!)
その時、ノイトの上空を数発の弾道弾が飛んでいくのが見えた。ノイトの足では王城に着くには間に合わない。
それでも魔術で弾道弾を誘爆させることは出来る。
[中央寄せ][明朝体][太字]初等魔術:[大文字]『ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ』[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
ノイトの指先から放たれた、限界まで圧縮された魔力が弾道弾を貫き、飛んでいた弾道弾が爆発した。
[中央寄せ][大文字][太字][斜体][明朝体][大文字][大文字]―― ドゴオオオォォォォン ――[/大文字][/大文字][/明朝体][/斜体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの前方の空に爆発した弾道弾の破片が落下している。離れていたため爆風は大したことはなかったが、それでも火薬の熱は帯びていた。
(ハァ...ついにミサイルまで出してきたか...。しかも、今ので僕も攻撃対象になっただろうな...面倒だ...。)
再びノイトが王城へと駆け出した時、また弾道弾が上空を飛んできた。しかし、それは王城ではなくノイトへと向かってくる。
(うわ、まずいな。距離が近いし動きも速い。それに、多分防御魔術も付けられている。)
そこで弾道弾が誘発した。ノイトは何もしていない。つまり、ノイト以外の誰かがこの弾道弾に攻撃を加えたということだ。この戦場で、今ノイトの最も近くに居る人物はラルカである。
(ラルカさんか...!! あっちも敵側陣営の戦闘員の相手で手一杯だろうに...庇われてばかりじゃ申し訳ない...けど!)
ノイトはマジックバッグから【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな][/ふりがな]】を取り出し、ひたすらに王城に向かって跳んでいく。またもや弾道弾が上空を飛んでいった。今度は数が多すぎる。ざっと30発はあるだろう。
([斜体]やばっ...!![/斜体])
[水平線]
[中央寄せ][大文字][斜体][明朝体][太字]〔[漢字]時帝神[/漢字][ふりがな]クロノス[/ふりがな]〕[/太字][/明朝体][/斜体][/大文字][/中央寄せ]
[水平線]
ノイトの魔法がノルティーク帝国とその周りの時間を止める。その隙にノイトは王城へと近づき、魔法の効果が切れる前にと先を急いだ。しかし、まだ王城までは距離があり、ギリギリ間に合わない。
その瞬間、王城から虹色の魔力を帯びた巨大な黒い五線譜が伸びてきて、弾道弾へと向かっていくのが見えた。五線譜に触れた弾道弾は爆発する。しかし、五線譜はその爆風を受けても一切ブレることはなかった。
[斜体][大文字](リーリャ...!!)[/大文字][/斜体]
リーリャはノイトが最初の弾道弾を撃ち落とした音と衝撃に気がついて魔法を使っていたのだ。ピアノは王城の大広間にあるものを借り、その演奏を帝国中に響かせたのはドメリアスである。
[中央寄せ][大文字][太字][[明朝体][漢字]広範拡声[/漢字][ふりがな]アンプリフィケーション[/ふりがな][/明朝体]][/太字][/大文字][/中央寄せ]
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][大文字][大文字]『超級魔法:[漢字]幻想奏楽[/漢字][ふりがな]パフォーマンス[/ふりがな]』[/大文字][/大文字][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
「ハァ...全く、ガキまで戦争に巻き込みやがって...。」
ドメリアスはため息をつきながらも水中都市・ウォルディードでノイトがやったようにリーリャの魔法の援護をする。
リーリャは外で頑張っているノイトのことを想って演奏した。
(ノイト...きっと今、そっちは大変なんだよね。私たちは大丈夫だから、ノイトはノイトのことを...!)
「...そうだったね。」
ノイトはその武器の[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]の部分に魔力を込めていき、一度止めてしまった足を再び動かし始めた。
(僕は1人じゃない。この世界で1番大切な[漢字]友達[/漢字][ふりがな]パートナー[/ふりがな] がいるんだよ...!)
ノイトの視界の端に展開された無数の魔法陣が映る。恐らくは誰かが王城かノイトに向かって魔術を放とうとしているのだろう。
(命に変えても守りたい、そう思えた人がたくさん居るんだった。)
ノイトは放たれた無数の魔術を【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】で防ぐ。
[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体][太字]〔[漢字]魔力防御[/漢字][ふりがな]マギノ・シールド[/ふりがな]〕[/太字][/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
今はノイトの魔法は魔術の砲撃から、リーリャの魔法は弾道弾から王城を守っている状態だ。魔術の一斉砲撃は一向に止まないが、ノイトは攻撃に耐え続ける。ノイトの魔法の効果がまだ続いている内にラルカが戦闘員たちに無数の弾丸を浴びせ、魔術による攻撃はなくなった。
ラルカの方はまだ余裕を残しているようだが、ノイトはかなり魔力を消費している。マジックバッグから[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を取り出し、ノイトはそれを喉へと流し込んだ。
(あぁ...最近は消費が早いな...。また買い貯めしておかないと...。)
空の瓶をマジックバッグにしまったところで、何か異様な気配を感じた。先程ノイトを攻撃してきた魔術を使う連中よりも強い魔力反応だ。
(気配だけでこれだ...ラルカさんだけでは押さえきれないかも...。)
ノイトはラルカが居る方へと戻るか、王城へ向かうかで悩む。ラルカは大勢の戦闘員たちを相手にして程良く片付けながらノイトの方へと向かってきてくれていた。ノイトはそのことに気がついて王城へ急ぐことに決める。
ノイトが走り出した途端に、その気配が動いた。ノイトが反射的に振り向いて武器を構える。
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]ボゴッ[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
妙な音が響いたことに気がついたときには、ノイトはその場の地面にめり込んでいた。
[明朝体][斜体][小文字]「...っあ」[/小文字][/斜体][/明朝体]
ノイトが一瞬でやられたことに気がつき、ラルカは[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]の[漢字]照準[/漢字][ふりがな]エイム[/ふりがな]をノイトの前に立っている人物に合わせる。そして引き金を引くが、撃ち出された弾が防御魔術に相殺された直後に、またすぐに防御魔術が展開されてしまった。
ノイトは無理やり身体を跳ね起こして攻撃を加える。
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字]上級魔術:[大文字]〘ᛞᛁᚡᛁᛞᛖ ᛁᛏ〙[/大文字][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの魔術によって展開された防御魔術が砕け、その隙にノイトの武器が斬撃を放つ。
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]〔[漢字]魔力斬[/漢字][ふりがな]マギノ・スラッシュ[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
その人物が身につけていた何かに阻まれ、斬撃がその人物を両断することはなかったものの、その人物は遠くへと飛ばされた。ラルカが[漢字]拳銃[/漢字][ふりがな]ハンドガン[/ふりがな]を手に駆け寄ってくる。
「こちらは大方片付けた。お前の方はかなり苦戦しているようだな。」
「はい、一応は...。さっきから助けてもらってばかりですみません。」
「言っただろう。私はただ自信の信念と野望に付き従うのみだと。お前が居なくなってしまえば、私が困るのだからな。」
ノイトはラルカの言葉を聞いてふっと微笑んだ。
「ありがとうございます、ラルカさん。」
「敬称や敬語は必要ない。呼び捨てか肩書きで呼べば良いだろう。」
「肩書き、あるんですか?」
「...まだ、ない。」
ノイトは息を吐いて先程の人物が飛んでいった方向を見据えて武器を持つ手に力を込める。
「...それじゃあ、ラルカ。もう一度言うけど、助けてくれてありがとう。お陰で、また死ぬわけにはいかなくなっちゃったよ。」
「...。」
ラルカは帽子を目深に被って黙った。ラルカは今まで他人に対して冷たい態度を取ってきていた。それにより、友人や恋仲と言った人間関係はズタズタであり、感謝されることなどほとんどなかったのだ。しかし、今はノイトの感謝の言葉を受け取る。その口元は僅かに綻んでいた。
ノイトはあることに気が付き、王城の方へと駆け出す。それに気がついたラルカもノイトの後に着いて走り出した。
「...王城の方に向かっているのか、アイツは。」
「多分、そんな気がする。急がないと。」
ノイトとラルカは五線譜が伸び出している王城へと真っ直ぐと向かっていく。どんどん王城が大きくなっていき、やがて帝国の壁が見えるようになった。そこで、丁度先程の人物が壁の上に立っているレイクとカメリアがその人物と対峙している。
(レイクさん...ルミナに[漢字]あれ[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]、渡してくれたかな...。)
レイクが相手であれば問題はないだろうと思い、王城の方へと急ぐことにした。丁度2人が王城の入口まで辿り着いた時、五線譜が消えた。
[大文字][斜体]「!!」[/斜体][/大文字]
ノイトは跳び上がって大広間の窓がある側へと回り込む。すると、大広間の巨大な窓ガラスが割れ、先程の人物とは別の人物が大広間の中にいる人たちに向かって剣を振りかぶっているのが見えた。そしてその中には、リーリャやルミナも居た。ノイトは咄嗟に大広間の方へと跳んでいこうとする。しかし、今ノイトが居るのは空中だ。ノイトの脚力は空を蹴って移動出来るほど強くはない。それでも、ノイトは必死に空を蹴ろうとした。
[斜体][大文字](何でもいいから!足場を!蹴ってあそこへ!!)[/大文字][/斜体]
その瞬間、ノイトの足元に小さな防御魔術が展開され、ノイトはそれを蹴って大広間の中へと飛び込んだ。
[中央寄せ][大文字][大文字][大文字][明朝体][斜体][太字]ガキィィンッ[/太字][/斜体][/明朝体][/大文字][/大文字][/大文字][/中央寄せ]
【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】がその男の攻撃を弾き、大広間に甲高い金属音が響き渡る。
「...何だ、お前は。何の用だ?」
その男の問いに対し、ノイトは冷たく、しかし真っ直ぐに鋭く答えた。
[大文字][斜体][太字]「この子は、僕の大事な[明朝体][漢字]お姫様[/漢字][ふりがな] いもうと[/ふりがな][/明朝体]だ!! 汚い手で触れようとするな!」[/太字][/斜体][/大文字]
ノイトはノルティーク帝国の王城へ向かって走っている。王城にはレイクやカメリアが居るため、万が一のときでも充分安心だと思われるが、それでも気が気でないとノイトは王城へと向かうのだった。
(ルミナ...今行くから、それまで無事に居て...!!)
その時、ノイトの上空を数発の弾道弾が飛んでいくのが見えた。ノイトの足では王城に着くには間に合わない。
それでも魔術で弾道弾を誘爆させることは出来る。
[中央寄せ][明朝体][太字]初等魔術:[大文字]『ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ』[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
ノイトの指先から放たれた、限界まで圧縮された魔力が弾道弾を貫き、飛んでいた弾道弾が爆発した。
[中央寄せ][大文字][太字][斜体][明朝体][大文字][大文字]―― ドゴオオオォォォォン ――[/大文字][/大文字][/明朝体][/斜体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの前方の空に爆発した弾道弾の破片が落下している。離れていたため爆風は大したことはなかったが、それでも火薬の熱は帯びていた。
(ハァ...ついにミサイルまで出してきたか...。しかも、今ので僕も攻撃対象になっただろうな...面倒だ...。)
再びノイトが王城へと駆け出した時、また弾道弾が上空を飛んできた。しかし、それは王城ではなくノイトへと向かってくる。
(うわ、まずいな。距離が近いし動きも速い。それに、多分防御魔術も付けられている。)
そこで弾道弾が誘発した。ノイトは何もしていない。つまり、ノイト以外の誰かがこの弾道弾に攻撃を加えたということだ。この戦場で、今ノイトの最も近くに居る人物はラルカである。
(ラルカさんか...!! あっちも敵側陣営の戦闘員の相手で手一杯だろうに...庇われてばかりじゃ申し訳ない...けど!)
ノイトはマジックバッグから【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな][/ふりがな]】を取り出し、ひたすらに王城に向かって跳んでいく。またもや弾道弾が上空を飛んでいった。今度は数が多すぎる。ざっと30発はあるだろう。
([斜体]やばっ...!![/斜体])
[水平線]
[中央寄せ][大文字][斜体][明朝体][太字]〔[漢字]時帝神[/漢字][ふりがな]クロノス[/ふりがな]〕[/太字][/明朝体][/斜体][/大文字][/中央寄せ]
[水平線]
ノイトの魔法がノルティーク帝国とその周りの時間を止める。その隙にノイトは王城へと近づき、魔法の効果が切れる前にと先を急いだ。しかし、まだ王城までは距離があり、ギリギリ間に合わない。
その瞬間、王城から虹色の魔力を帯びた巨大な黒い五線譜が伸びてきて、弾道弾へと向かっていくのが見えた。五線譜に触れた弾道弾は爆発する。しかし、五線譜はその爆風を受けても一切ブレることはなかった。
[斜体][大文字](リーリャ...!!)[/大文字][/斜体]
リーリャはノイトが最初の弾道弾を撃ち落とした音と衝撃に気がついて魔法を使っていたのだ。ピアノは王城の大広間にあるものを借り、その演奏を帝国中に響かせたのはドメリアスである。
[中央寄せ][大文字][太字][[明朝体][漢字]広範拡声[/漢字][ふりがな]アンプリフィケーション[/ふりがな][/明朝体]][/太字][/大文字][/中央寄せ]
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][大文字][大文字]『超級魔法:[漢字]幻想奏楽[/漢字][ふりがな]パフォーマンス[/ふりがな]』[/大文字][/大文字][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
「ハァ...全く、ガキまで戦争に巻き込みやがって...。」
ドメリアスはため息をつきながらも水中都市・ウォルディードでノイトがやったようにリーリャの魔法の援護をする。
リーリャは外で頑張っているノイトのことを想って演奏した。
(ノイト...きっと今、そっちは大変なんだよね。私たちは大丈夫だから、ノイトはノイトのことを...!)
「...そうだったね。」
ノイトはその武器の[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]の部分に魔力を込めていき、一度止めてしまった足を再び動かし始めた。
(僕は1人じゃない。この世界で1番大切な[漢字]友達[/漢字][ふりがな]パートナー[/ふりがな] がいるんだよ...!)
ノイトの視界の端に展開された無数の魔法陣が映る。恐らくは誰かが王城かノイトに向かって魔術を放とうとしているのだろう。
(命に変えても守りたい、そう思えた人がたくさん居るんだった。)
ノイトは放たれた無数の魔術を【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】で防ぐ。
[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体][太字]〔[漢字]魔力防御[/漢字][ふりがな]マギノ・シールド[/ふりがな]〕[/太字][/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
今はノイトの魔法は魔術の砲撃から、リーリャの魔法は弾道弾から王城を守っている状態だ。魔術の一斉砲撃は一向に止まないが、ノイトは攻撃に耐え続ける。ノイトの魔法の効果がまだ続いている内にラルカが戦闘員たちに無数の弾丸を浴びせ、魔術による攻撃はなくなった。
ラルカの方はまだ余裕を残しているようだが、ノイトはかなり魔力を消費している。マジックバッグから[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を取り出し、ノイトはそれを喉へと流し込んだ。
(あぁ...最近は消費が早いな...。また買い貯めしておかないと...。)
空の瓶をマジックバッグにしまったところで、何か異様な気配を感じた。先程ノイトを攻撃してきた魔術を使う連中よりも強い魔力反応だ。
(気配だけでこれだ...ラルカさんだけでは押さえきれないかも...。)
ノイトはラルカが居る方へと戻るか、王城へ向かうかで悩む。ラルカは大勢の戦闘員たちを相手にして程良く片付けながらノイトの方へと向かってきてくれていた。ノイトはそのことに気がついて王城へ急ぐことに決める。
ノイトが走り出した途端に、その気配が動いた。ノイトが反射的に振り向いて武器を構える。
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]ボゴッ[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
妙な音が響いたことに気がついたときには、ノイトはその場の地面にめり込んでいた。
[明朝体][斜体][小文字]「...っあ」[/小文字][/斜体][/明朝体]
ノイトが一瞬でやられたことに気がつき、ラルカは[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]の[漢字]照準[/漢字][ふりがな]エイム[/ふりがな]をノイトの前に立っている人物に合わせる。そして引き金を引くが、撃ち出された弾が防御魔術に相殺された直後に、またすぐに防御魔術が展開されてしまった。
ノイトは無理やり身体を跳ね起こして攻撃を加える。
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字]上級魔術:[大文字]〘ᛞᛁᚡᛁᛞᛖ ᛁᛏ〙[/大文字][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの魔術によって展開された防御魔術が砕け、その隙にノイトの武器が斬撃を放つ。
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]〔[漢字]魔力斬[/漢字][ふりがな]マギノ・スラッシュ[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
その人物が身につけていた何かに阻まれ、斬撃がその人物を両断することはなかったものの、その人物は遠くへと飛ばされた。ラルカが[漢字]拳銃[/漢字][ふりがな]ハンドガン[/ふりがな]を手に駆け寄ってくる。
「こちらは大方片付けた。お前の方はかなり苦戦しているようだな。」
「はい、一応は...。さっきから助けてもらってばかりですみません。」
「言っただろう。私はただ自信の信念と野望に付き従うのみだと。お前が居なくなってしまえば、私が困るのだからな。」
ノイトはラルカの言葉を聞いてふっと微笑んだ。
「ありがとうございます、ラルカさん。」
「敬称や敬語は必要ない。呼び捨てか肩書きで呼べば良いだろう。」
「肩書き、あるんですか?」
「...まだ、ない。」
ノイトは息を吐いて先程の人物が飛んでいった方向を見据えて武器を持つ手に力を込める。
「...それじゃあ、ラルカ。もう一度言うけど、助けてくれてありがとう。お陰で、また死ぬわけにはいかなくなっちゃったよ。」
「...。」
ラルカは帽子を目深に被って黙った。ラルカは今まで他人に対して冷たい態度を取ってきていた。それにより、友人や恋仲と言った人間関係はズタズタであり、感謝されることなどほとんどなかったのだ。しかし、今はノイトの感謝の言葉を受け取る。その口元は僅かに綻んでいた。
ノイトはあることに気が付き、王城の方へと駆け出す。それに気がついたラルカもノイトの後に着いて走り出した。
「...王城の方に向かっているのか、アイツは。」
「多分、そんな気がする。急がないと。」
ノイトとラルカは五線譜が伸び出している王城へと真っ直ぐと向かっていく。どんどん王城が大きくなっていき、やがて帝国の壁が見えるようになった。そこで、丁度先程の人物が壁の上に立っているレイクとカメリアがその人物と対峙している。
(レイクさん...ルミナに[漢字]あれ[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]、渡してくれたかな...。)
レイクが相手であれば問題はないだろうと思い、王城の方へと急ぐことにした。丁度2人が王城の入口まで辿り着いた時、五線譜が消えた。
[大文字][斜体]「!!」[/斜体][/大文字]
ノイトは跳び上がって大広間の窓がある側へと回り込む。すると、大広間の巨大な窓ガラスが割れ、先程の人物とは別の人物が大広間の中にいる人たちに向かって剣を振りかぶっているのが見えた。そしてその中には、リーリャやルミナも居た。ノイトは咄嗟に大広間の方へと跳んでいこうとする。しかし、今ノイトが居るのは空中だ。ノイトの脚力は空を蹴って移動出来るほど強くはない。それでも、ノイトは必死に空を蹴ろうとした。
[斜体][大文字](何でもいいから!足場を!蹴ってあそこへ!!)[/大文字][/斜体]
その瞬間、ノイトの足元に小さな防御魔術が展開され、ノイトはそれを蹴って大広間の中へと飛び込んだ。
[中央寄せ][大文字][大文字][大文字][明朝体][斜体][太字]ガキィィンッ[/太字][/斜体][/明朝体][/大文字][/大文字][/大文字][/中央寄せ]
【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】がその男の攻撃を弾き、大広間に甲高い金属音が響き渡る。
「...何だ、お前は。何の用だ?」
その男の問いに対し、ノイトは冷たく、しかし真っ直ぐに鋭く答えた。
[大文字][斜体][太字]「この子は、僕の大事な[明朝体][漢字]お姫様[/漢字][ふりがな] いもうと[/ふりがな][/明朝体]だ!! 汚い手で触れようとするな!」[/太字][/斜体][/大文字]