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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現や戦争などに関連する内容が含まれている場合があります。
これらを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#76

76.ノイトの信念と開戦

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

戦場を駆けるのはノイト、を抱えたカメリアだった。
[斜体]「...!! カメリア様!?」[/斜体]
[斜体]「間に合ってよかった...!! ルミナが心配してるから、早く行こ?」[/斜体]
カメリアはそのままノイトを王城へと連れて行こうとしたが、ノイトがそれを止める。
[斜体]「待ってください!このまま僕が王城へ行ったら、あの人も着いてきます。」[/斜体]
ラルカは[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]を構えてこちらを向いていた。カメリアはノイトの言葉に立ち止まる。ノイトがカメリアにラルカのことを伝え、それを聞いたカメリアはラルカの方を見た。
「あの子...以前も会ったことあるんだけど...。まさか、そういうことだったのね〜...。」
「以前も会ったことことがあったんですか?」
カメリアは頷いて数日前のことをノイトに説明する。
「実はね...ついこの前、この近くの遺跡に封印されていた“絶望の魔神”カヴローチェっていうヤツが復活してね...。レイクやロズウェルくんたちが協力してくれたお陰で倒せたんだけど、その時にあの子が活躍してくれたの。」
「魔神が...!?あの人のお陰で倒せたってことで良いんですか?」
ノイトの言葉に頷いたカメリアを見てノイトはラルカの方を見つめた。
(魔神か...。丁度僕とリーリャが“記憶の魔神”ゲデニスと戦っていた頃かな...?)
ラルカは碧い瞳を光らせてノイトだけを真っ直ぐと見据えていた。ノイトはカメリアに礼を言ってからラルカの方へ行くことにする。
「カメリア様、お陰で助かりました。後は、僕がやります。カメリア様はルミナたちのことと...もし、このまま戦争が始まってしまった場合の対策をお願いします。」
「分かりました。」
ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を握って再びラルカの元へと歩み寄っていった。
「あれが...私の義姉か...。貴様とはどのような関係だ。」
「 ... ... ...?」
ノイトの思考は停止した。どういう関係かと聞かれても上手く説明出来る言葉が見当たらなかったからだ。
「...何故黙る?」
「...上手く説明出来る言葉が、見当たらないです...。」
「ならば、言葉は必要ない。力で示せ。」
「え...?」
ノイトは一瞬歩みを止めたが、その瞬間にラルカが突っ込んできた。ノイトは思わず後ろへと一歩退いてしまい、ラルカはそれを見逃さない。
「それは逃げ、だろ!」
[斜体]「げっ...」[/斜体]
さらにラルカの言葉によってノイトが一瞬硬直する。ラルカの[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]が咄嗟に仰け反ったノイトの目の前を薙ぎ、その勢いのままラルカはひたすら突っ込んできた。
「やはりな...。」
ラルカはノイトの様子を見て、ノイトに戦意がないことを確信する。
「貴様は甘いのだ。たとえ貴様に戦意がなくとも、貴様を狙う者は大勢いるだろう。戦場で気を抜くな。」
ラルカの[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]が再びノイトを襲う。しかし、今度はノイトが武器でそれを防いだ。
「あなたのその武器...僕の武器の成分と違いますね。」
「そうだな。貴様の武器は見たところ[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]製だろうが...私のこの剣と[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]は[漢字]銀色の金属[/漢字][ふりがな]アセロトス[/ふりがな]製だ。」
ノイトはラルカの攻撃を弾き飛ばして距離を取る。
([漢字]銀色の金属[/漢字][ふりがな]アセロトス[/ふりがな]...純度によっては[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]にも伍する強度を持ち、[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]よりも高価な金属か...。)
ノイトは依然としてラルカとの戦闘に興味がないが、ラルカが突っ込んできているため、ラルカとの戦闘を強いられている状態だ。
(早くルミナのところへ...行きたい、のに...!この人、強い...!!)
「どうした、まだまだこんなものではないだろう!全力を見せろ!!」
「ヤダ!」
ラルカは先程ノイトが本気を出した時のことを思い出した。
「先程の斬撃、あれは全力だっただろう。あれをもう一度見せろ...!」
「どうせまた[漢字]拳銃[/漢字][ふりがな]ハンドガン[/ふりがな]で凍らせて無力化するんでしょう...?魔力の無駄遣いはしませんよ。」
「見せろ。次は、私の本気で受けてやる。その結果によっては、貴様との戦闘は貴様の勝利としてやる。」
「勝ち負けは正直どうでも良いんですけどね...。」
ノイトはそれでもラルカとの戦闘を避けられるのならと思い、武器を構えた。対するラルカも[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]を背中へとしまい、腰の剣を抜く。
「ハァ...戦争が始まってからでは遅いんです。さっさと終わらせましょう。」
「来い!貴様の真の実力を見せてみろ!!」
【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]が光を放ち、刃の部分が[漢字]皓[/漢字][ふりがな]しろ[/ふりがな]く輝く。ラルカの剣も透明で薄い魔力を帯びた。
ノイトが強く地面を蹴り飛ばし、ラルカへと迫る。ラルカは真っ直ぐと立って剣をノイトへと向ける。

[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体][太字]〔[漢字]記憶の追想[/漢字][ふりがな]メモリー・レミニセンス[/ふりがな]〕[/太字][/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

ノイトの武器が帯びた皓い光が2人を飲み込み、その瞬間を見せる。その瞬間、ラルカはあることを思い出した。

ノイトの攻撃はラルカの剣を砕き、ラルカの肩章を斬った。ラルカはその場に膝から崩れ、折れた剣を地面に突き立てる。
「[小文字]...先生...。[/小文字]」
ノイトはラルカの背後で武器をマジックバッグにしまっている。一応魔力を大量に使用したので、魔力回復の[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を飲んだ。そこでラルカがノイトに声をかけた。
「...ノイト=ソルフォトス。」
「...何ですか...?」
ラルカは向こう側を向いているため、ノイトのからはラルカがどんな表情をしているのかが読み取れない。しかし、その背中と声からだいたいの心情を察することは出来た。
「貴様を...、お前を認める。お前は私より強い。」
「それで、良いんですか...?」
「良くない。だが...お前なら、良い。優しいのだな、お前は。」
ラルカはノイトがわざと攻撃を当てるのを肩章だけに留めたことに気づいていた。本来ならこの技は相手の胴体に大きく傷を残し、過去の記憶を走馬灯として脳内に再生するものだったが、ラルカにそこまでの怪我を負わせる気など一切ないノイトの気遣いで一瞬の回想のみで済んだのだ。
「...さっきまで"甘い"とか言ってませんでしたか?」
「...もう、良い。お前の勝ちなんだ。誇れ。」
「嫌ですよ。」
ラルカはノイトの予想外の言葉に振り向いた。その目には満足感と僅かな悔しさが浮かんでいた。
「だって、僕は別にあなたに勝って誇るのが目的じゃないですもん。今みたいにこうしてかっこつけられているだけでも充分満足です。それ以上は、お腹いっぱいですよ。」
「本当に、そういう人間なのだな...お前は...。」
「はい!」
ノイトの笑顔を見てラルカも自然と緊張が解けていくのを感じた。その時、少し離れた場所から轟音が聞こえた。
[斜体]「「...!!」」[/斜体]
ノイトはすぐに音が聞こえた方を見る。すると、そこには墜落して煙を上げている小型の航空機とそこから銃を構えて走ってくる無数の人影。
(まさか...!!)
ノイトの嫌な予感が当たってしまった。そこに居たのは、ユーガレア王国の王に唆された戦闘員たちだ。
「ノイト=ソルフォトス...私はまだ動ける。お前のお陰でな。止めるのか...?」
「もちろんです。大切な人を守るのが僕の生きる意味ですから。」
「大切な人、か...。それなら、私も好きなようにさせてもらおう。」
ラルカはゆっくりと立ち上がってノイトの隣に立つ。隣に並ぶと2人は丁度同じくらいの身長だ。隣に立っているノイトの目をしばらく見つめて、ラルカは声をかけた。
「...ここは任せろ。お前はもっと王城の近くへ。」
「...分かりました。...ラルカさん、無理はしないでくださいね。あなたももう、僕の大切な人ですから。」
そう言い残してノイトは王城の方へと駆け出していった。その背中を見つめてラルカは帽子を目深に被り直した。
「分かっている...ノイト、諦めるなよ。」
ラルカは[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]を構えて走ってくる戦闘員たちの方を向く。
「ここから先に行くということは、死を意味する。命が惜しいような貧弱者はここで散れ!」
ラルカは武器を構えて再び闘志が宿った目で先を見据えて構えたのだった。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は、ノイトとラルカの和解(?)と起こってしまった開戦の場面を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/27 21:33

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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