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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現や戦争などに関連する内容が含まれている場合があります。
これらを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#74

74.理論と武力の衝突(1)

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトとラルカは未だに上空から落下しながら剣を撃ちつけ合っている。
「僕は別にあなたに危害を加えるつもりはありません、退いてください。」
「戦場に居ながら危害を加えないだと?そんな馬鹿がどこに居るんだ。」
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]ガキンッ[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
「戦場の上に偶然通りかかっただけなのに、どうして攻撃されなきゃいけないんですか...?」
「二度も同じことを言わせるな。戦場を飛ぶ鳥は撃ち落として当然だ、と言ったのが聞こえなかったのか。」
ノイトがマジックバッグから[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を取り出そうとするも、ラルカの攻撃は隙がなくてその余裕がない。
「取り敢えず、落ち着いてください!僕の方から何かを仕掛けることはありません。それは保証します。」
「笑止。口先では何とでも言えるだろう。そんな綺麗事をどう信じろと言うのだ。何に誓い、何を求める?」
ラルカの碧い眼光がノイトの視線と交わる。揺らぎない闘志が宿った目を見てノイトはラルカの覚悟の重さを感じた。
「別に、何に誓うだとか、何か見返りを求めるだとか言うわけじゃないです。これは確かに僕の本心であって、綺麗事なんかじゃありません!」
「戯けるな。そんな言葉を信じる義理もなければ、慈悲もない!」
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]ガキンッ[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
ラルカの攻撃をノイトが受け止める。ノイトが一瞬下を見ると、地面が近づいてきているのがよく分かった。
「信じないのはあなたの自由ですけど、邪魔をするのは止めてくれません?」
「断る。私の視界に入ったものは全て撃ち伏せて片付けると決めているのだ。」
「それは誰からの命令ですか?」
[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]ガキンッ[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
「私は誰の命令も受けない。私はただ自身の信念と野望に付き従うのみだ。」
ラルカはノイトに攻撃を受け止めさせて、ノイトを地面へと叩き落とす。
ノイトが落下したところから土埃が上がった。その中から出てきたノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】をしっかりと握り直して[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込めながら言い返す。ラルカは着地してノイトのことを睨み続けていた。
「その場の衝動に突き動かされて動いているようじゃ、獣と変わりありませんよ?」
「構わん。生存本能こそが戦場での最強の武器だ。」
ノイトは少し首を傾げながら武器を振りかざす。
「特攻に生存を見出すのは、何か違うと思いますけどね...?」
「勝利という結果こそが、栄誉。そして、栄誉は生存の証だ。特攻によって与えられるは生存の事実...つまり、特攻に生存を見出すことに問題などありやしない。」
(めちゃくちゃだな...でも、僕も大したこと言えてないし、相手に引っ張られているんだろう。この人なら...生き延びる。)
ノイトはラルカに向かって跳ぶ。そしてその武器を振り回した。

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]〔[漢字]魔力斬[/漢字][ふりがな]マギノ・スラッシュ[/ふりがな]〕[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

ラルカは斬撃を見据えて素早く[漢字]拳銃[/漢字][ふりがな]ハンドガン[/ふりがな]を取り出し、斬撃に向かって発砲する。
[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体]―― ヒュンッ ――[/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
ラルカが撃った弾が斬撃に命中し、斬撃の中心部が冷気と化して無力化された。
[斜体]「...!!」[/斜体]
斬撃の両端がラルカの左右を通り過ぎ、ラルカの背後の地面にその斬撃の爪痕を残す。ラルカは焦った様子も驚いた様子も見せずにただノイトに向かって銃を構えていた。
「どうした。こんなものなのか、魔神を倒した男と言うのは?」
「いや...別に男だとか女だとか言う性別に固執はしてないんだけど...。」
「男は戦力、女は愛嬌だなんて時代もあったのだ。だが私は、女でありながらも男を超える努力をしてきた。そして今、男を超えるための壁の一つと相対している。貴様を倒せば、私は女であることに誇りを持てるのだ!」
ノイトは目を瞬かせる。
「えっと...それじゃあ、本当の目的は自分に誇りを持つことですか?僕を倒すことはあくまで通過点みたいな言い草でしたけど...。」
「...。」
ラルカの目は一切揺らがないし、銃口から発射される弾がいつノイトを撃ち抜いてもおかしくはない。そんな状況の中で沈黙が続く。
(あれ...何か余計なこと言っちゃったかな...?僕はルミナの安全さえ確保出来れば、別にこの人と話し続けてても良いんだけど...。)
「...ノイト=ソルフォトス...。」
「...はい。」
「貴様の[漢字]齢[/漢字][ふりがな]よわい[/ふりがな]はいくつだ?」
(え...今?)
ノイトはラルカの質問に疑問を抱えつつも正直に答える。
「15です。」
「私は17だ。...だが、何なんだお前は。2年間もの違いで何故これほど拮抗する論駁が出来ると言うのだ...?」
(いや...17でここまで出来るのも普通にスゴいけどね...。)
「貴様...そうか...[漢字]そういうこと[/漢字][ふりがな]・・・・・・[/ふりがな]なのだな...?」
「...何ですか?」
「私が聞いたところで貴様は答えないだろう。いや、そもそもそれを知る必要もない。やはり貴様はこの場で消す。」
「消すんですか...?それとも、倒すんですか...?さっきから表現が言ったり来たりでどっちか分かりませんよ。」
ラルカは引き金にかけた指に力を込める。
「常に、今こそが現状での意志だ。」

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]〔[漢字]魔力防御[/漢字][ふりがな]マギノ・シールド[/ふりがな]〕[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体]―― ヒュンッ ――[/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
その弾丸を、【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]から出た魔力の光で顕現された透明なバリアが防ぐ。バリアはその弾丸によって冷気に変えられ、弾丸もまた冷気となって消滅した。
「魔力を弾として撃ち出し、当たったものを冷気に変える魔具ですかね...?"触れたもの"であればあなたやその魔具が冷気になってしまうと思いますし。」
「...私は、少々貴様を見くびっていたようだな。予想よりは頭が切れるらしい。」
「どうも。」
ノイトはラルカの目的に最も関わっているのが自分だと思い、ノルティーク帝国の王族には手を出さないことを信じてラルカの相手をすることにした。
「ところで、あなたは僕だけを標的にしているんですか...?」
「そうだ。他の者など心底どうでも良い。」
(良くも悪くも助かったな...。)
「では、逆に聞こう。何故貴様はそこまでして私との戦闘を避けるのだ?」
ノイトはラルカを真っ直ぐと見て自分の考えを正直に告げる。それがラルカに伝わるかどうかは分からないが。
「僕がここに来たのは大切な人を守るためです。あなたとの戦闘は本来の目的ではないので、僕にとっては不要なんです。」
「そうか...。」
ラルカはノイトの話を聞いて冷たい視線を帽子に隠した。表情に変化がないため、ノイトにはラルカの心情が分からなかった。
「...それなら、好都合だ。そいつらを殺せば貴様は本気で私との戦闘をする気になるのだな!」
ラルカが口元に僅かな笑みを浮かべて再び碧い目を覗かせた。しかし、その目に映っていたのはノルティーク帝国の王城だ。そんなラルカの様子を見たノイトの目が鋭くラルカを射止める。
「...何をするつもりですか?」
「だから、二度も言わせるなと言っているだろう。」
そう言い残してラルカはノルティーク帝国の王城に向かって跳んでいった。間髪入れず、ノイトがラルカに追いついて【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を振り上げる。
[斜体]「...アハハッ!!」[/斜体]
瞬時にノイトへと銃口を向けたラルカを、その笑い声ごとノイトの攻撃が斬り払った。

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]〔[漢字]記憶の剣先[/漢字][ふりがな]キオクノハリ[/ふりがな]〕[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

[中央寄せ][大文字][明朝体][太字][斜体]― ― ズダンッ ― ―[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]

戦場と化したノルティーク帝国の西の荒れ地に轟音と濛々と上がる土煙。その規模の大きさが広がることを察した人物が王城に居た。
[斜体]「レイク...。私の子どもを守ってちょうだい...。」[/斜体]
[大文字]「承知いたしました、イズベラ様。」[/大文字]
レイクは土煙の中で飛んでいるノイトを真っ直ぐと見据え、イズベラ王女の命を受けて剣を構えるのだった。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はノイトとラルカの戦闘をメインに描きました。ラルカは悪意もなく純粋にノイトのことだけを見ていますが、ノイトには守るべきものがたくさんあります。果たしてノイトとラルカの戦闘の行く末は...?次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/25 22:28

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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