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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

また、一部微細な暴力表現や戦争などに関連する内容が含まれている場合があります。
これらを苦手とする方は閲覧をお控えいただくことをお勧めします。

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世界に溢れる夢

#73

73.戦場に飛ぶ鳥

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトは高速でノルティーク帝国の方へと空中を駆け抜けていた。
[斜体](煙が...!!まさか、もう戦争が...?!急げ!)[/斜体]
ノルティーク帝国に近づいていく度にその煙の全貌が見えるようになっていく。煙の出どころはノルティーク帝国から南西に5km程離れた場所。かなり帝国に近い。煙の周りには火が広がっていて、鈍色の軍服を来た戦闘員らしき人物がたくさん居る。皆一様に何やら武器を持っていて、明らかに戦争直前の情景だった。
ノイトはノルティーク帝国の王城に向かって飛んでいく。が、そこで地上から何かが飛んできてノイトに当たりそうになった。
[大文字][斜体]「!!」[/斜体][/大文字]
空中で仰け反ってそれを避けたノイトは、それが[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]を構えた人間であることに気が付く。
(何だ...?誰だ...?何故攻撃してくる?!)
その人物はノイトより少し上からノイトに向かって銃口を向けたまま黙っていた。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ノルティーク大陸/貿易都市・レミステラ〛[/中央寄せ]

ノイトが飛行船から飛び立って約5分。リーリャは急いでレミステラからノルティーク帝国に繋がる『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』をくぐる。
リーリャはノルティーク帝国へと[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]させられ、リーリャの前にはノルティーク帝国の街並みが見えた。
(急がないと...!!)
まだ中世ヨーロッパのような建物が並ぶこの城下街は何の攻撃も受けていないようだが、住人たちはみんな家の中に居る。リーリャは他に誰も外に居ない街を駆け抜けて王城へと辿り着いた。王城の護衛兵がリーリャに気がつく。
「君は確か、以前王城へ招かれた...!!」
「ハァ...ハァ...リーリャ、です。」
「今は在宅避難令が出されています。とにかく、中へお入りください!!」
リーリャは王城の中へと通された。王城の中に入るとカメリアが出迎えてくれた。
[明朝体]「リーリャ様!お久しぶりです。お怪我はございませんか?」[/明朝体]
「カメリア様...!!王族の人たちは、大丈夫ですか?」
リーリャの不安そうな表情を見たカメリアはリーリャを落ち着かせるように答える。
「えぇ、問題ありませんよ。ルミナスも元気です。..ところで、その...ノイトく、ウッウン...。ノイト様はどうされたのですか?」
リーリャはノイトがたった1人で煙が上がっていた方へと向かってしまったことを伝える。
「そうですか...被害の規模によっては私も出撃することになりそうですね。父上たちと共に王城の奥でお休みください。」
リーリャはカメリアに案内されて王城の奥へと進み、大広間へと入った。
[明朝体][太字]「リーリャ様!」[/太字][/明朝体]
真っ先に駆け寄ってきたのは12歳程度の、プラチナブロンドカラーの髪と翡翠色の瞳を持つノルティーク帝国第2王女・ルミナスだ。
[明朝体][太字]「お兄ちゃんはご無事でしょうか?!」[/太字][/明朝体]
開口一番ノイトのことを聞いてくる。リーリャは一瞬誰のことか理解出来なかったが、以前のことを思い出してノイトのことだと理解した。
(そう言えば、ノイトに呼び捨てで呼んで欲しいって言ってたらしいし、ノイトのこともお兄ちゃん呼びしてたっけ...。)
「ノイトは、さっき1人であの煙が上がった方に突っ込んでいっちゃったの。...多分、また1人で抱え込んじゃうんだと思うから...。」
[明朝体][太字]「そんな!...でも、きっと大丈夫です。あの場所の近くには、レイクが居ます。お兄ちゃんとレイクが居れば、この戦争もすぐに終わりますよね...?」[/太字][/明朝体]
リーリャは言葉に詰まってしまった。ノイトが言っていたことを思い出したからだ。

 ――多分、いきなりあの国が出て来るんじゃなくて、他の国や街を通して間接的に攻撃をしてから攻めてくるんだと思う。あまり油断は出来ないね。

[明朝体][太字]「どうかされましたか...?」[/太字][/明朝体]
ルミナスが心配そうにリーリャの顔を見上げている。
「いえ...何でも、ないです!そうですよね、きっとノイトとレイクさんが居ればこんな戦争、すぐに終わっちゃいますよね!!」
リーリャはルミナスにそう言ったあと、煙が上がっていた方を振り向いた。大広間の窓は煙とは別の方角だったためノイトがどうなっているのかはリーリャからは見えない。
(...そう、思いたいけど...。...ノイト、絶対に無茶しすぎないでよね...?)

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトは空中でライフルの銃口を向けてくる人物と対峙していた。
(ライフル...僕を攻撃する気なのかな...?遠慮や躊躇一切感じられないけど...。)
その人物はカーキ色の軍服を着ていて、肩章や飾緒、勲章を付けている。その上から黒いコートを羽織っていて、手には黒いグローブ。金髪碧眼に軍服と同じカーキ色の帽子を被ったその人物は口を開いた。
「お前がノイト=ソルフォトスで間違いないな。」
(僕のことを知っているのか...?)
ノイトはすぐに答えなければ撃たれそうな気がしたのですぐに返事をする。
「あ、はい...そうです。」
「そうか...なら消えろ。」
「え?」
[中央寄せ][明朝体][太字][大文字][斜体]―― ピシュッ ――[/斜体][/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
ノイトは間一髪で銃弾を避けた。避けようとした。避けたかった。しかし、ノイトのマジックバッグに命中した。この世界のマジックバッグは収集物を一定サイズまで魔力で縮小させてバッグの中に収めるものだった。よって、無限ではない。マジックバッグの中でも慣性は消えないため、マジックバッグの中へと撃ち込まれた銃弾はやがて反対側から出てくる。
ノイトは瞬時にそのことに気がついてマジックバッグを裏返す。そして次の瞬間、銃弾がバッグを突き破って飛び出ていった。
(あっぶな...!!危うく銃弾が貫通して僕に着弾して出血...)
相手は容赦なく次の一手を加える。[漢字]銃[/漢字][ふりがな]ライフル[/ふりがな]に付いていた紐を使って肩に掛け、腰に差していた剣を引き抜く。
(うわっ、やばっ!)
ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を取り出して相手の攻撃を防ぐ。
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]ガキンッ[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
「待って、ください!どうして攻撃してくるんですか?」
「戦場に飛ぶ鳥は撃ち落として当然だ。」
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]ガキンッ[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
「あと、何で僕の名前を...?」
少女は少し黙ってから剣を撃ちつけて答える。
「ノイト=ソルフォトス...世界に7体しか居ない魔神の復活に遭遇し、前線に立ってその討伐に貢献した者...。」
ノイトは攻撃を受け止めながら落下している。
「私も、先日魔神を倒した...貴様と同じだ。」
ノイトはそれを聞いて驚いた。
(魔神を...!?それじゃあ僕が遭遇した2体以外にも、もう1体魔神が討伐されていたのか...!)
その少女は冷たく鋭い視線でノイトを真っ直ぐと見据えたまま名乗る。
「私は、[太字]ラルカ=シフィアート[/太字]。貴様を倒して従える者だ。」
「...。」
ノイトはラルカの攻撃を弾く。そしてラルカをじっと見つめ返して尋ねる。
「..."貴様"って言ってて、恥ずかしくない?大丈夫?」
「処す。」
[中央寄せ][明朝体][太字][斜体][漢字]ガキンッ[/漢字][ふりがな][大文字]ガキンッ[/大文字][/ふりがな] [漢字]ガキンッ[/漢字][ふりがな][大文字]ガキンッ[/大文字][/ふりがな] [漢字]ガキンッ[/漢字][ふりがな][大文字]ガキンッ[/大文字][/ふりがな]
[/斜体][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
(怖っ...!...って言うかこの人、結構若い...?殺意がある時のメルに似てるな...。歳も近いのかもしれない...)
[中央寄せ][大文字][太字][明朝体][斜体]ガキンッ[/斜体][/明朝体][/太字][/大文字][/中央寄せ]
[斜体](...っ、今はそれどころじゃない!どうにかしてこの人を止めないと...!!)[/斜体]
「...何故僕を従えようとしているんです?」
ラルカは顔色一つ変えずにノイトの質問に答えた。
「貴様が実力者だからだ。そこで私がお前を倒せば、私の方が格上だと証明出来るだろう。」
「それはあくまで相対的な評価でしょう。他人と比べて得た評価で満足出来るんですか?」
「...人は所詮、相対的な評価でしかモノを見れない生き物だ。数値や歴史を比較して評価することこそ、より良い未来の選択に繋がるのものであることが分からないのか?」
冷たい視線がノイトを突き刺すが、ノイトは構わず言い返す。
「未来の選択...?それじゃあまるで未来が既に用意されているみたいな言い方ですね。決まった形の未来なんてありませんよ。それと、相対的な評価は過去のものです。過去を通して未来を見ることは出来ません。臨機応変に対応するのはあなたも得意そうに見えますけどね?」
「くだらない偏見を他人に押し付けるな。人は周りの圧力に負けて自らを変えてしまう。余程の強い意思を持たない限りはな。」
双方互いに譲らない。こうしている間も2人は武器を撃ちつけ合いながら落下しているのだが、そんなことは2人にとって気にする問題ではないようだ。
「あなたは、その強い意思とやらを持っているんですかね?」
「...当然だ。[斜体]其れを語る者は其れを知る者[/斜体]。事実もないのに虚勢を張るような真似は、二度としない。」
ノイトとラルカは視線と剣を交えたままノルティーク帝国近隣の上空を落下してきている。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はリーリャとノルティーク帝国の王族の再会と、ノイトとラルカの遭遇を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての感想も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!


[追記]
ちなみに、ラルカはどこぞの王国の手先などではなく、勝手に戦争に便乗しているだけです。ノイトに異様に執着している理由は知名度と実力の嫉妬だと思います。

2025/11/24 23:45

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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