世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ヴェルグランド大陸/ユーガレア王国〛[/中央寄せ]
ノイトとリーリャはユーガレア王国へと到着した。山に囲まれた土地に広がる巨大な石造り壁門の先には武器を持った兵士が大勢いる。
「ノイト...何か怖いね。」
「ただ事じゃないのは確かだけど...。」
国に入ろうとすると兵士の1人に呼び止められた。
「待て。出身はどこだ。」
「ノルストラ近隣のミストルの町です。」
兵士たちが武器を構えた。
「悪いが、ノルティーク帝国と我がユーガレア王国は戦争勃発直前という所であってな。軽々しく入国するのは控えてもらおう。」
(戦争勃発直前...?ノルティーク帝国はそんな気配、一切なかったけど...僕たちが居たからそれを感じさせないように振る舞ってくれていたのか...?)
「そうですか...。...なら、何故武器を構えるんです?」
兵士たちが剣を構えたまま近づいてくる。
「敵国の者だ、人質として監禁すると同時にノルティーク帝国のことについて話してもらおう。」
(断ったら斬られるよな...。)
「...分かりました。ただ...監禁は勝手ですけど、逃げ出すのは僕たちの勝手ですよね?貴方がたに僕たちを縛る権利は無いのでしょう?」
兵士たちが剣を構えたままさらに近づいてきた。2人を呼び止めた兵士がノイトの質問に答える。
「我らに従わないのであれば、無理やり拘束するのみだ。それがこの国のやり方だ。」
「面倒ですね...。王族の方とお話し出来るのであれば監禁はご自由にどうぞ。」
「暗殺が目的か...?」
「ただの旅人ですよ。こんな子供に暗殺を頼むような王様じゃないんですよ、ノルティーク王は。」
結局ノイトとリーリャはそのまま兵士たちに囲まれたままユーガレア王国の王城まで連れて行かれた。
王城は確かに広いが、ノルティーク帝国のものの方が広く感じる。ノイトとリーリャは王の前に連れて行かれ、その王の威厳を目の当たりにした。
「はじめまして、ユーガレア王。僕はノイト=ソルフォトス。丁度この国に通りかかったらそこの兵士共に捕まった者です。」
ノイトは敢えてやや崩れた敬語を使っていて、何故か少しだけ喧嘩腰だった。
(ルミナを戦争に巻き込むつもりだったら絶対に許さないけど...この王はどう出るかな?)
[明朝体][大文字]「ノイト=ソルフォトス...報告ではノルティークの差し金だと聞いておるが...?」[/大文字][/明朝体]
「それは報告に誤りがありますね。僕たちはただ旅をしていただけですが...。」
王がその報告をした兵士を睨む。次の瞬間、その兵士は膝から崩れ落ちて動けなくなった。
(呪い...魔術の一種かな...。)
[大文字][明朝体]「お前は何故この地に足を踏み入れたのだ...?」[/明朝体][/大文字]
「ただ通りすがっただけですよ。そちらから何かされない限りは僕たちも貴方がたに何もしません。」
[大文字][明朝体]「本当か...?」[/明朝体][/大文字]
「えぇ、本当ですよ。だけど、僕達は半強制的にこの場所に連れてこられた。それに釣り合うことであればしても構いませんよね?」
ユーガレア王は兵士たちを睨んだ。その場に居た兵士たちは全員膝から崩れ落ちて動けなくなる。
[大文字][明朝体]「これだけでは相子にはならないな...お前は私に何を望む?」[/明朝体][/大文字]
ノイトは少し考え込んだ後に、答えた。
「そうですね...。貴方がたとノルティーク帝国は何故戦争勃発直前なのですか?どちらが先にどのように仕掛けたのか...お答え願います。その答えによっては...僕は貴方がたと戦う理由が出来ますけど。」
その場に重たい沈黙が訪れる。リーリャは先程からずっと黙って2人の会話を聞いていたが、どちらもお互いをあまりよろしく思っていないことが感じられる。やがて、沈黙を破ってユーガレア王が口を開いた。
[大文字][明朝体]「この私の名に誓って正直に言おう。最初に仕掛けたのは私だ。」[/明朝体][/大文字]
ノイトの目は王の方へと据わった。しかし、ノイトはまだ飛びかかるような真似はしない。
[大文字][明朝体]「動機も知りたいのであろう...?それも答えてやる。私はこの国を豊かにしたいのだ。そのための資源を獲得するためには、より広い領土が必要となる。...そこで適しているのがノルティーク大陸なのだ。」[/明朝体][/大文字]
「...つまり、国歌の繁栄のためならノルティーク帝国を力ずくでも資源を奪う、と...そう言いたいんですか?」
[大文字][明朝体]「そうだ。」[/明朝体][/大文字]
ノイトは黙って立ち上がった。そして目の前に座る王を真っ直ぐと見据えて答えを出す。
「繁栄は豊かさを生む要因の一つとして、充分に考えられますよ。...だけど、それで生まれる被害や犠牲のことも考えたことはおありでしょうか?」
[大文字][明朝体]「ないな。一度たりとも。」[/明朝体][/大文字]
「そうですか...なら、僕は貴方がたがノルティーク帝国に攻めてきた場合、貴方がたの邪魔をすることになりますね。別にそれでも構いませんよね?」
リーリャもノイトに気圧されて思わず立ち上がった。王は静かに頷く。
[大文字][明朝体]「互いの意思が衝突することも多々ある。どちらかが正しいという事実は無いが、勝者には莫大な達成感と団結力、そして安心感と国力が与えられる。好きに抗うが良い。」[/明朝体][/大文字]
「...分かりました。失礼します。」
ノイトとリーリャは王室から出て、王城の外に出た。
「ねぇ、ノイト...どうするの?このままじゃ戦争になっちゃうよ?」
「まだ戦争が始まっていない以上、僕たちから手を出すことは出来ない...。様子見だね、今は。戦争は避けられないかも知れないけど、戦争の被害を減らす最大限の努力とその準備をしよう。」
ノイトはリーリャを連れて賑やかな城下街を抜け、王国を後にする。
「ノルティーク帝国は大丈夫かな...?」
ノイトはリーリャの不安を取り除くように答えた。
「ノルティーク帝国にはエスミルト騎士団やレイクさんが居るでしょ。でもまぁ、ルミナたちのことは心配かな...。次の町で『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』を使って港まで戻ろうか。」
「そうだね、私も戻りたい。」
ノイトはリーリャと次の街へと歩きながらあることを思い出した。
(あぁ...そう言えば、フィルさんの店で買った聖剣と聖鎧のセット...まだルミナに送ってなかったな...。メルに買ってあげた魔法の杖も、グレイベアルドでは使われてなかったね...。以外とすぐに使わないのが多いのかな...?)
リーリャは考え事をしていたノイトに声をかける。
「ねぇ、ノイト。あれが次の街?」
「うん、そうだよ〜。あれが機械都市・カタパリア。」
「何だかカタパルトみたいな名前だね...?」
「確かあの街はカタパルトみたいな機械仕掛けのものの開発で有名だったはずだよ。」
2人はカタパリアに向かって続く道を歩いて行くのだった。
[中央寄せ]エリア〚ヴェルグランド大陸/ユーガレア王国〛[/中央寄せ]
ノイトとリーリャはユーガレア王国へと到着した。山に囲まれた土地に広がる巨大な石造り壁門の先には武器を持った兵士が大勢いる。
「ノイト...何か怖いね。」
「ただ事じゃないのは確かだけど...。」
国に入ろうとすると兵士の1人に呼び止められた。
「待て。出身はどこだ。」
「ノルストラ近隣のミストルの町です。」
兵士たちが武器を構えた。
「悪いが、ノルティーク帝国と我がユーガレア王国は戦争勃発直前という所であってな。軽々しく入国するのは控えてもらおう。」
(戦争勃発直前...?ノルティーク帝国はそんな気配、一切なかったけど...僕たちが居たからそれを感じさせないように振る舞ってくれていたのか...?)
「そうですか...。...なら、何故武器を構えるんです?」
兵士たちが剣を構えたまま近づいてくる。
「敵国の者だ、人質として監禁すると同時にノルティーク帝国のことについて話してもらおう。」
(断ったら斬られるよな...。)
「...分かりました。ただ...監禁は勝手ですけど、逃げ出すのは僕たちの勝手ですよね?貴方がたに僕たちを縛る権利は無いのでしょう?」
兵士たちが剣を構えたままさらに近づいてきた。2人を呼び止めた兵士がノイトの質問に答える。
「我らに従わないのであれば、無理やり拘束するのみだ。それがこの国のやり方だ。」
「面倒ですね...。王族の方とお話し出来るのであれば監禁はご自由にどうぞ。」
「暗殺が目的か...?」
「ただの旅人ですよ。こんな子供に暗殺を頼むような王様じゃないんですよ、ノルティーク王は。」
結局ノイトとリーリャはそのまま兵士たちに囲まれたままユーガレア王国の王城まで連れて行かれた。
王城は確かに広いが、ノルティーク帝国のものの方が広く感じる。ノイトとリーリャは王の前に連れて行かれ、その王の威厳を目の当たりにした。
「はじめまして、ユーガレア王。僕はノイト=ソルフォトス。丁度この国に通りかかったらそこの兵士共に捕まった者です。」
ノイトは敢えてやや崩れた敬語を使っていて、何故か少しだけ喧嘩腰だった。
(ルミナを戦争に巻き込むつもりだったら絶対に許さないけど...この王はどう出るかな?)
[明朝体][大文字]「ノイト=ソルフォトス...報告ではノルティークの差し金だと聞いておるが...?」[/大文字][/明朝体]
「それは報告に誤りがありますね。僕たちはただ旅をしていただけですが...。」
王がその報告をした兵士を睨む。次の瞬間、その兵士は膝から崩れ落ちて動けなくなった。
(呪い...魔術の一種かな...。)
[大文字][明朝体]「お前は何故この地に足を踏み入れたのだ...?」[/明朝体][/大文字]
「ただ通りすがっただけですよ。そちらから何かされない限りは僕たちも貴方がたに何もしません。」
[大文字][明朝体]「本当か...?」[/明朝体][/大文字]
「えぇ、本当ですよ。だけど、僕達は半強制的にこの場所に連れてこられた。それに釣り合うことであればしても構いませんよね?」
ユーガレア王は兵士たちを睨んだ。その場に居た兵士たちは全員膝から崩れ落ちて動けなくなる。
[大文字][明朝体]「これだけでは相子にはならないな...お前は私に何を望む?」[/明朝体][/大文字]
ノイトは少し考え込んだ後に、答えた。
「そうですね...。貴方がたとノルティーク帝国は何故戦争勃発直前なのですか?どちらが先にどのように仕掛けたのか...お答え願います。その答えによっては...僕は貴方がたと戦う理由が出来ますけど。」
その場に重たい沈黙が訪れる。リーリャは先程からずっと黙って2人の会話を聞いていたが、どちらもお互いをあまりよろしく思っていないことが感じられる。やがて、沈黙を破ってユーガレア王が口を開いた。
[大文字][明朝体]「この私の名に誓って正直に言おう。最初に仕掛けたのは私だ。」[/明朝体][/大文字]
ノイトの目は王の方へと据わった。しかし、ノイトはまだ飛びかかるような真似はしない。
[大文字][明朝体]「動機も知りたいのであろう...?それも答えてやる。私はこの国を豊かにしたいのだ。そのための資源を獲得するためには、より広い領土が必要となる。...そこで適しているのがノルティーク大陸なのだ。」[/明朝体][/大文字]
「...つまり、国歌の繁栄のためならノルティーク帝国を力ずくでも資源を奪う、と...そう言いたいんですか?」
[大文字][明朝体]「そうだ。」[/明朝体][/大文字]
ノイトは黙って立ち上がった。そして目の前に座る王を真っ直ぐと見据えて答えを出す。
「繁栄は豊かさを生む要因の一つとして、充分に考えられますよ。...だけど、それで生まれる被害や犠牲のことも考えたことはおありでしょうか?」
[大文字][明朝体]「ないな。一度たりとも。」[/明朝体][/大文字]
「そうですか...なら、僕は貴方がたがノルティーク帝国に攻めてきた場合、貴方がたの邪魔をすることになりますね。別にそれでも構いませんよね?」
リーリャもノイトに気圧されて思わず立ち上がった。王は静かに頷く。
[大文字][明朝体]「互いの意思が衝突することも多々ある。どちらかが正しいという事実は無いが、勝者には莫大な達成感と団結力、そして安心感と国力が与えられる。好きに抗うが良い。」[/明朝体][/大文字]
「...分かりました。失礼します。」
ノイトとリーリャは王室から出て、王城の外に出た。
「ねぇ、ノイト...どうするの?このままじゃ戦争になっちゃうよ?」
「まだ戦争が始まっていない以上、僕たちから手を出すことは出来ない...。様子見だね、今は。戦争は避けられないかも知れないけど、戦争の被害を減らす最大限の努力とその準備をしよう。」
ノイトはリーリャを連れて賑やかな城下街を抜け、王国を後にする。
「ノルティーク帝国は大丈夫かな...?」
ノイトはリーリャの不安を取り除くように答えた。
「ノルティーク帝国にはエスミルト騎士団やレイクさんが居るでしょ。でもまぁ、ルミナたちのことは心配かな...。次の町で『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』を使って港まで戻ろうか。」
「そうだね、私も戻りたい。」
ノイトはリーリャと次の街へと歩きながらあることを思い出した。
(あぁ...そう言えば、フィルさんの店で買った聖剣と聖鎧のセット...まだルミナに送ってなかったな...。メルに買ってあげた魔法の杖も、グレイベアルドでは使われてなかったね...。以外とすぐに使わないのが多いのかな...?)
リーリャは考え事をしていたノイトに声をかける。
「ねぇ、ノイト。あれが次の街?」
「うん、そうだよ〜。あれが機械都市・カタパリア。」
「何だかカタパルトみたいな名前だね...?」
「確かあの街はカタパルトみたいな機械仕掛けのものの開発で有名だったはずだよ。」
2人はカタパリアに向かって続く道を歩いて行くのだった。