世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込め、魔法を使う。
[中央寄せ][太字][斜体][大文字]〔[明朝体][漢字]時夢姫[/漢字][ふりがな]シンデレラ[/ふりがな][/明朝体]〕[/大文字][/斜体][/太字][/中央寄せ]
ノイトと、街の広場以外の時間が止まった。異変を感じて中央広場の全員が処刑台の方を向く。そこでリオールが声を張りあげた。
[大文字]「聞け、住人たち!!この街の制度は腐っている!そこで、今から僕たちは古い制度を改めるべく、一度この街を壊そうと思う!!」[/大文字]
リオールは一歩前に出て続ける。
[大文字]「今からこの場所は戦火に呑まれる!!今の制度に不満があり、新しい街を望む者は今すぐにここから離れることを勧める!以上だ!!」[/大文字]
そこでリオールの話を聞いたユプシーバが大声で怒鳴り散らかす。
[斜体][大文字]「ふざけるな!!愚民どもォ、ここから逃げようとすれば無条件で処刑だ!!いいか、絶対にここから...」[/大文字][/斜体]
[中央寄せ][斜体][大文字][明朝体][太字]ガキンッ[/太字][/明朝体][/大文字][/斜体][/中央寄せ]
メルクがユプシーバに攻撃を仕掛けて言葉を遮る。
「行ってください!!この変態に騙されてはいけません!!」
住人の1人が恐る恐るメルクに尋ねる。
「でも、...賢者様の[漢字]仰[/漢字][ふりがな]おっしゃ[/ふりがな]ることは絶対で...逆らったりしたら...」
「大丈夫です。そうならないように私たちがこの街の制度を変えます。」
[大文字]「そうはさせませんよ、お嬢さん!俺は賢者、この街の制度を変えることを禁じます!!」[/大文字]
「お断りします。」
[大文字]「あなたを処刑になんてさせませんから、どうかそれだけはお願いします...!!一生幸せにしますから!!」[/大文字]
[漢字]女好きの変態[/漢字][ふりがな][太字]ユプシーバ[/太字][/ふりがな]の言葉にメルクは不快感を覚えた。
「黙れ変態。さっきから気持ち悪いことを抜かしてばっかり...。制度に守られて浮かれている愚者に、私を幸せにすることは出来ませんよ。」
ユプシーバの頬は紅潮した。重度のマゾはもうメルクの手には負えない。メルクは[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]製のスティレットを両手に構える。ユプシーバは狂気的な笑みを浮かべて聞くだけで気分が悪くなるような言葉を放った。
[大文字]「一生俺のものに...してあげるから、少し痛いのも我慢してねぇ...?」[/大文字]
メルクは思わず叫びそうになる。珍しくメルクの目には恐怖が滲んでいて、肩も僅かに震えている。メルクは大声でノイトに助けを求めた。
[大文字]「ノイトくん!助けて!!やっぱりこの変態は私には無、理...?」[/大文字]
ノイトは現在時間を止める魔法を使用している。そのせいでノイトの動きは止まっていて、メルクの言葉はノイトには届いていない。
(あの、[小文字]バカ[/小文字]...!!ヒロインの1人が敵に怯えているのに、助けてくれないなんて...。)
メルクはぷくっと頬をむくれさせながらユパシーバの攻撃に備えた。
メルクのお陰で勇気を出せた住人たちは中央広場の外へと逃げ出す。その様子を見ていたフィルマリーは頃合いを見て中央広場と外を隔離する壁を作った。
[水平線]
[中央寄せ][太字]上級魔術:[大文字]『ᛖᚾᚳᛁᚱᚳᛚᛖ』[/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
中央広場と外が完全に隔離され、ユプシーバは逃げられなくなった。フィルマリーは住人たちが街から離れる時間を稼ぎつつ、街を中心から壊そうと考えている。もちろん、待賢制度に守られている賢者たちもいるため中央広場へと[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]してきて魔術で攻撃してきた。しかし、その射程範囲にはリオールがいる。リオールは許可なく彼らに魔術を放たれそうになっていた。つまり、魔術を放った賢者たちは皆一様に無条件で拘束される。
「何故だ!!私は魔道士...賢者だぞ!!」
「何故賢者であるこの私が拘束されなければならないのだ!!」
彼らの前にゆっくりと降りてきて冷たい言葉を吐き捨てたのは、リオールだった。
[明朝体][大文字]「"何故"...?僕が居るからだよ。」[/大文字][/明朝体]
そして、他の賢者たちと同じように制度を重視しているものたちがリオールに魔術で攻撃を放つ。無詠唱の防御魔術を展開して攻撃を防いだリオールは冷たい視線で攻撃をして来た者たちの方を見た。その者たちは壁の向こう側の上空から中央広場を見下ろしている。リオールに対して魔術を放っても拘束されていない。つまりは、リオールと同じ立場の七賢だ。
「リオール...お前も七賢なら分かるだろう...。私たちが不自由なく暮らせているのは制度のお陰なのだと...。」
「...デリーチェ...。」
デリーチェと呼ばれたその人物は、ノイトたちが七賢会に連れて行かれたときに見かけたリオールより少し歳上らしき女性だった。デリーチェ以外にも七賢たちが全員その場に居た。デリーチェは他の七賢よりも後ろに下がっているが、そでも充分に圧は感じる。
「リオール...お前が制度を壊そうと言うのなら、私たちはお前たちを止めなければならない。それが分かっていてこの所業かい...?」
「あぁ、そうだ。僕はあなたたちと違って外の世界も見てきましたからね。」
「外界に汚染されたか...なんて穢らわしい...!」
七賢会でノイトたちが見かけたいかにも賢者と言った感じの、白い布で全身を服のように包んだ老人が口を挟んだ。リオールは手に魔法陣を展開しながらその老人に言い返す。
「ヴォーグさんの方こそ、外を見たこともないのに自分が優れているとお思いですか?」
他の七賢たちも魔術を放とうと手に魔法陣を展開している。リオールはたった1人でも一歩も退かずに6人の愚者と対峙した。
「七賢は愚者の鏡だ。自惚れと自己満で優劣を盲目的に賢いと思い込むのは止めろ。」
デリーチェが一足早く上級魔術を放とうとしたとき、デリーチェに向かって無数のぬいぐるみが降ってくる。
「[斜体][大文字]!?[/大文字][/斜体]」
そのぬいぐるみをデリーチェに向かって放ったのはフィルマリーだ。
[水平線]
[中央寄せ][太字]個性魔術:[大文字][明朝体][斜体]"ぬいぐるみ"[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
ぬいぐるみはデリーチェにまとわりついて離そうとしない。そこでフィルマリーが指を鳴らすと、ぬいぐるみが爆発した。
デリーチェの[漢字]自動発動[/漢字][ふりがな]オート[/ふりがな]防御魔術が展開されるが、ぬいぐるみが密着しすぎて完全に防ぎきれてはない。
煙の中からデリーチェの怒りの眼差しがフィルマリーに向けられる。
「もう魔道士でもない者が、七賢である私に...なのに、何故あなたは拘束されないの...?」
「...さぁ?何故でしょう、[斜体][大文字]ね![/大文字][/斜体]」
無数のぬいぐるみが再びデリーチェを襲う。デリーチェは炎でぬいぐるみを焼き尽くそうとしたが、ぬいぐるみは一向に燃えることなく熱を帯びたままデリーチェに向かって飛んでくる。そこでフィルマリーが丁寧に解説を入れる。
「あなたの上級魔術と違ってね、私の個性魔術には[漢字][斜体][小文字]魔力[/小文字][/斜体][/漢字][ふりがな][大文字][太字]"愛"[/太字][/大文字][/ふりがな]がいっぱい詰まってるの。密度が...足りませんでしたね[小文字]っ[/小文字][斜体]![/斜体]」
無邪気に笑うフィルマリーはナチュラルにデリーチェを煽っている。デリーチェはフィルマリーが何故拘束されていないのかを必死に考えながら魔術で攻撃する。だが、フィルマリーはすぐにその理由を察した。
(私が拘束されないのは、きっと...ノイトさんに守られているから...。時間はあまりない...早めに片付けないと...!)
リオールは他の七賢たちとの屹立を続けていた。
「どうしたんです...?僕を止めるつもりなんですよね?」
「まぁ、そう早まるな。今謝罪すれば命までは取らない。」
「嫌ですよ。」
笑顔で即答したリオールを見て容赦なく上級魔術がリオールへと浴びせられる。リオールの防御魔術が砕けたが、次の瞬間にはデリーチェ以外の他の七賢たちが赤みを帯びた[漢字]黎[/漢字][ふりがな]くろ[/ふりがな]い炎に包まれていた。炎は壺のような形のまま、七賢たちを逃さない。
「さてと...制度に縋って生きているような古い考えの連中には、制度と共に表から消えてもらいましょうかね...。」
ただリオールの言葉が中央広場の上空に静かに残っていた。
ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込め、魔法を使う。
[中央寄せ][太字][斜体][大文字]〔[明朝体][漢字]時夢姫[/漢字][ふりがな]シンデレラ[/ふりがな][/明朝体]〕[/大文字][/斜体][/太字][/中央寄せ]
ノイトと、街の広場以外の時間が止まった。異変を感じて中央広場の全員が処刑台の方を向く。そこでリオールが声を張りあげた。
[大文字]「聞け、住人たち!!この街の制度は腐っている!そこで、今から僕たちは古い制度を改めるべく、一度この街を壊そうと思う!!」[/大文字]
リオールは一歩前に出て続ける。
[大文字]「今からこの場所は戦火に呑まれる!!今の制度に不満があり、新しい街を望む者は今すぐにここから離れることを勧める!以上だ!!」[/大文字]
そこでリオールの話を聞いたユプシーバが大声で怒鳴り散らかす。
[斜体][大文字]「ふざけるな!!愚民どもォ、ここから逃げようとすれば無条件で処刑だ!!いいか、絶対にここから...」[/大文字][/斜体]
[中央寄せ][斜体][大文字][明朝体][太字]ガキンッ[/太字][/明朝体][/大文字][/斜体][/中央寄せ]
メルクがユプシーバに攻撃を仕掛けて言葉を遮る。
「行ってください!!この変態に騙されてはいけません!!」
住人の1人が恐る恐るメルクに尋ねる。
「でも、...賢者様の[漢字]仰[/漢字][ふりがな]おっしゃ[/ふりがな]ることは絶対で...逆らったりしたら...」
「大丈夫です。そうならないように私たちがこの街の制度を変えます。」
[大文字]「そうはさせませんよ、お嬢さん!俺は賢者、この街の制度を変えることを禁じます!!」[/大文字]
「お断りします。」
[大文字]「あなたを処刑になんてさせませんから、どうかそれだけはお願いします...!!一生幸せにしますから!!」[/大文字]
[漢字]女好きの変態[/漢字][ふりがな][太字]ユプシーバ[/太字][/ふりがな]の言葉にメルクは不快感を覚えた。
「黙れ変態。さっきから気持ち悪いことを抜かしてばっかり...。制度に守られて浮かれている愚者に、私を幸せにすることは出来ませんよ。」
ユプシーバの頬は紅潮した。重度のマゾはもうメルクの手には負えない。メルクは[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]製のスティレットを両手に構える。ユプシーバは狂気的な笑みを浮かべて聞くだけで気分が悪くなるような言葉を放った。
[大文字]「一生俺のものに...してあげるから、少し痛いのも我慢してねぇ...?」[/大文字]
メルクは思わず叫びそうになる。珍しくメルクの目には恐怖が滲んでいて、肩も僅かに震えている。メルクは大声でノイトに助けを求めた。
[大文字]「ノイトくん!助けて!!やっぱりこの変態は私には無、理...?」[/大文字]
ノイトは現在時間を止める魔法を使用している。そのせいでノイトの動きは止まっていて、メルクの言葉はノイトには届いていない。
(あの、[小文字]バカ[/小文字]...!!ヒロインの1人が敵に怯えているのに、助けてくれないなんて...。)
メルクはぷくっと頬をむくれさせながらユパシーバの攻撃に備えた。
メルクのお陰で勇気を出せた住人たちは中央広場の外へと逃げ出す。その様子を見ていたフィルマリーは頃合いを見て中央広場と外を隔離する壁を作った。
[水平線]
[中央寄せ][太字]上級魔術:[大文字]『ᛖᚾᚳᛁᚱᚳᛚᛖ』[/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
中央広場と外が完全に隔離され、ユプシーバは逃げられなくなった。フィルマリーは住人たちが街から離れる時間を稼ぎつつ、街を中心から壊そうと考えている。もちろん、待賢制度に守られている賢者たちもいるため中央広場へと[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]してきて魔術で攻撃してきた。しかし、その射程範囲にはリオールがいる。リオールは許可なく彼らに魔術を放たれそうになっていた。つまり、魔術を放った賢者たちは皆一様に無条件で拘束される。
「何故だ!!私は魔道士...賢者だぞ!!」
「何故賢者であるこの私が拘束されなければならないのだ!!」
彼らの前にゆっくりと降りてきて冷たい言葉を吐き捨てたのは、リオールだった。
[明朝体][大文字]「"何故"...?僕が居るからだよ。」[/大文字][/明朝体]
そして、他の賢者たちと同じように制度を重視しているものたちがリオールに魔術で攻撃を放つ。無詠唱の防御魔術を展開して攻撃を防いだリオールは冷たい視線で攻撃をして来た者たちの方を見た。その者たちは壁の向こう側の上空から中央広場を見下ろしている。リオールに対して魔術を放っても拘束されていない。つまりは、リオールと同じ立場の七賢だ。
「リオール...お前も七賢なら分かるだろう...。私たちが不自由なく暮らせているのは制度のお陰なのだと...。」
「...デリーチェ...。」
デリーチェと呼ばれたその人物は、ノイトたちが七賢会に連れて行かれたときに見かけたリオールより少し歳上らしき女性だった。デリーチェ以外にも七賢たちが全員その場に居た。デリーチェは他の七賢よりも後ろに下がっているが、そでも充分に圧は感じる。
「リオール...お前が制度を壊そうと言うのなら、私たちはお前たちを止めなければならない。それが分かっていてこの所業かい...?」
「あぁ、そうだ。僕はあなたたちと違って外の世界も見てきましたからね。」
「外界に汚染されたか...なんて穢らわしい...!」
七賢会でノイトたちが見かけたいかにも賢者と言った感じの、白い布で全身を服のように包んだ老人が口を挟んだ。リオールは手に魔法陣を展開しながらその老人に言い返す。
「ヴォーグさんの方こそ、外を見たこともないのに自分が優れているとお思いですか?」
他の七賢たちも魔術を放とうと手に魔法陣を展開している。リオールはたった1人でも一歩も退かずに6人の愚者と対峙した。
「七賢は愚者の鏡だ。自惚れと自己満で優劣を盲目的に賢いと思い込むのは止めろ。」
デリーチェが一足早く上級魔術を放とうとしたとき、デリーチェに向かって無数のぬいぐるみが降ってくる。
「[斜体][大文字]!?[/大文字][/斜体]」
そのぬいぐるみをデリーチェに向かって放ったのはフィルマリーだ。
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[中央寄せ][太字]個性魔術:[大文字][明朝体][斜体]"ぬいぐるみ"[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
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ぬいぐるみはデリーチェにまとわりついて離そうとしない。そこでフィルマリーが指を鳴らすと、ぬいぐるみが爆発した。
デリーチェの[漢字]自動発動[/漢字][ふりがな]オート[/ふりがな]防御魔術が展開されるが、ぬいぐるみが密着しすぎて完全に防ぎきれてはない。
煙の中からデリーチェの怒りの眼差しがフィルマリーに向けられる。
「もう魔道士でもない者が、七賢である私に...なのに、何故あなたは拘束されないの...?」
「...さぁ?何故でしょう、[斜体][大文字]ね![/大文字][/斜体]」
無数のぬいぐるみが再びデリーチェを襲う。デリーチェは炎でぬいぐるみを焼き尽くそうとしたが、ぬいぐるみは一向に燃えることなく熱を帯びたままデリーチェに向かって飛んでくる。そこでフィルマリーが丁寧に解説を入れる。
「あなたの上級魔術と違ってね、私の個性魔術には[漢字][斜体][小文字]魔力[/小文字][/斜体][/漢字][ふりがな][大文字][太字]"愛"[/太字][/大文字][/ふりがな]がいっぱい詰まってるの。密度が...足りませんでしたね[小文字]っ[/小文字][斜体]![/斜体]」
無邪気に笑うフィルマリーはナチュラルにデリーチェを煽っている。デリーチェはフィルマリーが何故拘束されていないのかを必死に考えながら魔術で攻撃する。だが、フィルマリーはすぐにその理由を察した。
(私が拘束されないのは、きっと...ノイトさんに守られているから...。時間はあまりない...早めに片付けないと...!)
リオールは他の七賢たちとの屹立を続けていた。
「どうしたんです...?僕を止めるつもりなんですよね?」
「まぁ、そう早まるな。今謝罪すれば命までは取らない。」
「嫌ですよ。」
笑顔で即答したリオールを見て容赦なく上級魔術がリオールへと浴びせられる。リオールの防御魔術が砕けたが、次の瞬間にはデリーチェ以外の他の七賢たちが赤みを帯びた[漢字]黎[/漢字][ふりがな]くろ[/ふりがな]い炎に包まれていた。炎は壺のような形のまま、七賢たちを逃さない。
「さてと...制度に縋って生きているような古い考えの連中には、制度と共に表から消えてもらいましょうかね...。」
ただリオールの言葉が中央広場の上空に静かに残っていた。