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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#65

65.愚者

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚待賢都市・グレイベアルド/中央広場〛[/中央寄せ]

ノイトは拘束されたまま中央広場の処刑台の上に連れて行かれた。やがて街中の人々が集まってきて、騎士賢者の一言で辺りが静まる。
[大文字]「諸君!ここにいるのは俺に対して許可なく魔術を放った者だ!!」[/大文字]

[小文字]「まさか、あのユプシーバ様に楯突く者が...」
[右寄せ]「子供の分際で賢者様に...」[/右寄せ]
[漢字]               [/漢字][ふりがな]「剣聖様に魔術を放つなんて、大罪じゃないか!!」[/ふりがな]
[中央寄せ][大文字]「そんな無礼者、さっさと消してしまえ!」[/大文字][/中央寄せ][/小文字]

再びざわめき始めた中央広場から少し離れた路地裏で、リーリャは白い手袋の魔具を手にはめてノイトを救出しようと画策していた。
「ノイト...待っててね...!必ず助け出すから...!!」
「リーリャ。」
リーリャの背後に立っていたのはリオールだ。リオールはリーリャにあることを話し始める。
「僕も出来る限りのことをするけど、それだけでノイトが助け出せるかは分からない。かと言って、リーリャ1人でノイトを救出させることも危険過ぎる。誰か強力者が必要だ。誰か協力してくれそうな人は居ないか?」
リーリャは少し考えてから答えた。
「この大陸内であれば、マギノシティのフィルマリーさんとノービリアに居るメルクが居ます...!」
「分かった。直ぐに僕の使いの者に連れてきてもらおう。リーリャも、無茶だけはするなよ。それが1番ノイトが望まないことだ。」
「...はい!!」
リオールは無詠唱で[漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな]をしてどこかへと消えていった。リーリャは少しでも時間を稼ごうとして超級魔法を使うことにする。演奏が中央広場中に広がりそうで、少しでも安全な場所を探した。表路地に出ると近くの高い塔を見つけ、リーリャはそこに向かって走り出す。当然見張りの兵士も居たため、リーリャの前に立ちふさがって通そうとしてくれない。
「これ以上こちらには通すことが出来ない。立ち去れ。」
「通してください!!」
リーリャは無理やり兵士を押しのけて進もうとする。兵士がリーリャにを止めようと構えた瞬間、リオールが戻ってきた。
「リーリャを先に通してやれ。」
「なっ、リオール様!畏まりました!!」
リーリャはそのまま高い塔へと駆け出していく。一方で、リオールは中央広場の処刑台の上に立っている騎士賢者を見据えた。視線に気がついて騎士賢者がリオールに声をかけた。
「おぉ、これはこれはリオール様。お散歩でしょうか?どうでしょう、この者の処刑を見ていかれるのは。強くオススメ致しますよ?」
「そこに居るのは、僕の教え子だ。処刑を取りやめてほしいんだけど...?」
騎士賢者はため息をついて答える。
「すみませんが、いくら七賢の1人のあなたのお願いではありましても、この者は罪人です。恩赦するわけにもいきません。」
「ユプシーバ、罪人かどうかなど問題じゃない。今すぐこの処刑を取りやめるように。」
「致しかねます。この者には、俺に向かって許可なく魔術を放った罪があります!この者の刑罰の決定権は今、俺にあるのですよ?事実は事実ですし...」
リオールは処刑台へと歩き出す。人混みがリオールのために道を作り、リオールはユプシーバと言う騎士賢者の元へと近づいていった。
「それでも、だ。ノイトの処刑は僕が認めない。今すぐに取りやめるんだ。」
「断る!」
ユプシーバの顔には怒りが滲んでいる。リオールはそれでも尚歩みを止めずに処刑台へと向かっていた。
「リオール様...、七賢の1人だからと言って剣の実力もないのに浮かれておられるようですねェ...。[斜体][大文字]俺は!!あなたのそういう所が気に入らないのです!![/大文字][/斜体]」
「剣の実力なら、本来僕とお前は同レベルだろう。お前は魔術に頼って実力を偽り、それを自身の剣の力だと思いこんでいるだけだ。」
「[斜体][大文字]黙れ!![/大文字][/斜体]...人の努力も知らないで上から目線なところが大嫌いだ!!」
リオールは処刑台の下に辿り着いてゆっくりと階段上り始める。
「それなら、お前もノイトの努力や実力を知らずに、この街のルールを盾にしてその怒りを押し付けるのを止めろ。」
「ルールは守るためにあるのだ!!」
「だが、それが正しいとは限らない。」
「ルールこそが正義!正しさだ!!」
リオールは処刑台の上に着き、ユプシーバに真正面から言葉を放った。
「もっと広い世界を見ろ、ユプシーバ。自惚れて上から目線なのはお前の方だ。」
ユプシーバは顔を真っ赤にして剣を引き抜いた。
「[大文字][斜体]うるさい!![/斜体][/大文字]」
「うるさいなら耳を塞げばいいじゃないですか。大声出されて耳を塞ぎたいのはこっちですよ。」
ノイトが拘束されたまま口を挟む。
「[斜体][大文字]だったらその耳を切り落としてやる!![/大文字][/斜体]」
「無駄ですよ。人間の鼓膜は一般に"耳"と呼ばれる耳殻よりも内側にあるので、それを切り落としたところで聴覚が失われることはないですよ。」
ユプシーバは舌打ちして再びリオールの方を向いた。
「リオール様...いや、リオール!!この教え子を殺されたくなければ七賢の座を譲れェ!!そして俺が七賢になり、リーリャと幸せに暮らすんだァ!!」
「「黙れ、クズ。」」
ノイトとリオールの発言が被る。ユプシーバは剣に魔法陣を浮かべながらその剣をノイトへと向ける。
「身動きが取れないお前は無力だ。俺に楯突いた愚者め。」
「愚者はお前の方だ、エフェボ野郎...。ルールに縋って自分を正当化するしか能のない[漢字]蛙[/漢字][ふりがな]かわず[/ふりがな]の癖に、身の程知って生きろ。」
ノイトもリーリャが関わってきているためかなりキレているのか、喧嘩腰だった。ユプシーバは剣を振り上げる。
そこで、女性の声が中央広場に響いた。

[小文字][漢字]「ノイトさん!助けに来ましたよ〜!!」[/漢字][ふりがな][大文字][太字]「ノイト!助けに来たよ〜!!」   [/太字][/大文字][/ふりがな][/小文字]

(この声は...メルクとフィルマリーさんか!!)
ノイトが笑みを浮かべたことでユプシーバは剣を振り下ろす。しかし、それをメルクが弾いた。
「あなた、大した剣技は持ち合わせていないようですね。」
「[斜体]何だと...?![/斜体]」
中央広場の喧騒が強まり、待賢都市・グレイベアルド中が震える。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

リーリャは路地から見えた高い塔の屋上に辿り着いた。
(ハァ...この建物、見張り台か何かなのかな...?...それよりも、早くノイトを助け出さなきゃ!)
リーリャが中央広場の方を見るといつの間にかメルクとフィルマリーが中央広場に駆けつけてきていた。
(リオールさん...2人のこと、連れてきてくれたんだ...!...私も頑張らないと!!)
リーリャはマジックバッグから小さな椅子を取り出して屋上に置く。それに据わって深呼吸をした後に、指を動かし始める。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は処刑される羽目になったノイトをリーリャたちが救出しようとする場面を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました。

2025/11/22 17:00

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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