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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#64

64.事実は事実

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトが目を覚ますと、目の前にはリーリャの姿があった。どうやらこちらをじっと見つめているようだ。
「おはようリーリャ...どうしたの?」
「おはよう、ノイト!何でもないよ〜。今日もリオールさんにお菓子貰いに行く?」
ノイトは起き上がって伸びをする。部屋の窓の方を見て今の時間を予測した。
(この窓は南の方角にあるから...外の建物の影の角度と明るさ的にだいたい朝7時過ぎくらいかな...。)
ノイトは立ち上がってマジックバッグを肩にかける。そしてリーリャの方を振り返って声をかけた。
「リーリャ。朝ごはん、食べに行こう。」
「うん!分かった!」
リーリャの機嫌はすっかり直ったみたいでノイトは安心する。部屋を出て宿屋のカウンターに向かうと、昨日の女性が朝食を用意して待っていてくれた。
「おはようございます。朝食は準備しておきましたので、どうぞ召し上がってください。」
「「ありがとうございます。」」
リーリャはいただきますと手を合わせてからカウンター席に出されたサンドイッチを食べ始めた。ノイトはサンドイッチを食べながらカウンタースタッフの女性にいくつか質問をする。
「あの、すみません。この街は"待賢都市"って言うだけあって賢者と呼ばれる人たちはかなり優遇されているように見えるんですけど、具体的にはどのくらい扱いが変わるんですかね?」
女性は少し考える素振りをしてから答えてくれた。
「そうですね...。例えば、飲食店で出されるものが豪華になったり飲み物が無料になるなどのサービスがあったりしますね。賢者様の許可さえいただければその建物にその賢者様の家紋を掲げることが出来、賢者以外の者の立ち入りを禁止することも出来ます。...もしかして、あなたも賢者になりたいのですか?」
「あ、いえ。そういうわけじゃなくてただ興味本位で聞いただけです。ご親切に答えていただいてありがとうございます。」
ノイトとリーリャはサンドイッチを食べ終える。リーリャが朝食代を女性に払って2人は宿屋を出た。
「ふぅ...そろそろ次の街に向かおうか。」
「...ノイト、あっちの方が騒がしいけど、何かあるのかな?」
リーリャが見ている方を見ると、何やら人だかりが出来ている。2人が様子を見ると、金髪の騎士という様相の誰かが囲まれているようだった。恐らくは賢者の1人だろう。ノイトは基本的に騒がしいところが苦手なのでその場を離れようとするが、偶然そこで囲まれていた賢者と目が合ってしまった。
「おい、そこの少年。何故俺から距離を取るんだ?」
(あ...バレた...。怪しまれても面倒だし、一応答えておくか...。)
ノイトは賢者の方を見て答える。
「すみません、少し人だかりが出来ていたので何事かと思いまして。様子を見たところ、特に何かトラブルが起きているわけではないようなので、僕はこれで失礼します。」
「待て。」
その賢者に背を向けて街を出ようとしていたノイトは賢者に呼び止められた。ノイトは面倒だなと思いながらも賢者の話を聞く。
「そちらのお嬢さんは、とてもお綺麗だ。お前の交際者か?」
賢者を囲っていた人たちがざわめき始めた。
([斜体]余計なことを言うなー!リーリャの機嫌がやっと直ったばかりなのに...!![/斜体])
リーリャはノイトの背後に隠れた(ノイトを盾にするとも言う)。ノイトは取り敢えず事実を伝える。
「現状、交際の事実はありませんけど?」
「それであれば、そちらのお嬢さん。私の[漢字]婚約者[/漢字][ふりがな]フィアンセ[/ふりがな]になりませんか?」
リーリャの表情は急に強張り、リーリャはノイトの袖を掴む。その様子を背中から感じ取ったノイトは賢者を少し睨んだ。
「すごく、嫌そうだけど...?」
「なら、力ずくでいただくのみだ。そこの少年、お前に決闘を申し込む。俺が勝ったらそのお嬢さんをいただくぞ。拒否権はない。」
ノイトは剣を抜いた金髪の気障な騎士賢者の態度が気に入らず、眉間に少し皺を寄せたる。
「...リーリャは、モノじゃない。」
「そうか、そちらのお嬢さんはリーリャと言うのか。良い名前だ。私は魔道士兼剣聖の[太字]マクリル[/太字]だ。」
ノイトは話が通じる相手じゃないと察して革の手袋の魔具と【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】をマジックバッグから取り出した。
「それでは、少年。俺とリーリャの未来のために、消えろ。」
[太字][斜体]「断る。」[/斜体][/太字]
賢者が剣を振るって飛びかかってくる。しかし、凱旋都市・コロフェリスで戦ったアクレウスほどの速さはない。ノイトは冷静に動きを呼んで後ろへ跳び退いたが、その瞬間に剣刃に小さな魔法陣が浮かび上がり、見えない斬撃がノイトを襲った。ノイトは咄嗟に【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】で防ぐ。
[中央寄せ][太字][小文字][漢字]ガキンッ[/漢字][ふりがな][大文字][漢字][中央寄せ]ガキンッ[/中央寄せ][/漢字][ふりがな][大文字][漢字][大文字]ガキンッ[/大文字][/漢字][ふりがな][大文字][中央寄せ][大文字]ガキンッ[/大文字][/中央寄せ][/大文字][/ふりがな][/大文字][/ふりがな][/大文字][/ふりがな][/小文字][/太字][/中央寄せ]
小さな見えない斬撃が無数にノイトに飛んできていて、ノイトも全ては防ぎきれずに頬や袖に傷を貰ってしまう。
相手は今、ノイトに夢中になっている。そのせいでリーリャにも斬撃は飛んできていた。ノイトはリーリャをかばいながら武器で斬撃を弾いていくが、攻撃に限りがなく、延々と防戦一方を強いられている。
[水平線]
[中央寄せ][太字]上級魔術:[明朝体]『ᛞᛁᚡᛁᛞᛖ ᛁᛏ』[/明朝体][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
ノイトの魔法が騎士賢者の剣の魔法陣を砕いた。だが、その瞬間。ノイトは強力な魔術の手枷に全身を拘束される。
[大文字][斜体]「...!!」[/斜体][/大文字]
地面に倒れ込んだノイトを見て騎士賢者が虫を見るような目で吐き捨てるように言った。
「バカめ。この街で許可なく賢者に対して魔術を行使するのは大罪だ。問答無用で瞬時に拘束され、その刑罰は被害を受けた賢者が決定することになっている。」
リーリャがノイトを守ろうとして声をあげる。
「[斜体]そんなの聞いてないよ!![/斜体]」
「知っていたかどうかなんてものは関係ない。事実は事実だ。その少年は罪を犯した、犯罪者だ。そうだな、刑罰は...獄門刑だな。」
ノイトはそのまま駆けつけてきた兵士たちに運ばれていった。
「そんな...!!待って、ノイトは!!」
「[漢字]少年[/漢字][ふりがな]あれ[/ふりがな]は負けたんだ。リーリャ、今からあなたは俺の[漢字]婚約者[/漢字][ふりがな]フィアンセ[/ふりがな]だ。」
リーリャは緋い炎の弓矢を構えて超級魔法を騎士貴族に向けた。リーリャはそのまま騎士貴族を焼き尽くすつもりだったが、それをノイトが止める。
「リーリャ、...君まで罪人になる必要はないんだし、撃たなくて良い。」
それは、リーリャが兵士に連行されるノイト から聞けた最後の言葉だった。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はノイトとリーリャが運悪く騎士賢者に目を付けられてしまったことによって起こったトラブルを描きました。次回もお楽しみに...?
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

[追記]
ちなみに「獄門」は大勢の目の前で首を落とされることで、「梟首(きょうしゅ)」とも言われるみたいです。僕のペンネームとは何の関係もないので、お気になさらず。

2025/11/22 14:49

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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