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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#61

61.再会

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ヴェルグランド大陸/待賢都市・グレイベアルド〛[/中央寄せ]

ノイトとリーリャは“記憶の魔神”ゲデニスとの戦闘に勝利し、次の街である待賢都市・グレアべアルドに辿り着いた。
「...ッハ、やっと着いた...。」
ノイトはリーリャを背中から降ろすとその場に座り込んでしまう。先の魔神との戦いで魔力を使い果たしてしまっていたからだ。リーリャはノイトが無理をしてまで自分のわがままを聞いてくれたことに気が付いてノイトに謝る。
「ノイト...私のわがままを聞いたせいで...。ごめんね。もう私は大丈夫だから。」
[大文字][斜体]「賢者様のお通りだ!!道を開けろ!!」[/斜体][/大文字]
そのとき、ノイトが座り込んでしまった大きな道の右の方から声が聞こえた。どうやら今ノイトが座り込んでいる道を誰かが通るようだ。ノイトは何とか這いつくばって道の端へと移動しようとする。リーリャがノイトに肩を貸して道の端へと移動しようとするが、露払いの人が道の真ん中にいる2人を見つけて駆け寄ってきた。
「そこの者たち、賢者様がお通りになる。早く道を開けなさい。」
「...すみません...、身体に力が入らなくて...。」
「とにかく、道の端まで寄るんだ。分かったかね?」
ノイトとリーリャは道の端まで何とか動く。それから開けた大きな道に賢者と呼ばれた人物が通った。ノイトはその人物を見て目を見開く。
[大文字](あの人は...!!)[/大文字]
その人物は色々な装飾が施されたグレーのローブを着ている赤い目の20代後半〜30代前半の男性。ノイトはその人を知っている。目が合った。向こうは立ち止まって少し驚いたような顔をして呟く。
「ノイト...?」
「...!!」
賢者と呼ばれた男性がノイトへと駆け寄ってくる。そしてノイトであることを確認すると話し始めた。
「ノイト、久しぶりだな。...大きくなって...、強くなったんだろう。」
「...はい、お久しぶりです。」
その賢者はリーリャを見て一瞬固まってから微笑んで続ける。
「かわいい子じゃないか。ノイトの彼女かな?」
「えっ、いや、そういうわけじゃなくてですね...?!」
リーリャが真っ赤になって必死に誤魔化そうとする。そんなリーリャの様子を見てその賢者が笑うが、何かを思い出してノイトに向かって指を出した。
「あぁ、そうだった。もう解いてもいいだろう...。」
[水平線]
[中央寄せ][太字][大文字][明朝体]上級魔術:[/明朝体]〘ᚱᛖᛗᛖᛗᛒᛖᚱ ᛗᛖ〙[/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
ノイトは魔術をかけられ...否、解かれてあることを思い出した。
「あっ、リオールさん!!」
ノイトはその賢者の名前を思い出したのだ。そして記憶の魔神の言葉を思い出す。

 ――[大文字][明朝体][太字]「その魔術、かなり強力なもののようだが...私でも、ここに居る者だけの記憶では解くことは出来んな...。」[/太字][/明朝体][/大文字]

(まさか名前の記憶を魔術で一時的に封印されていたとは...。あれ、それでも記憶さえあればあの魔神なら解けたってことか...?)
リオールはノイトがちゃんと自分の名前を思い出してくれたことを確認して話しかけた。
「ノイト、それと...」
「リーリャです!」
「ノイト、リーリャ。もし良ければこの後ある七賢会の見学に来ないか?」
露払いの人物がリオールの言葉に反応する。
「賢者様!それはいけません、部外者を呼ぶなど...」
「部外者じゃ、ないさ。僕の大切な教え子とその友達なんだから。...さてと、もう時間がないな。しょうがないし、今から[漢字][小文字]瞬間移動[/小文字][/漢字][ふりがな][大文字]飛ぶ[/大文字][/ふりがな]か。」
リオールはそのままノイトとリーリャの手を取って無詠唱で[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]を使った。もちろん露払いはその場に置いていかれて解雇だ。

[中央寄せ]エリア〚待賢都市・グレイベアルド/七賢柱殿〛[/中央寄せ]

ノイトとリーリャは七賢会の会場のど真ん中に出てきた。
「「[大文字][斜体]うわっ[/斜体][/大文字]」」
周りにはもう既に6人の賢者たちが据わっていて、リオールが到着したことで全員が揃った。ドーナツ状の円卓の中央の空間にノイトとリーリャが出てきて、賢者たちも少し驚いている。その中でリオールよりも少し歳上らしき女性がリオールに尋ねる。
「おい、リオール。この子たちは?まさか尋問でもするのではあるまいな?」
「まさか。僕の大切な教え子とその友達だよ。確か4〜5年前にノルティーク大陸のノルストラに寄ったときに会ったんだよ。ついさっきこの街の入口付近で再会した。」
今度はいかにも賢者という呼び方が似合いそうな老人男性が口を開く。
「しかし、七賢会に呼んだからにはそれなりの理由が要るだろう。」
「ん〜とね、それは...まぁ、そうだな。僕の教え子が僕と別れてからどんな生活を送ってきたのかを教えてもらおう!...ほら、最近の子供はどういう生活をしているのか、とかは知識として蓄えてみても問題ないだろう?」
ノイトとリーリャは急な決定に少し戸惑っているが、リオールが笑って声をかける。
「大丈夫!わざわざ話さなくても、魔術で記憶を読み取ることが出来るから!!」
(最近は色々と面倒なことに巻き込まれていてなかなかに内容が濃い日々だけど、それ以前はほぼ毎日同じようなことしてたからな...。)
「それじゃあ、...始めようか。」
[水平線]
[中央寄せ][太字][大文字][明朝体]上級魔術:[/明朝体]〘ᛗᛖᛗᛟᚱᚤ ᛈᛚᚪᚤᛁᚾᚵ〙[/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
ノイトの上空に巨大な光の球体が現れて、そこにノイトの記憶が映し出された。
「「「「「「「...え?」」」」」」」
七賢人たちは皆一様に球体に映った情景を疑う。そこに映っていたのは超級魔法を使うリーリャの様子や、こちらを見上げるルミナスの楽しそうな表情。そして魔神との戦いである。リオールがノイトに尋ねる。
「ノイト...。なんか、すごいね。ノルティーク大陸で魔神が復活して、それが討伐されたことはもう既に聞いている。だけど、このヴェルグランド大陸でも魔神が復活していたことは初耳だ。本当に君たち2人で倒してるんだよね?」
ノイトとリーリャは顔を見合わせる。そしてノイトがリオールの質問に答えた。
「えっと、まぁ一応...。レミステラで[漢字]鍛造[/漢字][ふりがな]つく[/ふりがな]ってもらった武器と魔法についての知識のお陰です。後は、リーリャのピアノの才能のお陰でもあります。」
「そうか...。[大文字]...すごいだろう!僕の教え子は!![/大文字]」
他の七賢人たちは急に威張り始めたリオールを見てため息をつく。
「ハァ...。そうだな、その子たちはすごい。若くして魔神の復活に立ち会うという悲劇に巻き込まれながらも、それを乗り越えている。それを既に2回もだ。これを才能と呼ぶんだろうな...。」
ノイトとリーリャは急に褒められてどんな顔をすれば良いのか分からなかった。
(えっと、...どんな顔すれば良いんだ?..."笑えば良い"?そういう話じゃなくて...、あぁもう良いや。)
「リーリャ、どうする?」
「こっちが聞きたいよ〜。」
リオールは2人が困っていることに気がついて咳払いをし、話題を変える。
「え〜っと、まぁ僕の教え子はすごいということで。教え子とその友達の過去鑑賞会はこの辺にしておいて〜、質問会スタート!」
(まったく、この人は...。)
今回は七賢人たちもやけに乗り気だった。何しろ、ノイトやリーリャのような経験を持つ若い者は他に居ないからだ。ノイトはリオールの奔放さに翻弄されながらも質問にはちゃんと答える。
「Q.この魔具(【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】)の魔力・魔術耐性はどのくらいあるのかな?」
「A.元・魔道士の上級魔術や魔神の禁忌魔術にも耐えられます。純度が極めて高い[漢字]青白磁の金属[/漢字][ふりがな]サスロイカ[/ふりがな]製の武器なのでものすごく丈夫です。多分壊れることはほぼないです。」

「Q.その子(リーリャ)の魔法の特徴は?」
「A.ピアノで曲を演奏するとピアノから虹色の魔力を帯びた黒い五線譜が出てきて、その五線譜やその上を滑っていく音符が当たったものに攻撃や回復などの効果をもたらします。炎の弓の方は知りません。」

「Q.魔神は君たちでも対処出来るレベルなのかね?」
「A.1対1だと基本無理です。記憶の魔神は殺意が無く、そのうえ基本的には文民だったので僕でもタメを張れました。終焉の魔神の方はノルティーク大陸最強の男と呼ばれるレイクさんでも1人で対応するのはかなりキツそうでした。多分あの時は、知り合いの騎士団隊長が割り込んできていなかったらレイクさんは今頃お墓の下です。」

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイトはその後も質問ラッシュに対応して、結果的に合計16もの質問に返答した。ノイトは疲れたので七賢会をリーリャと抜け出して建物の外のベンチで休んでいる。
「ハァ...運が良いんだか、悪いんだか...。」
「[小文字]アハハ...[/小文字]まぁ、ノイトは優しいし強くて一緒にいると安心するからね〜。ノイトが思っている以上にノイトはすごいんだよ、きっと!」
「[漢字]攻撃誘発性[/漢字][ふりがな]ヴァルネラビリティ[/ふりがな]はそこまで高くないと思ってたんだけどね...。まぁ、ちょっと休もうか。」
ノイトは近くにアイスを売っている店があることに気がついてリーリャに声をかける。
「ねぇ、リーリャ。アイス食べる?」
「うん!食べたい!!」
ノイトはベンチから立ち上がってアイスの店へと歩き出した。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はノイトが過去に出会った上級魔導師(現・七賢人の1人)と再会する場面を描きました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

[追記]
分量が初期の倍くらいになってきていて執筆にも時間がかかってしまっているので更新速度が遅くなる可能性があります。予めご了承ください。

2025/11/20 00:05

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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