世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
彼の名前は▓▓ ▓▓。近所の高校に進学するために受験に励む受験生だ。彼は学校ではあまり目立つ方ではなく、コミュニケーション能力もあまりなかったが、素直さと優しさ、そして雑学を始めとする様々な知識を持ち合わせていた。これと言って友達と呼べるような存在も多くなかったが、それでも彼の学校生活は充分だと感じられる。
彼は部活動にも所属していなかったが学校に残るのが好きだった。冷静さを持ち合わせていたのでクラスメートの誰かに冷やかされても論破することが出来たし、目の前で何かトラブルがあっても咄嗟に行動することが出来ていた。周りの変化にいち早く目が行くタイプだったようだ。
そんな彼に起きた1番の悲劇は、生涯の最後にあった。図書館に本を借りに行った帰り、激しい雨の日の夜。彼は借りた本に気を取られていて、サイレンを鳴らす救急車に気づかず、そのまま轢かれて命を落としてしまう。彼は誰も責めなかったし、誰も彼を攻めることは出来なかった。彼はもう、死んでしまったのだから。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトは焼け付くように痛む肺で必死に呼吸をしながら立ち上がる。魔神はノイトが立ち上がったのを見て感心した。
[大文字][太字][明朝体]「ほう...それでも立つか。その魔術、かなり強力なもののようだが...私でも、ここに居る者だけの記憶では解くことは出来んな...。」[/明朝体][/太字][/大文字]
「ッ...!!ハァ...。どうした?...僕を殺す気なんだろう?何故躊躇うんだ...。」
魔神は笑ってノイトの質問に答える。
[大文字][明朝体][太字]「いやな、貴様のように若くして賢い者を殺すのも ちと惜しいと思ってな?...どうやら、禁忌魔法も今は扱えないようだし貴様はもう私にとっての脅威ではない。所詮は人間、と言ったところだな。」[/太字][/明朝体][/大文字]
「あなたは、人間に封印されたのでしょう...?」
[大文字][明朝体][太字]「まぁ、それもそうだが...貴様らの先人たちはなかなかに魔力の扱いが上手かった。今となっては魔力も大して満ちているものではなくなってしまったがな。それも貴様ら人間の仕業であろう?」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトの目には再び戦意の光が宿った。
(...それは偏見だな。この魔神自身の記憶でも無ければ、僕やリーリャの記憶でもない。記憶に縋っているだけの魔神かと思ったが...、そうじゃなかった。未知や未来には偏見を押し付ける...それがコイツの思考だ!!)
ノイトは無理やり足を前に出して魔法を放つ。
[中央寄せ][[漢字][太字]閃光[/太字][/漢字][ふりがな]フラッシュ[/ふりがな]][/中央寄せ]
魔神の視界が光で一瞬眩んだ。その隙にノイトがマジックバッグの中に入っていた[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を咥え、マジックバッグからフィルマリーにサービスで貰った魔導書を取り出す。
([大文字][斜体]指一点に集中しろ..!![/斜体][/大文字])
ノイトは左手で[漢字]魔導書[/漢字][ふりがな]カンペ[/ふりがな]を持って右手を魔神へとかざす。手で銃の形を作り、指先に魔力を込めた。指先で魔力を限界まで圧縮して一気に放つ。
[中央寄せ]初等魔術:[大文字][太字]『[明朝体]ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ[/明朝体]』[/太字][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの指先から放たれた魔術が魔神の左腹部を貫いた。
[大文字][太字][明朝体]「[斜体]ングッ!!...貴様ァ、いつ魔術を覚えたァ!?[/斜体]」[/明朝体][/太字][/大文字]
「今でしょ。」
ノイトは再び魔力を集中させて魔神へと魔力を飛ばす。魔神は自分が他者の"今"と言うものを読み取ることが出来ないことに初めて気が付いた。
[大文字][明朝体][太字]「貴様...これに気が付いて攻撃を仕掛けてきたな...。だが、そういうのはもっと良いところまで隠しておくべきだったな!!発動のタイミングを誤ったのが貴様の敗因だァ!!」[/太字][/明朝体][/大文字]
「ちょっとうるさいんで黙ってもらえますかね...?ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ...」
[大文字][明朝体][太字]「[斜体]ングッ! グアッ! ブッ!! グハッ !![/斜体]」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトは魔力を使い切ってふらついてしまう。駆け寄ってきたリーリャに支えられながらノイトは魔神と口喧嘩を始める。
「魔神のくせに初等魔術も効くんだ...。さっきまでの硬さはどこに行ったのかな...?」
[大文字][明朝体][太字]「貴様の魔力量が元から多いのだ...それに、魔力を限界まで圧縮していたのであろう。この程度なら私の手によれば簡単に再生出来るがな、痛いものは痛いのだ!!」[/太字][/明朝体][/大文字]
「こっちのリーリャはアンタにそれよりもツライ目に遭わされたんだ...!!その分は払ってもらうぞ...。」
[大文字][明朝体][太字]「それが事実であっただろう。過去があってこそ、今の自分があると言うではないか?どちらも同じ自分だ。」[/太字][/明朝体][/大文字]
「"違う"自分だ。」
ノイトは魔神の目を真っ直ぐと見つめて続けた。
「過去の自分と今の自分と未来の自分は全て違うものだ。どれも"自分"としてまとめられるけど、わざわざ時系列毎に分けるのであれば、それは別のものだと受け取って問題ない。」
[大文字][明朝体][太字]「それでも、過去を忘れてしまっては再び同じ過ちを繰り返すぞ?」[/太字][/明朝体][/大文字]
「過去に縛られて生きていく方が同じ過ちを繰り返すと思うけどね...?過去を知るのは確かに大切だけど、過去と今の自分が同じであれば、この先も何度も過ちを繰り返して生きていくことになる...!!」
[大文字][明朝体][太字]「それでも、過去は変わらない。」[/太字][/明朝体][/大文字]
「過去は過去だ。...だから、過去を程よく切り捨てることで今と向き合って生きていけるんだよ。」
魔神はノイトの言葉の意味を理解できず眉間に皺を寄せている。魔神が先程ノイトに穿たれた胴体を再生させてノイトの方へと手をかざす。ノイトはリーリャを横へと突き飛ばして魔神の方へと突っ込んでいく。
「ノイト!待って!!」
ノイトがふらついて倒れる。しかし、ノイトは手の先に置いてあった【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を握った。
[大文字][明朝体][太字]「そんな魔力残量で今更何が出来るというのだ?」[/太字][/明朝体][/大文字]
「...お前の討伐だよ。」
ノイトが武器を強く握りしめた途端、[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]がその色の光を放ち始めてノイトの体内に魔力が[漢字]滾[/漢字][ふりがな]たぎ[/ふりがな]る。
[大文字][明朝体][太字][斜体]「なっ!?」[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字]
[水平線]
[中央寄せ][太字][大文字][明朝体][斜体]〔[漢字]記憶喪失[/漢字][ふりがな]アムネーシア[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
魔神はノイトが足元から振り上げた[漢字]皓[/漢字][ふりがな]しろ[/ふりがな]い斬撃をもろに喰らい、視界が白けていった。
[大文字][明朝体][太字][斜体](何だ...!?力が抜けて、...!!)[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトは思いっきり身体を上へと跳ね上げた反動で地面に倒れてしまう。
「[斜体]いてっ![/斜体]...これで、どうだ...!!」
魔神は目を見開いたまま[漢字]皓[/漢字][ふりがな]しろ[/ふりがな]く深い傷を胴に残して立っている。
彼の名前は▓▓ ▓▓。近所の高校に進学するために受験に励む受験生だ。彼は学校ではあまり目立つ方ではなく、コミュニケーション能力もあまりなかったが、素直さと優しさ、そして雑学を始めとする様々な知識を持ち合わせていた。これと言って友達と呼べるような存在も多くなかったが、それでも彼の学校生活は充分だと感じられる。
彼は部活動にも所属していなかったが学校に残るのが好きだった。冷静さを持ち合わせていたのでクラスメートの誰かに冷やかされても論破することが出来たし、目の前で何かトラブルがあっても咄嗟に行動することが出来ていた。周りの変化にいち早く目が行くタイプだったようだ。
そんな彼に起きた1番の悲劇は、生涯の最後にあった。図書館に本を借りに行った帰り、激しい雨の日の夜。彼は借りた本に気を取られていて、サイレンを鳴らす救急車に気づかず、そのまま轢かれて命を落としてしまう。彼は誰も責めなかったし、誰も彼を攻めることは出来なかった。彼はもう、死んでしまったのだから。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトは焼け付くように痛む肺で必死に呼吸をしながら立ち上がる。魔神はノイトが立ち上がったのを見て感心した。
[大文字][太字][明朝体]「ほう...それでも立つか。その魔術、かなり強力なもののようだが...私でも、ここに居る者だけの記憶では解くことは出来んな...。」[/明朝体][/太字][/大文字]
「ッ...!!ハァ...。どうした?...僕を殺す気なんだろう?何故躊躇うんだ...。」
魔神は笑ってノイトの質問に答える。
[大文字][明朝体][太字]「いやな、貴様のように若くして賢い者を殺すのも ちと惜しいと思ってな?...どうやら、禁忌魔法も今は扱えないようだし貴様はもう私にとっての脅威ではない。所詮は人間、と言ったところだな。」[/太字][/明朝体][/大文字]
「あなたは、人間に封印されたのでしょう...?」
[大文字][明朝体][太字]「まぁ、それもそうだが...貴様らの先人たちはなかなかに魔力の扱いが上手かった。今となっては魔力も大して満ちているものではなくなってしまったがな。それも貴様ら人間の仕業であろう?」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトの目には再び戦意の光が宿った。
(...それは偏見だな。この魔神自身の記憶でも無ければ、僕やリーリャの記憶でもない。記憶に縋っているだけの魔神かと思ったが...、そうじゃなかった。未知や未来には偏見を押し付ける...それがコイツの思考だ!!)
ノイトは無理やり足を前に出して魔法を放つ。
[中央寄せ][[漢字][太字]閃光[/太字][/漢字][ふりがな]フラッシュ[/ふりがな]][/中央寄せ]
魔神の視界が光で一瞬眩んだ。その隙にノイトがマジックバッグの中に入っていた[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を咥え、マジックバッグからフィルマリーにサービスで貰った魔導書を取り出す。
([大文字][斜体]指一点に集中しろ..!![/斜体][/大文字])
ノイトは左手で[漢字]魔導書[/漢字][ふりがな]カンペ[/ふりがな]を持って右手を魔神へとかざす。手で銃の形を作り、指先に魔力を込めた。指先で魔力を限界まで圧縮して一気に放つ。
[中央寄せ]初等魔術:[大文字][太字]『[明朝体]ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ[/明朝体]』[/太字][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの指先から放たれた魔術が魔神の左腹部を貫いた。
[大文字][太字][明朝体]「[斜体]ングッ!!...貴様ァ、いつ魔術を覚えたァ!?[/斜体]」[/明朝体][/太字][/大文字]
「今でしょ。」
ノイトは再び魔力を集中させて魔神へと魔力を飛ばす。魔神は自分が他者の"今"と言うものを読み取ることが出来ないことに初めて気が付いた。
[大文字][明朝体][太字]「貴様...これに気が付いて攻撃を仕掛けてきたな...。だが、そういうのはもっと良いところまで隠しておくべきだったな!!発動のタイミングを誤ったのが貴様の敗因だァ!!」[/太字][/明朝体][/大文字]
「ちょっとうるさいんで黙ってもらえますかね...?ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ ᛈᛁᛖᚱᚳᛖ...」
[大文字][明朝体][太字]「[斜体]ングッ! グアッ! ブッ!! グハッ !![/斜体]」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトは魔力を使い切ってふらついてしまう。駆け寄ってきたリーリャに支えられながらノイトは魔神と口喧嘩を始める。
「魔神のくせに初等魔術も効くんだ...。さっきまでの硬さはどこに行ったのかな...?」
[大文字][明朝体][太字]「貴様の魔力量が元から多いのだ...それに、魔力を限界まで圧縮していたのであろう。この程度なら私の手によれば簡単に再生出来るがな、痛いものは痛いのだ!!」[/太字][/明朝体][/大文字]
「こっちのリーリャはアンタにそれよりもツライ目に遭わされたんだ...!!その分は払ってもらうぞ...。」
[大文字][明朝体][太字]「それが事実であっただろう。過去があってこそ、今の自分があると言うではないか?どちらも同じ自分だ。」[/太字][/明朝体][/大文字]
「"違う"自分だ。」
ノイトは魔神の目を真っ直ぐと見つめて続けた。
「過去の自分と今の自分と未来の自分は全て違うものだ。どれも"自分"としてまとめられるけど、わざわざ時系列毎に分けるのであれば、それは別のものだと受け取って問題ない。」
[大文字][明朝体][太字]「それでも、過去を忘れてしまっては再び同じ過ちを繰り返すぞ?」[/太字][/明朝体][/大文字]
「過去に縛られて生きていく方が同じ過ちを繰り返すと思うけどね...?過去を知るのは確かに大切だけど、過去と今の自分が同じであれば、この先も何度も過ちを繰り返して生きていくことになる...!!」
[大文字][明朝体][太字]「それでも、過去は変わらない。」[/太字][/明朝体][/大文字]
「過去は過去だ。...だから、過去を程よく切り捨てることで今と向き合って生きていけるんだよ。」
魔神はノイトの言葉の意味を理解できず眉間に皺を寄せている。魔神が先程ノイトに穿たれた胴体を再生させてノイトの方へと手をかざす。ノイトはリーリャを横へと突き飛ばして魔神の方へと突っ込んでいく。
「ノイト!待って!!」
ノイトがふらついて倒れる。しかし、ノイトは手の先に置いてあった【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を握った。
[大文字][明朝体][太字]「そんな魔力残量で今更何が出来るというのだ?」[/太字][/明朝体][/大文字]
「...お前の討伐だよ。」
ノイトが武器を強く握りしめた途端、[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]がその色の光を放ち始めてノイトの体内に魔力が[漢字]滾[/漢字][ふりがな]たぎ[/ふりがな]る。
[大文字][明朝体][太字][斜体]「なっ!?」[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字]
[水平線]
[中央寄せ][太字][大文字][明朝体][斜体]〔[漢字]記憶喪失[/漢字][ふりがな]アムネーシア[/ふりがな]〕[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
魔神はノイトが足元から振り上げた[漢字]皓[/漢字][ふりがな]しろ[/ふりがな]い斬撃をもろに喰らい、視界が白けていった。
[大文字][明朝体][太字][斜体](何だ...!?力が抜けて、...!!)[/斜体][/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトは思いっきり身体を上へと跳ね上げた反動で地面に倒れてしまう。
「[斜体]いてっ![/斜体]...これで、どうだ...!!」
魔神は目を見開いたまま[漢字]皓[/漢字][ふりがな]しろ[/ふりがな]く深い傷を胴に残して立っている。