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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#56

56.三体目の復活

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ノルティーク大陸/ノルティーク帝国近隣〛[/中央寄せ]

エスミルト騎士団の5番隊隊長・ルベリアは隊員を連れて任務でノルティーク帝国近隣の遺跡に来ていた。
「ハァ...まさか王都の近くに魔神が封印されているなんて、本当に以外っスね。」
そこで、何かに気が付いた隊員の1人がルベリアに話しかけた。
「隊長...あそこ、何か光ってませんか?」
ルベリアはその隊員が指した暗い通路の先を見る。暗くてよく見えないが、目を凝らすとヒビが入った結晶から光が漏れ出しているようだった。
「...隊長、もしかして...。」
隊員が何かを察してルベリアに声をかけた。ルベリアは結晶から目を話さずに答える。
「...総員、即時撤退。[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]を使えるヤツは、手分けして今すぐにエスミルトにいるロズウェルとノルティーク王にこのことを報告するっス。」
その瞬間、結晶が砕け散って魔力の塊が放出された。ルベリアは咄嗟に剣を抜いて飛んできた魔力を断つ。
「[斜体]早く!行くっス!![/斜体]」
ルベリアの隊の内の数人が[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]を発動して報告に行った。しかしその瞬間、ルベリアの目と鼻の先に一瞬で現れた何かが魔力を帯びた黒い槍を振り下ろしていた。
ルベリアは咄嗟に剣を構えたが、何者かの攻撃の衝撃は受け止めきれず、遺跡の通路の突き当たりまで弾き飛ばされてしまう。辛うじて受け身は取ったものの背中がヒリヒリする。
([斜体]魔神...!!なんてスピード、対応しきれなかったっス!![/斜体])
黒い槍を構えた長身の男が口を開いた。

[大文字][明朝体][太字]「我が名は、“絶望の魔神”カヴローチェ...!! 長らくこの地に封印されていたようだな...。忌々しい人間め...この槍で滅ぼしてくれよう!!」[/太字][/明朝体][/大文字]

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚鉱山都市・エスミルト〛[/中央寄せ]

エスミルト騎士団2番隊の待機所にルベリアの隊の隊員が息を荒げて部屋に走り込んできた。ロズウェルはそれを見て咄嗟にルベリアが任務に出た先で何かが起こったことに気が付く。
「どうした?!」
「[斜体]ハァ...!!ハァ...!!ロズウェル隊長、大変です!!魔神が封じられている遺跡で何かが復活しました!![/斜体]」
「[斜体][大文字]何?![/大文字][/斜体]」
2番隊のメンバーはすぐさま剣を手に取って出撃の準備をする。その中で周りよりもワンテンポ遅れて準備を整えた者が居た。その人物は黒いコートを羽織って両手に黒いグローブを装着している。
「[斜体]準備が2秒遅いぞ、ラルカ!![/斜体]」
ラルカは軍服と同じ色のつば付きの帽子を目深に被って謝った。
「すみません。」
反省の色は見えなかったが今はそれどころでは無い。全員の準備が整ったことを確認したモルディーが金属製の杖をかざして魔法を使った。
[中央寄せ][[太字][漢字]空間転移[/漢字][ふりがな]テレポート[/ふりがな][/太字]][/中央寄せ]
紫色の光に包まれた後、エスミルト騎士団2番隊はルベリアの任務先である遺跡の前へと転送されていた。ロズウェルが剣を抜いて声を張り上げる。
「[斜体]敵はこの中だ!![大文字]総員、出撃!![/大文字][/斜体]」
鬨の声に続いて全員が遺跡の奥へと駆け込んでいく。それに気が付いた魔神は再び槍を構えてルベリアの攻撃を防ぎながら不敵な笑みを浮かべる。

[大文字][明朝体][太字]「虫どもめ...蹴散らしてくれるわ!!」[/太字][/明朝体][/大文字]

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ヴェルグランド大陸/静寂の森〛[/中央寄せ]

ノイトとリーリャは何かを感じる。ノービリアを離れて近くの森を近道として通っていた2人だったが、何か異様な魔力を感じてこの森の奥まで足を踏み入れていたのだ。
「ねぇ、ノイト...この嫌な感じってもしかして...魔神?」
「可能性は十分にあるよ。このヴェルグランド大陸にも封印されている魔神は数体居たはず。それが復活しているんだったら...何としてでも止めないと。じゃなきゃ、この大陸が滅びる。」
ノイトはマジックバッグから【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を取り出して構えた。リーリャも[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]と以前ルベリアに買ってもらった手袋の魔具を装備する。
[大文字][太字][明朝体]「何やら人間の気配がすると思って来てみれば...ただの子供ではないか?」[/明朝体][/太字][/大文字]
後ろだ。ノイトは背後の魔神に向かって武器を振り向ける。しかし、いとも簡単にかわされてしまった。一歩跳び下がってリーリャは魔神から距離を取る。そんな様子を見て魔神は話し始めた。
[大文字][明朝体][太字]「ふむ...まずは自己紹介か。私は“記憶の魔神”ゲデニス。貴様ら...何か記憶を失っているな。転生者という者たちか...?」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトとリーリャは魔神の言葉に目を見開いた。この魔神は2人を観察しただけで転生者であることと記憶が失われていることを読み取ってみせたのだ。ノイトがより警戒を強くして魔神に尋ねる。
「...だったら、何ですか...?」
魔神はノイトの質問に丁寧に答える。
[大文字][明朝体][太字]「...貴様らの記憶を取り戻す手助けをしてやろう。記憶は完全であるべきだ。事実から目を反らして生きていてはいつか多大な失敗をするであろう?」[/太字][/明朝体][/大文字]
(一理あるな...魔神特有の嫌な気配は感じるけど、殺意は一切ない。...もしかしてこの魔神なりの"事実を守る"という正義が先人たちと上手く合わなくて封印された...?...もしそうなら無理に戦う必要はないんだけどな...。)
魔神はノイトが考えていることを見透かしているかのように答える。
[大文字][明朝体][太字]「そうだな、私は魔神だ。魔神は悪しき者だとされ、封印されたり討伐されたりする。私は事実を押し付けるという形以外では他者を苦しめることはないだろう。それはこの私の名に誓おう。」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトはリーリャの記憶がもとに戻るチャンスだと考えるが、まだ懸念も残る。(この魔神が魔神と呼ばれている以上、僕は倒さなきゃいけなくなるんだよな...。ルミナも魔神は怖いものだって教わってきたんだろうし、それを僕の言葉一つで"悪意がない魔神も居る"だなんて信じられないだろう...。)
[大文字][明朝体][太字]「私は私が正しいと思ったことをやるまでだ。耐えきれなくなれば抵抗すれば良かろう。もし貴様らが私の力を打ち破ることが出来れば、貴様の株も上がることにつながるであろう?」[/太字][/明朝体][/大文字]
ノイトはため息をついて再び【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を構える。
「別に、僕の株なんかどうでも良いんですよ。ただ、僕の大切な人たちを傷つけずにこの先に進むためには、あなたを倒さなきゃいけないんです。」
魔神はノイトの過去の記憶を眺めながら構えを取った。
[大文字][明朝体][太字]「なるほど...。貴様、なかなか強い技を使うことが出来るようだな。是非とも受けてこの脳に刻みたいものだ。...それならば、掛かってこい!!私を乗り越えてみせろ!!」[/太字][/明朝体][/大文字]


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回は同時に2体の魔神が復活して、先のマズロイン戦とは違い分散された戦力下でのそれぞれの戦いが始まりました。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/17 21:09

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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