[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

フィルマリーはノイト(とメルク)との戦闘でノイトを気に入っていた。
「本当はノイトくんをもらっちゃいたいところなんだけど...､まぁしょうがないか。
ｳｯｳﾝ､特別サービスで30%引きなので､こちらの80万ケルスの聖剣と聖鎧のセットは56万ケルスとなります！」
(1万3500ケルス足りない...!!しょうがないから僕の食糧費を...)
ノイトは渋々56万ケルスをフィルマリーに手渡す。フィルマリーは笑顔でノイトにサービスを追加した。
「毎度あり〜。...あ､そうだ､ノイトさん...サービスでこれも付けちゃいますね!!」
ノイトの前に出されたのは魔導書。フィルマリーのサービスを快く受け取ったノイトはお礼を言って店を出ようとした。
「それじゃあ､ありがとうございました！」
[大文字][斜体]「待って！」[/斜体][/大文字]
フィルマリーに呼び止められたノイトは不思議そうな顔で振り返る。フィルマリーはとびきりの笑顔でノイトにお別れを言った。
「ノイトさん､是非またいらしてくださいっ！私､いつでも待ってますからっ!!」
「ありがとうございます。フィルマリーさん...いえ､フィルさんもお元気で。」
ノイトはそう言い残して今度こそ店を出る。店の外へ出たノイトたちが東の街へと歩いていくのを見つめながらフィルマリーは思った。
(ノイトさん...きっとまた会えるよね。そのときこそはノイトさんのこと､私のぬいぐるみコレクションの一つとしてもらっちゃうんだからね！)
フィルマリーの両手にはいつの間にかクマのぬいぐるみが抱かれていて､フィルマリーはそれに思いっきり抱きつくのだった。

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[中央寄せ]エリア〚いにしえの地･オボロノサト〛[/中央寄せ]

ノイトたちが魔導都市･マギノシティから東に伸びている道を歩いて20分。江戸時代の日本のような町並みが広がっている町があった。
「おぉ...ジャパニーズカルチャー...？」
「メル､何で英語なの...？」
3人は今まで訪れた街の中で最も現実味が強いような気がする。
[斜体]「何奴!!」[/斜体]
背後から声が聞こえて振り返ると､そこには忍者のような格好をした人物がクナイを構えて立っていた。
「えっと...僕はノイトと言います。今はヴェルグランド大陸を旅してます。」
ノイトの話を聞くと､クナイを持った人物はクナイを下ろして頭巾の口元を覆っていた部分を顎にかけ､名乗りだした。
「怪しい者ではなさそうだな...。ボクは､このオボロノサトに暮らす[太字]ツバメ[/太字]と言う者だ。この町に何か用か？」
ノイト､リーリャ､メルクの3人はその前にと言って色々ツッコミだす。
「クナイって確か戦闘よりも穴掘りとかに使われるんじゃ...？」
「実際の忍者は忍び装束は着てない､って聞いたことあるんだけど...。」
「ツバメ...？カンちゃ､[明朝体][太字][斜体][大文字]ﾝｸﾞｯ[/大文字][/斜体][/太字][/明朝体]」
メルクに関しては途中でノイトに口を塞がれているが､ツバメは3人が一斉にツッコんできたため対応が追いつかない。
「ええい､一度に話しかけるな！聞き取れないだろ！」
そこでリーリャはあることを思い出した。
「そう言えば､イグさんって侍みたいな格好してたよね！この町に関係あるんじゃない？」
リーリャの口からイグの名を聞いてツバメは目を丸くした。
「イグ様はこの町の生まれで､今も帰ってきているけど...サムライって何？」
「「「え？」」」
今度は3人が揃って驚いた。ノイトそれを聞いて､あることに気が付いた。
("侍"がこの世界に単語として存在していない...？つまり､...前世の記憶か。...っていうかこのツバメっていう子､ボクっ娘か...!!僕にはあんまり響かないけど別に普通だよね？)
ツバメは3人がイグのことを知っているのを知り､イグの元へと案内することにした。3人はツバメに案内されるがままに町の中を歩いていく。漆喰の壁や木材で出来た柱。紺色の瓦や土の地面。どれも日本人として感じる懐かしさのようなもので､どこか落ち着くような気がする。
(あぁ...修学旅行で映画村に言っておけば良かったな...。)
そんなことを考えながら､どんどん町の近くの丘を登っていった。ツバメは丘の上にある小さな菓子店の長椅子に座っている人物を見つけると駆け出していった。
「イグ様！イグ様のことを知っているという者たちを連れてまいりました!!」
長椅子に座っていたのはイグで､ツバメの話を聞いてノイトたちの方を振り向く。
「ノイト､リーリャ。久しいな。元気にしていたか？」
「お久しぶりです､イグさん。おかげさまで。」
「イグさんもお元気でしたか？」
ノイトとリーリャがイグと話している間に､メルクはツバメにイグのことを聞いてみた。
「ツバメ､イグさんってこの町ではどういう人なの？」
「すっごく強くて優しい人なんだよ！長とも中が良いし､町のみんなもイグさんのことが大好きなんだよ!!」
メルクはイグの方を見た。確かに人の良さそうな老人で､今までのノイトやリーリャの話を聞く限り強い人なのだろう。ノイトとリーリャはイグとしばらく話してから次の街へと向かうことにする。
「イグさん...この世界で[漢字]は[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]たった1人の侍として､頑張ってくださいね。」
イグは一言でノイトが考えているを理解する。
「...なるほど､そういうことだったのか。ノイトとリーリャも精進することだ。」
「「はい！」」
ノイトとリーリャはイグにお辞儀をしてからツバメと話していたメルクの元に戻った。3人はツバメに別れを告げてオボロノサトを後にするのだった。