世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトたちは店員の女性が元・魔道士だと聞いて驚いた。ノイトはフィルマリーから目を離さずに考える。
(メルの上位互換...、いやそれはメルに失礼か。でも強いな...。)
「それで...あなたを楽しませる、って言っても具体的に何をすれば良いんですか?」
フィルマリーは笑顔のまま答えた。もはやずっと笑っているのが怖い。
「簡単ですよー。私と戦って、私が負けを認めたら商品を30%引きにする、それだけです。それじゃあ、始めちゃいましょうか。」
次の瞬間、ノイトは咄嗟に【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を手に取って構える。メルクも同様にスティレットを手に持った。その瞬間、武器を持った2人は店の外へと[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]させられていた。
「「[斜体][大文字]!![/大文字][/斜体]」」
視界の中心に居たフィルマリーが消える。ノイトは反射的に上に武器を向けた。
[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体]ガキンッ[/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの武器はギリギリでフィルマリーの攻撃を止めた。フィルマリーは魔力を纏った万年筆のようなもので攻撃を仕掛けてきている。
(恐らく魔力で出来たインクで魔法陣か何かを描いてこの[漢字]戦場[/漢字][ふりがな]フィールド[/ふりがな]での優位性を取ろうとしている...。僕も何か覚えておくべきだったか...。あの魔導書、ルミナスにプレゼントしちゃったからな〜、どうしよう。)
[中央寄せ][斜体][大文字]『[太字][明朝体][漢字]灼愛射閼召[/漢字][ふりがな]ヤマナイアメ[/ふりがな][/明朝体][/太字]』[/大文字][/斜体][/中央寄せ]
メルクの攻撃がフィルマリーを捉えた。しかし、フィルマリーへの攻撃が当たりそうな部分にだけ小さな防御魔法が無詠唱で展開される。ノイトはそれを見て目を丸くした。
(無詠唱...[漢字]自動発動[/漢字][ふりがな]オート[/ふりがな]か...!! これが、魔道士の戦い方...!!)
ノイトは[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込めて【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を振りかざす。
[中央寄せ][斜体][太字][大文字]〔[漢字]魔力斬[/漢字][ふりがな]マギノ・スラッシュ[/ふりがな]〕[/大文字][/太字][/斜体][/中央寄せ]
ノイトが放った魔力の斬撃を、フィルマリーは避けた。つまり、当たれば攻撃が通ると言うことだ。それも当たり前の威力だが。恐らく上級魔道士や魔神などの結界以外は断ち切ることが出来るだろう。ノイトは街への被害を出さないためにその攻撃を上空の方へと放っていたのだが、斬撃の先にあった雲が綺麗に裂けたのが見て分かる。
「わぁ...すごい威力の斬撃ですね...!!なかなか面白いじゃないですか〜。あなた、お名前は?」
[中央寄せ][斜体][太字][大文字][明朝体]ガキンッ[/明朝体][/大文字][/太字][/斜体][/中央寄せ]
「ノイト=ソルフォトスです。」
ノイトの攻撃がフィルマリーの万年筆に受け止められる。ノイトの名前を聞けたフィルマリーは何だか嬉しそうに見える。
「そうですかそうですか!ノイトさん!!あなたは魔法のセンスも持ち合わせているようですし、是非とももっとお話ししたいですね...。そうだ!! もし私が満足出来なかったらあなたをもらいます。」
「はい?」
ノイトは何を言われたのか、一瞬理解が出来なかった。しかし、そのせいで止まってしまった足で無理やり地面を蹴って目の前に飛んできていた攻撃をかわす。
(もらう...?もらうって、あぁ...そういうこと?)
ノイトは着地してからフィルマリーを真っ直ぐと見つめて[漢字][小文字][打消し]煽った[/打消し][/小文字][/漢字][ふりがな][大文字]確認した[/大文字][/ふりがな]。
「行き遅れ、ですか?」
[水平線]
[中央寄せ][明朝体][太字][大文字]上級魔術:〘ᚺᛖᛚᛚ'ᛋ ᛁᚾᚠᛖᚱᚾᛟ〙[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
[水平線]
[中央寄せ][太字][大文字][斜体]〔[漢字]魔力反射[/漢字][ふりがな]マギノ・リフレクト[/ふりがな]〕[/斜体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
フィルマリーの口元からは笑みが消え、次の瞬間にはノイトを飲み込もうとする炎の上級魔術が【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の魔法に弾かれていた。ノイトは焦ったまま吹き出してしまうのを必死に堪えようとしている。
([大文字][斜体]やっば...!![/斜体][/大文字] 地雷踏み抜いちゃったかな...?!ここからこの人を楽しませるのは結構厳しいんだけど?)
フィルマリーは俯いて立ち止まったまま黙っている。
(あぁ...ヤバい。これ、止められるかな..?...まずい、笑いそうだ。パニクってるのか...人がくすぐられて笑うのと同じ原理...)
メルクはノイトの隣に跳んできた。
「ねぇ、ノイトくん。その煽りスキルLv100はどこで[漢字]修得[/漢字][ふりがな]ゲット[/ふりがな]したの?」
「知らないよ...。」
店の中から出てきていたリーリャが何かを演奏しようとしていたのがノイトの視界に映る。リーリャの演奏ならフィルマリーの怒りも紛らわせることが出来るかもしれない。そう思ったノイトは、リーリャの演奏が始まるまでフィルマリーから目を話さないことにした。
(どうしよう...怒ってるよね...?)
[水平線]
[中央寄せ][明朝体][太字][大文字]上級魔術:〘ᚪᛈᛟᛚᛟᚵᛁᛣᛖ〙[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
[水平線]
メルクは咄嗟にその魔術を横に跳んで避けたが、後ろに跳んだノイトは直にその白い光を受けてしまう。ノイトは失明しないように目を塞いでいた。しかし、身体に力が入らずその場にへたり込んでしまう。
(...何が起こった?! 身体に力が入らない...あ、これもしかして人生詰んだ?)
フィルマリーはノイトが動けなくなっていることを確認すると頬を膨らませて歩いてくる。メルクがフィルマリーに攻撃を仕掛けようとしたが、無詠唱の防御魔法で防がれてしまった。
「...ノイトさん...。」
「...はい...。」
ノイトは人生で初めてここまでの恐怖を感じる。やがて身体に力が入るようになり、ゆっくりと目を開けた。視界に映ったのは頬を膨らませながらこちらをじっと見ているフィルマリーの顔。
(金魚みたいに膨らんじゃっててかわいい...、...?!)
フィルマリーはムスッとしながらノイトに話しかけた。
「.........謝って。」
「...すみませんでした。」
「よしっ。目、閉じて。」
フィルマリーはノイトの前にしゃがみこみ、恐る恐る目を閉じたノイトの額にデコピンをした。
「[斜体]あたっ!![/斜体]」
地味に痛いようだった。フィルマリーはノイトにデコピンをした後に両手を広げる。
「謝ってくれたから、許したげる。ほら、仲直りのぎゅー!」
「...え?するんですか?今?」
「そう。早く。ほら!」
ノイトはどういう状況なのかイマイチ理解しきれないままフィルマリーが言う「仲直りのぎゅー」とやらをして立ち上がった。どうやらフィルマリーはノイトのことを許したらしく、再び笑顔を取り戻す。
「ノイトさん、もうあんなこと言わないでくださいね...?それと、別に今行き遅れているんじゃなくて、いつか行き遅れたら嫌だ、という話なので。[太字]ね?[/太字]」
「はい...。もう言いません。」
ノイトは再び謝った後にフィルマリーを見て考える。
(本来の精神年齢は意外と低かったのかな...?ただの甘えん坊じゃなくて、なんかこう、別の...なんだ?何かを感じた。...何だろう?)
演奏をしようとしていたリーリャは先程フィルマリーが放った上級魔術を見て演奏の準備を止めてしまっていたようで、慌てて駆け寄ってきた。
「ノイト...大丈夫、だよね...?」
「...何でちょっと引いてんの?」
「いや...だって...。」
リーリャはノイトにおんぶしてもらったことや腕を組んだことは多々あったが、抱きついたことはない。目の前でノイトと抱きついた人が居たら嫉妬するのも無理はないだろう。ルミナスのときは歳下だったため特例だったが、今回はやや思う所があるらしい。リーリャが嫉妬していることを察したフィルマリーはリーリャに声をかけた。
「...別に、私のはあなたのとは違うから大丈夫です。"もらう"ってそういう意味で言ったんじゃないし、あなたの方がよっぽどお似合いですよ。」
ノイトはまだ状況を上手く理解出来ていなかったため、取り敢えず[漢字]思考停止[/漢字][ふりがな]フリーズ[/ふりがな]して黙っておくことにするのだった。
ノイトたちは店員の女性が元・魔道士だと聞いて驚いた。ノイトはフィルマリーから目を離さずに考える。
(メルの上位互換...、いやそれはメルに失礼か。でも強いな...。)
「それで...あなたを楽しませる、って言っても具体的に何をすれば良いんですか?」
フィルマリーは笑顔のまま答えた。もはやずっと笑っているのが怖い。
「簡単ですよー。私と戦って、私が負けを認めたら商品を30%引きにする、それだけです。それじゃあ、始めちゃいましょうか。」
次の瞬間、ノイトは咄嗟に【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を手に取って構える。メルクも同様にスティレットを手に持った。その瞬間、武器を持った2人は店の外へと[漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな]させられていた。
「「[斜体][大文字]!![/大文字][/斜体]」」
視界の中心に居たフィルマリーが消える。ノイトは反射的に上に武器を向けた。
[中央寄せ][大文字][明朝体][斜体]ガキンッ[/斜体][/明朝体][/大文字][/中央寄せ]
ノイトの武器はギリギリでフィルマリーの攻撃を止めた。フィルマリーは魔力を纏った万年筆のようなもので攻撃を仕掛けてきている。
(恐らく魔力で出来たインクで魔法陣か何かを描いてこの[漢字]戦場[/漢字][ふりがな]フィールド[/ふりがな]での優位性を取ろうとしている...。僕も何か覚えておくべきだったか...。あの魔導書、ルミナスにプレゼントしちゃったからな〜、どうしよう。)
[中央寄せ][斜体][大文字]『[太字][明朝体][漢字]灼愛射閼召[/漢字][ふりがな]ヤマナイアメ[/ふりがな][/明朝体][/太字]』[/大文字][/斜体][/中央寄せ]
メルクの攻撃がフィルマリーを捉えた。しかし、フィルマリーへの攻撃が当たりそうな部分にだけ小さな防御魔法が無詠唱で展開される。ノイトはそれを見て目を丸くした。
(無詠唱...[漢字]自動発動[/漢字][ふりがな]オート[/ふりがな]か...!! これが、魔道士の戦い方...!!)
ノイトは[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]に魔力を込めて【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を振りかざす。
[中央寄せ][斜体][太字][大文字]〔[漢字]魔力斬[/漢字][ふりがな]マギノ・スラッシュ[/ふりがな]〕[/大文字][/太字][/斜体][/中央寄せ]
ノイトが放った魔力の斬撃を、フィルマリーは避けた。つまり、当たれば攻撃が通ると言うことだ。それも当たり前の威力だが。恐らく上級魔道士や魔神などの結界以外は断ち切ることが出来るだろう。ノイトは街への被害を出さないためにその攻撃を上空の方へと放っていたのだが、斬撃の先にあった雲が綺麗に裂けたのが見て分かる。
「わぁ...すごい威力の斬撃ですね...!!なかなか面白いじゃないですか〜。あなた、お名前は?」
[中央寄せ][斜体][太字][大文字][明朝体]ガキンッ[/明朝体][/大文字][/太字][/斜体][/中央寄せ]
「ノイト=ソルフォトスです。」
ノイトの攻撃がフィルマリーの万年筆に受け止められる。ノイトの名前を聞けたフィルマリーは何だか嬉しそうに見える。
「そうですかそうですか!ノイトさん!!あなたは魔法のセンスも持ち合わせているようですし、是非とももっとお話ししたいですね...。そうだ!! もし私が満足出来なかったらあなたをもらいます。」
「はい?」
ノイトは何を言われたのか、一瞬理解が出来なかった。しかし、そのせいで止まってしまった足で無理やり地面を蹴って目の前に飛んできていた攻撃をかわす。
(もらう...?もらうって、あぁ...そういうこと?)
ノイトは着地してからフィルマリーを真っ直ぐと見つめて[漢字][小文字][打消し]煽った[/打消し][/小文字][/漢字][ふりがな][大文字]確認した[/大文字][/ふりがな]。
「行き遅れ、ですか?」
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[中央寄せ][明朝体][太字][大文字]上級魔術:〘ᚺᛖᛚᛚ'ᛋ ᛁᚾᚠᛖᚱᚾᛟ〙[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
[水平線]
[中央寄せ][太字][大文字][斜体]〔[漢字]魔力反射[/漢字][ふりがな]マギノ・リフレクト[/ふりがな]〕[/斜体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
[水平線]
フィルマリーの口元からは笑みが消え、次の瞬間にはノイトを飲み込もうとする炎の上級魔術が【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の魔法に弾かれていた。ノイトは焦ったまま吹き出してしまうのを必死に堪えようとしている。
([大文字][斜体]やっば...!![/斜体][/大文字] 地雷踏み抜いちゃったかな...?!ここからこの人を楽しませるのは結構厳しいんだけど?)
フィルマリーは俯いて立ち止まったまま黙っている。
(あぁ...ヤバい。これ、止められるかな..?...まずい、笑いそうだ。パニクってるのか...人がくすぐられて笑うのと同じ原理...)
メルクはノイトの隣に跳んできた。
「ねぇ、ノイトくん。その煽りスキルLv100はどこで[漢字]修得[/漢字][ふりがな]ゲット[/ふりがな]したの?」
「知らないよ...。」
店の中から出てきていたリーリャが何かを演奏しようとしていたのがノイトの視界に映る。リーリャの演奏ならフィルマリーの怒りも紛らわせることが出来るかもしれない。そう思ったノイトは、リーリャの演奏が始まるまでフィルマリーから目を話さないことにした。
(どうしよう...怒ってるよね...?)
[水平線]
[中央寄せ][明朝体][太字][大文字]上級魔術:〘ᚪᛈᛟᛚᛟᚵᛁᛣᛖ〙[/大文字][/太字][/明朝体][/中央寄せ]
[水平線]
メルクは咄嗟にその魔術を横に跳んで避けたが、後ろに跳んだノイトは直にその白い光を受けてしまう。ノイトは失明しないように目を塞いでいた。しかし、身体に力が入らずその場にへたり込んでしまう。
(...何が起こった?! 身体に力が入らない...あ、これもしかして人生詰んだ?)
フィルマリーはノイトが動けなくなっていることを確認すると頬を膨らませて歩いてくる。メルクがフィルマリーに攻撃を仕掛けようとしたが、無詠唱の防御魔法で防がれてしまった。
「...ノイトさん...。」
「...はい...。」
ノイトは人生で初めてここまでの恐怖を感じる。やがて身体に力が入るようになり、ゆっくりと目を開けた。視界に映ったのは頬を膨らませながらこちらをじっと見ているフィルマリーの顔。
(金魚みたいに膨らんじゃっててかわいい...、...?!)
フィルマリーはムスッとしながらノイトに話しかけた。
「.........謝って。」
「...すみませんでした。」
「よしっ。目、閉じて。」
フィルマリーはノイトの前にしゃがみこみ、恐る恐る目を閉じたノイトの額にデコピンをした。
「[斜体]あたっ!![/斜体]」
地味に痛いようだった。フィルマリーはノイトにデコピンをした後に両手を広げる。
「謝ってくれたから、許したげる。ほら、仲直りのぎゅー!」
「...え?するんですか?今?」
「そう。早く。ほら!」
ノイトはどういう状況なのかイマイチ理解しきれないままフィルマリーが言う「仲直りのぎゅー」とやらをして立ち上がった。どうやらフィルマリーはノイトのことを許したらしく、再び笑顔を取り戻す。
「ノイトさん、もうあんなこと言わないでくださいね...?それと、別に今行き遅れているんじゃなくて、いつか行き遅れたら嫌だ、という話なので。[太字]ね?[/太字]」
「はい...。もう言いません。」
ノイトは再び謝った後にフィルマリーを見て考える。
(本来の精神年齢は意外と低かったのかな...?ただの甘えん坊じゃなくて、なんかこう、別の...なんだ?何かを感じた。...何だろう?)
演奏をしようとしていたリーリャは先程フィルマリーが放った上級魔術を見て演奏の準備を止めてしまっていたようで、慌てて駆け寄ってきた。
「ノイト...大丈夫、だよね...?」
「...何でちょっと引いてんの?」
「いや...だって...。」
リーリャはノイトにおんぶしてもらったことや腕を組んだことは多々あったが、抱きついたことはない。目の前でノイトと抱きついた人が居たら嫉妬するのも無理はないだろう。ルミナスのときは歳下だったため特例だったが、今回はやや思う所があるらしい。リーリャが嫉妬していることを察したフィルマリーはリーリャに声をかけた。
「...別に、私のはあなたのとは違うから大丈夫です。"もらう"ってそういう意味で言ったんじゃないし、あなたの方がよっぽどお似合いですよ。」
ノイトはまだ状況を上手く理解出来ていなかったため、取り敢えず[漢字]思考停止[/漢字][ふりがな]フリーズ[/ふりがな]して黙っておくことにするのだった。