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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#51

51.海を越えて

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

ノイト、リーリャ、メルクの3人は朝日を浴びるノルストラの『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』の前に居た。
「さてと...2人とも、忘れ物は無いね?」
「「もちろん。」」
「よし。」
ノイトは深呼吸をして2人と共に『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』をくぐり抜ける。その先で視界に入ったのは道を通る馬車に路面電車、建物の屋上のさらに上に浮かんでいるアドバルーン。

[中央寄せ]エリア〚貿易都市・レミステラ〛[/中央寄せ]

レミステラに転送された3人は街の東へと歩いていく。リーリャは何故東に移動しているのかをノイトに聞いてみることにした。
「ねぇ、ノイト。どうして東に行くの?」
「この街の東に港があるんだよ。そこで飛行船に乗ってヴェルグランド大陸に向かおうと思う。」
なるほどと頷くリーリャは街並みを観察する。今度はメルクがノイトに質問をした。
「以前はここで武器を作ってもらったんでしょ?新しい武器は作ってもらわなくて良いの?」
「う〜ん、まぁ今回は良いかな。材料とか持ってないし。ほら、それに。僕が魔神討伐に貢献した報奨金みたいなのは受け取らずに断っちゃったから。お金ないんだよ、今。」
自称・金欠のノイトはリーリャとメルクを連れて街の東の港に到着した。港に停まっているのは巨大な飛行船。ファンタジーらしい謎の模様が描かれたデザインで、気嚢の下に普通の船のようなものがついている。
「これぞファンタジー、って感じだね...。」
「ノイトくん、これが本当に空を飛ぶの?あんまり高い所を飛ぶと乗客は凍傷で死んじゃうよ?」
「まぁ、結界魔法でも張ってあるんだろう。大丈夫だと思うよ、[小文字]...多分[/小文字]。」
「最後はっきりしないね!自信持ってよ!」
3人は飛行船乗り場に向かった。運賃は一切発生しないようだ。どうやらノルティーク帝国が全運賃を負担しているのだとか...。
「ノイト、早く乗ろう!」
リーリャに急かされてノイトとメルクは飛行船に乗る。
「広〜い!!ノルティーク帝国の王城くらいあるんじゃない?」
「流石にそこまで広くはないけど...パルモニカくらいはあるね...。すごく広い...!」
「ノイト、もうすぐ出発するって!!」
ノイトははしゃぐ2人の相手を同時にすることにやや苦労していたが、ヴェルグランド大陸に着けばさらに[漢字][小文字][打消し]悪化[/打消し][/小文字][/漢字][ふりがな][大文字][太字]激しく[/太字][/大文字][/ふりがな]なると思い、これも[漢字]準備運動[/漢字][ふりがな]ウォーミングアップ[/ふりがな]だと気張った。

やがて、気嚢にさらにガスが注入されて船体が浮かび上がる。船尾のプロペラが稼働し始め、少しずつ飛行船が前へと進んでいく。轟々と低い金属音が響くが、それも気にならなくなるほどリーリャとメルクははしゃいでいる。
「ノイト!!甲板からの景色も見たい!行こう!!」
「ノイトくん!早く早く!!」
ノイトははしゃぐ2人に手を引かれながら甲板へと上がっていく。
(あれ...2人とも前世を含まずとも僕と同年代か少し上なんだけどな...子ども?)
3人は甲板に出た。気嚢が天井のように広がっていたため甲板の端へと移動すると、開けた視界に広がる青空が堪能出来た。白い雲も隣に浮かんでいて、空にいるという実感が強い。下には海も広がっていてまさに大陸間の移動という感じだ。
「わぁ...!!雲が近〜い!!」
「風が気持ちい〜!!」
ノイトははしゃぐ2人を他所に飛行船の進行方向をじっと見ている。何かの気配を感じたのだ。
(魔物...いや、魔力量的には魔獣かな...?空中だからワイバーンとか...?)
ノイトの予想通り。ワイバーンがこちらに向かって飛んできている。しかもそれは群れを成していた。
「メル、魔法の準備。」
「え?...あぁ〜なるほど、そういうことね。了解!」
メルクは黒いローブの中から黒いスタッズグローブの魔具を取り出して手にはめた。
「う〜ん...、ヴェルグランド大陸に着いたら魔法の杖でも買おうかな...?」
「だから金欠なんだって。早く行ってこ〜い。」
メルクは甲板の前方へと歩いていく。甲板に上がっている乗客がほとんど居ないお陰で集中できる。甲板前端の一歩手前でメルクは魔法を唱える。
[中央寄せ]上級魔法:[[漢字][太字][明朝体]炎渦[/明朝体][/太字][/漢字][ふりがな]フレア[/ふりがな]][/中央寄せ]
その瞬間、炎の渦がメルクの手から放たれ、ワイバーンの群れに命中した。ワイバーンたちは逃げ出した。そこまでは良かったのだが。飛行船の気嚢の一部が燃えてしまった。
「メル!もっと前で撃ってよ...気嚢が燃えてるでしょ!」
「だって落ちたらやだもん!!」
「気嚢が燃えたらどの道落ちるでしょ!!」
ノイトがマジックバッグから革の手袋の魔具を取り出して手にはめる。
[中央寄せ][[漢字][太字]凍結[/太字][/漢字][ふりがな]フリーズ[/ふりがな]][/中央寄せ]
気嚢に移った火を凍らせることで消し、気嚢の穴を塞いだ。しかし、凍らせた部分の重さで船体が少しずつ傾き始めている。
「何やってるのノイトくん!重くしたら落ちちゃうでしょ!」
「穴開けた人に言われたくないよ!...リーリャ、任せても良い?」
ノイトの言葉の意味を理解したリーリャはマジックバッグから[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]を取り出して首にかける。
「うん、任せて!」
[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]が具現化したピアノをリーリャが弾く。
(これは...「交響曲第7番」※か...? チョイスがシュールな気が...、そんなことは良いんだよ別に...!僕も何かしないと...!!)
ノイトも続けて魔法を使った。
[中央寄せ][[太字][太字][漢字]広範拡声[/漢字][ふりがな]アンプリフィケーション[/ふりがな][/太字][/太字]][/中央寄せ]
リーリャの演奏が飛行船中に広がった。

[水平線]
[中央寄せ]『[太字]超級魔法:[大文字][明朝体][漢字]幻想奏楽[/漢字][ふりがな]パフォーマンス[/ふりがな][/明朝体][/大文字][/太字]』[/中央寄せ]
[水平線]

リーリャが演奏するピアノから虹色の魔力を帯びた巨大な黒い五線譜が伸び、飛行船の横に翼のように広がった。そして飛行船の体勢は段々と元に戻って安定し、水平線に見えてきたヴェルグランド大陸へと飛んでいく。それ以降は大した問題もなくゆっくりと高度を落としていき、港へと向かった。
メルクは大人しく魔具をしまってノイトの陰に隠れている。ノイトがどうしたのか聞いたが、メルクは少し考え事をしているから話しかけないでと言った。
(...なんか、宝くじ思い出しちゃった...。この世界ってそういうのあるのかな?)
ノイトの[漢字]援助[/漢字][ふりがな]まほう[/ふりがな]とリーリャの[漢字]演奏[/漢字][ふりがな]まほう[/ふりがな]のお陰で無事にヴェルグランド大陸の港に辿り着く。前方の気嚢が焦げた上から凍っている飛行船を見て、降りてきた乗客やヴェルグランド大陸の港に居た航空職員などは驚いていた。戦犯のメルクが一緒に居たため、ノイトとリーリャはメルクを連れてすぐに近くの街の中心まで移動することにするのだった。

※ここでは「交響曲第7番イ長調作品92 第1楽章」
 (/ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)のこと。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はノルティーク大陸からヴェルグランド大陸へと移動する際の一悶着を描きました。ちなみに僕は宝くじは買ったことないです。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/16 12:50

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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