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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#50

50.再出発

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
[中央寄せ]エリア〚ノルティーク大陸・城下街〛[/中央寄せ]

ノイト、リーリャ、メルクの3人はノルティーク大陸の『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』に向かっていた。
「カメリア様...どうやったらあの速さで攻撃が出来るのか...?それが分からなかったらいつか抜かされちゃう...!!」
メルクはカメリアの実力を認めているようだった。ノイトはメルクに良いライバルが出来たと考えている。
(メルがこれ以上強くなっちゃうと僕とリーリャが置いていかれちゃうな...僕も頑張らないと...!!)
3人は『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』の前に到着し、ノイトは2人に次の目的を伝える。
「取り敢えずここ、ノルティーク大陸の三大音楽堂は全部行ったね。これでもまだリーリャの記憶は完全には戻ってない。次はヴェルグランド大陸に行こうと思う。」
「ヴェルグランド大陸...そこには何があるの?」
「そっか...リーリャは行ったことないのか...。ノルティーク大陸よりも広くて、複数の国があるんだよ。」
メルクの補足がリーリャの理解と想像を助けた。ノイトは頷いてノルストラに続く『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』を見つめる。
「それじゃあ...まずは、ノルストラに戻ろう。」
「ノイトくんの家がある所に近いんだったっけ?」
「そうだよ。私が初めてノイトと会ったのもノイトの時計塔だから...思い出の場所なんだ。」
ノイトは微笑みながら『[漢字]門[/漢字][ふりがな]ゲート[/ふりがな]』をくぐり抜ける。他の2人もその後に続き、3人はノルストラへと転送された。

[中央寄せ]エリア〚学術都市・ノルストラ〛[/中央寄せ]

「おぉ...ここがノルストラか...。ノイトくんの家は何処ら辺なの?」
「あそこに見える時計塔だよ!」
ノイトは2人を連れて時計塔へと歩いていく。もう空はオレンジ色に染まっていて、恐らく時計塔に着く頃には日が沈んでいるだろう。
リーリャはノイトと初めて出会った時のことを思い出しながら道を歩き、メルクも時計塔を見てワクワクしているようだ。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

日が丁度沈む頃、時計塔に辿り着いた。ノイトの目に映る時計塔には懐かしさが浮かんでいる。
「たった数日間出かけただけなのにね...。すごく懐かしい気がするよ。」
ノイトはリーリャにメルクに時計塔からの景色を見せてあげるように言い、塔の隣にある小屋に入っていった。小屋の入口に置いてあったランタンの明かりを付けて小屋の中に置かれた机の引き出しの中から何かを探そうとしているようだ。
[中央寄せ][[漢字][太字]灯火[/太字][/漢字][ふりがな]トーチ[/ふりがな]][/中央寄せ]
机の引き出しの中にはノイトが昔書いていた日記や何かの鍵が入っている。その中からノイトが取り出したのは青白い色の紙だった。ノイトはそれをマジックバッグにしまう代わりに、今まで旅の中で消耗した[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]などが入っていた瓶を取り出してゴミ箱に入れる。
目的のものをマジックバッグに入れたノイトは時計塔に入ってリーリャとメルクを探した。石レンガで出来た階段を一段ずつ上っていく。ノイトにとっては一つ一つが懐かしい。
(あぁ...本当に戻ってきたんだなぁ...。)
そして最上階のバルコニーへと辿り着いた。リーリャとメルクが何かを話しているようだった。
(...また女子会とかだったら、僕が割り込んでいったりしたら怒られるよな..?)
ノイトは2人に気づかれないようにしばらくの間バルコニーの入口に立ち続けている。月が綺麗だったので空を見上げていたが、ふとルミナスのことを思い出してしまった。
(あぁ...昨日までは王城に居たのか...未だに信じられないけど、僕にとっては[漢字]時計塔[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]の方が落ち着くかな。...あぁ、そうだ思い出した。「月が綺麗ですね」ってそういう意味だったな...。)
ノイトはリーリャと話しているメルクの口元に目が行った。ノイトは読唇術の勉強はしていなかったため口の動きだけで話の内容を読み取ることは出来ないが、幸いノイトは耳がよく効くため少しだけその会話を聞き取ることが出来た。
[小文字]「リーリャ、...いえ、樟本さん...。私ね...?前世......なたの演奏...聞い...ことが......た気がす...の。」[/小文字]
[小文字]「え..!?私......奏、聞い...く...てたの?それ...ゃあ、ず......前に私の演...で繋がっ......んだね。」[/小文字]
リーリャがふとバルコニーの入口を見るとノイトが立っていた。ノイトを見たリーリャは笑顔でノイトに手を振る。それを見て手を振り返しながら2人の元へとノイトが歩いていく。
「ノイトくん。...ここから見る景色、とっても綺麗だね。いつもこんな綺麗な景色を見てたの?」
ノイトは石レンガの手すりに寄りかかり、メルクの質問に笑って答えた。
「いや、確かにここから見る景色は綺麗だけど、流石に"いつも"とまでは言えないかな。この世界に変わらないモノなんてないからね。今日は今日の景色が見えるし、明日には明日の景色が見えるよ。」
リーリャはノイトの言葉を聞いて微笑む。
「ふふっ...相変わらずノイトが言う事はちょっと難しくて分からないよ。」
「樟、...リーリャならきっといつか理解出来るようになるよ?私はちょっと何言ってるか分かんないけど。」
メルクの発言に3人は吹き出した。月の光が3人を照らす。笑い声が止むと少しだけしんみりとした時間が訪れた。
「何か...、...ちょっとだけ寒くなってきたね。」
「そうだね、そろそろ寝ようか。2人は塔の隣の小屋を使うと良いよ。ヴェルグランド大陸に向かうためにも、しっかり寝て準備しよう!」
「「うん!!」」
3人がバルコニーから塔の中に入っていく。時計塔の最上階に置かれているピアノの天板に映った月がとても綺麗な夜だった。

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

丁度それと同じ頃。ノルティーク帝国の王城にて、ルミナスは自室のバルコニーに出る。そしてノイトから受け取った革袋の中身をそっと取り出す。
[明朝体][太字]「うわぁ...!!」[/太字][/明朝体]
その革袋はマジックバッグになっていて、中からはいろいろなものが出てきた。いくつもの[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]や魔法の本、魔物の本に、[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]。一つ一つにノイトの思い出が詰まっているように感じられた。その中でも特にルミナスの目を引いたのが小さな小箱だ。ルミナスがその小箱を持って開くと、中から息を呑むほど綺麗な音色が奏でられる。
[水平線]

[中央寄せ][大文字]超級魔法:『[明朝体][太字][漢字]幻想廻転琴[/漢字][ふりがな]オルゴール[/ふりがな][/太字][/明朝体]』[/大文字][/中央寄せ]

[水平線]
ルミナスは、オルゴールが音を奏でた瞬間に他の全ての音が消えたような感覚になった。まるでその[漢字]小箱[/漢字][ふりがな]オルゴール[/ふりがな]が世界の全てであるかのように。オルゴールが最後の音を奏で終えた時、ルミナスの視界に映った月は淡く滲んでいた。頬に流れた温かいものをそっと拭い、ルミナスはぎゅっとドレスの裾を握る。
[明朝体][太字]「お兄ちゃん...私、頑張るからね。」[/太字][/明朝体]
その様子を城内の窓からレイクとイズベラは微笑んでいた。ルミナスの表情はよく見えないが、後ろ姿からは決意が感じられたようだ。イズベラはレイクに話しかける。
[明朝体]「レイク...もしまたノイトさんにお会いしたら、この言葉を伝えておいてください。―――――――――、―――――――――――――――。」[/明朝体]
目を丸くしたレイクはすぐに微笑んで頭を下げた。
[大文字]「承知いたしました、必ずお伝えします。」[/大文字]
月光が射し込む部屋にレイクの返事が静かに響く。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回でノルティーク帝国篇も幕引きです。次回からはヴェルグランド大陸前篇に入ります。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての感想も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/16 10:43

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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