世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトは王城の通路を進みながら先程の女王との会話を振り返っていた。
(何かが引っかかったんだよな...。ん〜、何か頭が働かない...。女王様の姿があまりにも痛ましかったからだろうか...病気なんて可哀そうだ...。)
やがて王城の入口の前に辿り着き、外にいる人物を見る。リーリャとメルク、ルミナス、カメリア、それと城の監視兵。ノイトは一旦考え事は止めて女子たちに話しかける。
「お待たせ〜、何話してたの?」
女子4人は顔を見合わせてから少し顔を赤らめてノイトの質問に答えた。
「秘密だよ〜」
「女子会してたからね〜、ノイトが聞いちゃったら面白くないよ!」
[明朝体][太字]「ふふっ...例えお兄ちゃんであっても秘密ですよ〜?」[/太字][/明朝体]
[明朝体]「ノイト様には秘密です。」[/明朝体]
ノイトは4人が何を話していたのかちゃんと答えてもらえなかったが、無理に踏み入るのも面倒だと思って話題を変えようとする。
「そっか...、秘密ならしょうがないね。まぁそれは別にいいや。そろそろ行かないとだし。」
メルクはやけにノイトの食い付きが悪いことにむっとして少しおどけてみせた。
「えぇ〜。ノイトくん、何かちょっとノリ悪くない〜?手段を選ばなければ私たちの口を割ることは簡単なんでしょ?」
「まぁね。あまり手荒な真似はしたくないけど。」
ノイトがあまりにも自然にノッてきたため、今度はメルクが困ってしまう。必死に舌を回らせたメルクがノイトも道連れにしようと煽り始めた。
「え?えっと、本当にやる気なの...?...ふ、ふーん。口だけは達者なんだね〜。本当はそんな度胸ないくせして、いつも大口叩いてるんでしょ!悔しかったら...ん?...悔しかったら、どうするんだろう...?」
「自分から言っておいて途中で自問自答に移らなくていいよ。別に僕は逃げないから、ちゃんと頭の中でまとめてから発言するようにしようね。それが普通だけど。まだメルにはちょっと難しかったのかもしれないけど大丈夫!これからなれていけば良いよ。」
メルクは黙ってしまった。ノイトは相手に煽られたら冷静にスルーしながらナチュラルに煽り返してくるタイプの人間らしい。ルミナスはノイトの発言を真に受けてリアクションする。
[明朝体][太字]「...お兄ちゃん、もし私の口を割るとしたらどんな手を使うのですか?」[/太字][/明朝体]
ノイトはルミナスの不安そうな顔を見て少し呆れながら頭を撫でて落ち着かせる。
「その心配は必要ないよ。ルミナみたいに素直な子なら僕が大した事をしなくて自分から喋っちゃうでしょ?」
頭を優しく撫でられて照れているルミナスは思わず俯いてしまう。その様子を見たリーリャは頬を膨らませていて、カメリアも2人の様子にニヤついていた。メルクはノイトの行動と発言を受けてノイトをこっそりとからかう。
「[小文字]おーい、主人公の恋愛フラグ立てまくりじゃないの〜?[/小文字]」
ノイトは固まって後悔した。
(あ...やべ...。)
ルミナスは固まったノイトを他所にカメリアにお願いをしようと話しかける。
[明朝体][太字]「お姉様、私がお姉様みたいに強くなったら国の外に1人で出かけても大丈夫でしょうか?」[/太字][/明朝体]
期待と不安の眼差しで見つめるルミナスを見て、カメリアは微笑みながら小声でルミナスに話した。
[明朝体][小文字]「なるほど...もしかして、...[漢字]そういう[/漢字][ふりがな]・・・・[/ふりがな]感じ?...そうだね、強くなったらノイト様の力になってあげると良い。」[/小文字][/明朝体]
[明朝体][太字]「本当ですか?!ありがとうございます、お姉様!そうと決まれば早速稽古を!!」[/太字][/明朝体]
ルミナスはすっかりはしゃいでカメリアに稽古をつけてもらおうとするが、まだノイトたちがいることを思い出してちゃんとノイトたちに伝えなければいけないことがあるのを思い出した。
(そうでした...。ちゃんと伝えなければ...!!)
ルミナスは顔を上げてリーリャの方を見る。
[明朝体][太字]「リーリャ様。先程の演奏はお見事でした。もし機会があれば、是非また聞かせてくださいね?」[/太字][/明朝体]
リーリャは笑顔で答えた。
「もちろん、です!今度はもっと上手く演奏出来るように練習しておきます!」
ルミナスは次にメルクの方を見る。
[明朝体][太字]「メルク様。昨日の移動速度はお見事でした。攻撃速度はお姉様の方が上ですが、移動速度はメルク様の方が速かったのだと思います。私もお姉様やメルク様のようにもっと強くなってみせますから、応援していてください!」[/太字][/明朝体]
「もちろんですよ、ルミナス様。私もさらに訓練してカメリア様よりも速くなれるように精進致します。」
メルクがちらりとカメリアを見るとカメリアは笑顔の瞳の中に期待を宿しているように見えた。そして最後に、ルミナスはノイトの方を真っ直ぐと見る。
[明朝体][太字]「最後に、お兄ちゃん...。私は今はお兄ちゃんの冒険に同行することは出来ませんが、強くなって...一緒に旅に出たいです。」[/太字][/明朝体]
ノイトはルミナスの願いを聞いて微笑んだ。ルミナスはノイトの笑みを見て目を僅かに潤ませてしまう。
(あぁ...もう、これでしばらくの間は会えなくなってしまいます...。)
しかし、ぐっとこらえて続けた。
[明朝体][太字]「その...いつか...!!私が、強くなったら...、私を仲間にしてくれますか?」[/太字][/明朝体]
「...もちろん。ルミナ、頑張ってね!...頑張りすぎは良くないから程々に、だけどね!」
ルミナスは着ているドレスの裾をぎゅっと握りしめて俯いたが、やがてノイトに抱きついた。リーリャとメルクもそれを黙認している。驚いて目を見開いたノイトだったが、ルミナスを見つめて微笑みながらルミナスの背中に手を添えて、もう片方の手でそっとルミナスの頭を撫でた。
「[斜体][太字][大文字]!![/大文字][/太字][/斜体] ルミナ......もう、ルミナは甘えん坊さんだなぁ!」
ノイトの腕の中で静かに視界を滲ませたルミナスはノイトたちにしばしの別れの挨拶を告げるために笑顔を作った。やがてノイトから離れ、一歩下がった。
[明朝体][太字]「...、ふふっ.../// お兄ちゃん、私頑張りますね!...それでは、皆様。これでお別れですね。またどこかでお会いしましょう!!」[/太字][/明朝体]
ノイトとリーリャとメルクの3人はルミナスに手を振って王城を後にする。はずだったのだが。
[大文字]「あ、[/大文字]そうだ...。ルミナ、これあげるよ!」
急に立ち止まったノイトがマジックバッグから何かが入った革袋を取り出してルミナスに手渡した。ルミナスはノイトに渡されたものをきょとんとして見ながらノイトを見つめる。ノイトは今度こそこそと言って別れを告げる。
「ルミナ!それじゃあ、またね!!」
街の方へと消えていくノイトたちの背中をじっと見つめながら立っているルミナスの頬を夕日に照らされた風が撫でる。プラチナブロンドの髪が揺れたのを感じながら、ルミナスは思わず笑い出した。
[明朝体][太字]「またいつか...絶対にお会いしましょうね、...お兄ちゃん。...お姉様、城内に戻りましょうか。」[/太字][/明朝体]
[明朝体]「そうだね。レイクに頼んで稽古を一緒につけて貰おうか。」[/明朝体]
2人だけの王女は夕日を浴びた城の中へと戻るのだった。
ノイトは王城の通路を進みながら先程の女王との会話を振り返っていた。
(何かが引っかかったんだよな...。ん〜、何か頭が働かない...。女王様の姿があまりにも痛ましかったからだろうか...病気なんて可哀そうだ...。)
やがて王城の入口の前に辿り着き、外にいる人物を見る。リーリャとメルク、ルミナス、カメリア、それと城の監視兵。ノイトは一旦考え事は止めて女子たちに話しかける。
「お待たせ〜、何話してたの?」
女子4人は顔を見合わせてから少し顔を赤らめてノイトの質問に答えた。
「秘密だよ〜」
「女子会してたからね〜、ノイトが聞いちゃったら面白くないよ!」
[明朝体][太字]「ふふっ...例えお兄ちゃんであっても秘密ですよ〜?」[/太字][/明朝体]
[明朝体]「ノイト様には秘密です。」[/明朝体]
ノイトは4人が何を話していたのかちゃんと答えてもらえなかったが、無理に踏み入るのも面倒だと思って話題を変えようとする。
「そっか...、秘密ならしょうがないね。まぁそれは別にいいや。そろそろ行かないとだし。」
メルクはやけにノイトの食い付きが悪いことにむっとして少しおどけてみせた。
「えぇ〜。ノイトくん、何かちょっとノリ悪くない〜?手段を選ばなければ私たちの口を割ることは簡単なんでしょ?」
「まぁね。あまり手荒な真似はしたくないけど。」
ノイトがあまりにも自然にノッてきたため、今度はメルクが困ってしまう。必死に舌を回らせたメルクがノイトも道連れにしようと煽り始めた。
「え?えっと、本当にやる気なの...?...ふ、ふーん。口だけは達者なんだね〜。本当はそんな度胸ないくせして、いつも大口叩いてるんでしょ!悔しかったら...ん?...悔しかったら、どうするんだろう...?」
「自分から言っておいて途中で自問自答に移らなくていいよ。別に僕は逃げないから、ちゃんと頭の中でまとめてから発言するようにしようね。それが普通だけど。まだメルにはちょっと難しかったのかもしれないけど大丈夫!これからなれていけば良いよ。」
メルクは黙ってしまった。ノイトは相手に煽られたら冷静にスルーしながらナチュラルに煽り返してくるタイプの人間らしい。ルミナスはノイトの発言を真に受けてリアクションする。
[明朝体][太字]「...お兄ちゃん、もし私の口を割るとしたらどんな手を使うのですか?」[/太字][/明朝体]
ノイトはルミナスの不安そうな顔を見て少し呆れながら頭を撫でて落ち着かせる。
「その心配は必要ないよ。ルミナみたいに素直な子なら僕が大した事をしなくて自分から喋っちゃうでしょ?」
頭を優しく撫でられて照れているルミナスは思わず俯いてしまう。その様子を見たリーリャは頬を膨らませていて、カメリアも2人の様子にニヤついていた。メルクはノイトの行動と発言を受けてノイトをこっそりとからかう。
「[小文字]おーい、主人公の恋愛フラグ立てまくりじゃないの〜?[/小文字]」
ノイトは固まって後悔した。
(あ...やべ...。)
ルミナスは固まったノイトを他所にカメリアにお願いをしようと話しかける。
[明朝体][太字]「お姉様、私がお姉様みたいに強くなったら国の外に1人で出かけても大丈夫でしょうか?」[/太字][/明朝体]
期待と不安の眼差しで見つめるルミナスを見て、カメリアは微笑みながら小声でルミナスに話した。
[明朝体][小文字]「なるほど...もしかして、...[漢字]そういう[/漢字][ふりがな]・・・・[/ふりがな]感じ?...そうだね、強くなったらノイト様の力になってあげると良い。」[/小文字][/明朝体]
[明朝体][太字]「本当ですか?!ありがとうございます、お姉様!そうと決まれば早速稽古を!!」[/太字][/明朝体]
ルミナスはすっかりはしゃいでカメリアに稽古をつけてもらおうとするが、まだノイトたちがいることを思い出してちゃんとノイトたちに伝えなければいけないことがあるのを思い出した。
(そうでした...。ちゃんと伝えなければ...!!)
ルミナスは顔を上げてリーリャの方を見る。
[明朝体][太字]「リーリャ様。先程の演奏はお見事でした。もし機会があれば、是非また聞かせてくださいね?」[/太字][/明朝体]
リーリャは笑顔で答えた。
「もちろん、です!今度はもっと上手く演奏出来るように練習しておきます!」
ルミナスは次にメルクの方を見る。
[明朝体][太字]「メルク様。昨日の移動速度はお見事でした。攻撃速度はお姉様の方が上ですが、移動速度はメルク様の方が速かったのだと思います。私もお姉様やメルク様のようにもっと強くなってみせますから、応援していてください!」[/太字][/明朝体]
「もちろんですよ、ルミナス様。私もさらに訓練してカメリア様よりも速くなれるように精進致します。」
メルクがちらりとカメリアを見るとカメリアは笑顔の瞳の中に期待を宿しているように見えた。そして最後に、ルミナスはノイトの方を真っ直ぐと見る。
[明朝体][太字]「最後に、お兄ちゃん...。私は今はお兄ちゃんの冒険に同行することは出来ませんが、強くなって...一緒に旅に出たいです。」[/太字][/明朝体]
ノイトはルミナスの願いを聞いて微笑んだ。ルミナスはノイトの笑みを見て目を僅かに潤ませてしまう。
(あぁ...もう、これでしばらくの間は会えなくなってしまいます...。)
しかし、ぐっとこらえて続けた。
[明朝体][太字]「その...いつか...!!私が、強くなったら...、私を仲間にしてくれますか?」[/太字][/明朝体]
「...もちろん。ルミナ、頑張ってね!...頑張りすぎは良くないから程々に、だけどね!」
ルミナスは着ているドレスの裾をぎゅっと握りしめて俯いたが、やがてノイトに抱きついた。リーリャとメルクもそれを黙認している。驚いて目を見開いたノイトだったが、ルミナスを見つめて微笑みながらルミナスの背中に手を添えて、もう片方の手でそっとルミナスの頭を撫でた。
「[斜体][太字][大文字]!![/大文字][/太字][/斜体] ルミナ......もう、ルミナは甘えん坊さんだなぁ!」
ノイトの腕の中で静かに視界を滲ませたルミナスはノイトたちにしばしの別れの挨拶を告げるために笑顔を作った。やがてノイトから離れ、一歩下がった。
[明朝体][太字]「...、ふふっ.../// お兄ちゃん、私頑張りますね!...それでは、皆様。これでお別れですね。またどこかでお会いしましょう!!」[/太字][/明朝体]
ノイトとリーリャとメルクの3人はルミナスに手を振って王城を後にする。はずだったのだが。
[大文字]「あ、[/大文字]そうだ...。ルミナ、これあげるよ!」
急に立ち止まったノイトがマジックバッグから何かが入った革袋を取り出してルミナスに手渡した。ルミナスはノイトに渡されたものをきょとんとして見ながらノイトを見つめる。ノイトは今度こそこそと言って別れを告げる。
「ルミナ!それじゃあ、またね!!」
街の方へと消えていくノイトたちの背中をじっと見つめながら立っているルミナスの頬を夕日に照らされた風が撫でる。プラチナブロンドの髪が揺れたのを感じながら、ルミナスは思わず笑い出した。
[明朝体][太字]「またいつか...絶対にお会いしましょうね、...お兄ちゃん。...お姉様、城内に戻りましょうか。」[/太字][/明朝体]
[明朝体]「そうだね。レイクに頼んで稽古を一緒につけて貰おうか。」[/明朝体]
2人だけの王女は夕日を浴びた城の中へと戻るのだった。