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本作の主人公は男主となっております。男主が苦手な方は、ブラウザバックなどの対処を個々人で行う事を強く推奨いたします。

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糖花のような恋に落つ

#4

episode3

「[太字]オラァ!うぜぇんだよオメェよぉ![/太字]」
「なんだありゃ……」
声と音がした場所まで辿り着くと、そこには数人のチンピラと、そのチンピラに囲まれ乱暴されている学生がいた。学生の方は制服を見る限り、近くの中学校のヤツだと思う。チンピラの方はよく分からないが、まあ学生に暴力を振るうあたり、まともな猿よりもろくじゃないという事は分かる。二つの意味で人でなしってわけか。
「うぅ……。や、やめてくださひ……」
「[太字]あぁ?やめてくださいだってぇ?そんな事言われて、素直にやめるヤツなんざいねぇよぉ![/太字]」
学生を一発殴るチンピラ。それを見てけらけらと笑う周りのチンピラ。本当に腹が立つ。反吐が出てしまう。
そう思って一秒も経たない時。オレがチンピラの一人に飛び蹴りをかましたのは、その時だった。
「[太字]ぼへぇ![/太字]」
チンピラは情けない声を出して、そこら辺に転がる。
「おいお前ら……。何オレが居るとこでだせえ事してんだよ。お前らみたいなヤツ見るとな、気持ちわりいんだよ……」
オレがそこまで言うと、飛び蹴りされたチンピラはギリギリ立ち上がって、オレを睨みつけた。
「おー、立ち上がる体力はあんだな。上等だよ。やれるもんならかかってこいや」
試しに脅しながら睨み返してみると、案の定チンピラ達は怖気づいて、その場を離れていった。
「逃げやがった。……クソが」
普通ならこれで一区切り、一件落着だが、オレはそうは思わない。あいつらをとっ捕まえて、なにか償いをさせる。そこまでやらないと、あいつらはまた同じ事を繰り返す。なんなら、もうあんな目に合いたくないと、より陰湿な方法を考えるだろう。それだけはダメだった。
「追うか?でもなあ……」
チンピラを追おうにも、そうするとこの学生が一人になる。それは危険すぎる。もしあいつらが戻ってきたら、この学生はまた苦しい思いをする事になる。それに、暴力を振るわれた後に、怪我の処置もされず一人にされたら不安だろう。ただの学生に、そんな不安を感じさせてはいけない。
学生は涙目になりながら、オレに向かってずっとごめんなさい、すみません、と連呼している。やっぱり、こんな学生を一人にしてはおけなかった。
「あの、あの、ごめんなさい、すみません、ごめんなさい……!」
「別に良いっての。気にすんな。それよりも、あいつらがな……どうするか」
誰か、あいつらを追える人が来てくれたら良いのに。そう考えるも、この辺り一帯は基本的に人がいない。ここらへんに風鈴生の家があるか記憶を探るが、オレの知る限りは居ない。
どうするか、そう考えていた時だった。
「……お前何してんだよ」
「あ?誰だ……って、お前こそなんでここいんだよ!」
そこに居たのは、遥だった。なぜコイツがここに居るのか訳が分からないが、オレは遥を見た瞬間、この状況を解決できるかもしれないと考えた。コイツに何が出来るのかは分からない。でも少なくとも、学生を守るくらいはできてほしかった。
オレは遥に頼む事にした。
「……なあ、遥」
「んだよ」
「この学生を見ててくれないか」
「はあ?なんで」
「コイツ、さっきチンピラどもに乱暴されてたんだよ。怪我してる。オレはチンピラとっ捕まえてくるから、コイツ見とけ」
よろしくとだけ言って、オレはチンピラを追おうと一歩踏み出してく。しかし後ろから、遥の待ったがかかった。
「おい待て」
「なんだよ!」
「オレに追わせろ」
遥から出た言葉は、あまりにも衝撃的な言葉だった。コイツにチンピラ複数人を追わせるなんて、考えていなかった。いや、考えていたが、実力が分からない以上、流石にやらせる訳にはいかないと思ったのだ。その考えを、目の前のコイツはやすやすとぶち壊してきた。なんていうヤツなんだ。
「は?お前大丈夫かよ!相手は複数人だったぞ」
「何人居たんだよ」
「……四人ぐらいだけど。お前さ、あの感じ一年だろ!まだ大っぴらに喧嘩する時期じゃねえよ!」
そこまで言うと、遥はオレを追い越して言った。
「うるせえ!オレは入学前から喧嘩に慣れてる。四人ぐらい楽勝だ。おい、チンピラはどこ行ったんだよ」
「…………」
「どこだ!」
実力の分からない一年。どこかに逃げたチンピラ。ボロボロになった学生。そしてオレ。どうすればいいか、だんだん状況が分からなくなっていく中、求められているのは迅速な判断だろう。
ここでうだうだとタラレバを垂れ流していても、それこそチンピラをまかせてしまうだろう。ならもう、コイツに任せてしまうのも、もしかしたら良いのかもしれない。やってダメだったら、オレがカバーしてやればいいんだ。
それに何より、遥の真っ直ぐな目を見て感じた。コイツはきっと、負けない。
「……だあ、分かったよ」
オレはなぜか笑ってしまいながら、目の前のコイツに対してこう言った。
「チンピラはあっちに行った。今すぐに追え。全員とっ捕まえろ。そしたら連絡よこせ。オレはここで学生をなんとかする。……任せたぞ、遥」
「おう」
遥は、任せとけと言わんばかりの表情を作ってから、素早く姿を消していった。どうなるかは分からないが、ここは一年に経験を積ませておけばいい。なにかあれば、オレがなんとかすればいいんだ。ここは一度、全て委ねよう。
「あ、あの、ありがとうございました……!」
「大丈夫だったか。怪我の処置は……コンビニで色々買うか。一緒に来い。一人で居たら心配だろ」
「……は、はい!」

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作者メッセージ

そういえば、紹介ページで樫木さんの名字にルビ振るの忘れてましたね。読みは「かしき」です。他に樫って漢字がつく名字は、冨樫とかありますね。某漫画家さんを思い出すので使うのはやめておきましたが。


いやー、やっぱり書きたい欲に任せて書く事って大事ですよね。この小説は私の「書きたい!」という熱い気持ちを念頭に置いて執筆しているんですが、下地がそれだともう凄いです。いつもよりもすいすい書き進める事ができます。書くのを止められそうで止められないこの感覚、久しぶりでとっても楽しいですね。創作者はやっぱり、こういう気持ちを持つのが一番。楽しいです。

2024/10/27 13:54

夢野 シオン@水野志恩SS ID:≫7tLEh4qnMjetA
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・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
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