二次創作
糖花のような恋に落つ
「[太字]オラァ!うぜぇんだよオメェよぉ![/太字]」
「なんだありゃ……」
声と音がした場所まで辿り着くと、そこには数人のチンピラと、そのチンピラに囲まれ乱暴されている学生がいた。学生の方は制服を見る限り、近くの中学校のヤツだと思う。チンピラの方はよく分からないが、まあ学生に暴力を振るうあたり、まともな猿よりもろくじゃないという事は分かる。二つの意味で人でなしってわけか。
「うぅ……。や、やめてくださひ……」
「[太字]あぁ?やめてくださいだってぇ?そんな事言われて、素直にやめるヤツなんざいねぇよぉ![/太字]」
学生を一発殴るチンピラ。それを見てけらけらと笑う周りのチンピラ。本当に腹が立つ。反吐が出てしまう。
そう思って一秒も経たない時。オレがチンピラの一人に飛び蹴りをかましたのは、その時だった。
「[太字]ぼへぇ![/太字]」
チンピラは情けない声を出して、そこら辺に転がる。
「おいお前ら……。何オレが居るとこでだせえ事してんだよ。お前らみたいなヤツ見るとな、気持ちわりいんだよ……」
オレがそこまで言うと、飛び蹴りされたチンピラはギリギリ立ち上がって、オレを睨みつけた。
「おー、立ち上がる体力はあんだな。上等だよ。やれるもんならかかってこいや」
試しに脅しながら睨み返してみると、案の定チンピラ達は怖気づいて、その場を離れていった。
「逃げやがった。……クソが」
普通ならこれで一区切り、一件落着だが、オレはそうは思わない。あいつらをとっ捕まえて、なにか償いをさせる。そこまでやらないと、あいつらはまた同じ事を繰り返す。なんなら、もうあんな目に合いたくないと、より陰湿な方法を考えるだろう。それだけはダメだった。
「追うか?でもなあ……」
チンピラを追おうにも、そうするとこの学生が一人になる。それは危険すぎる。もしあいつらが戻ってきたら、この学生はまた苦しい思いをする事になる。それに、暴力を振るわれた後に、怪我の処置もされず一人にされたら不安だろう。ただの学生に、そんな不安を感じさせてはいけない。
学生は涙目になりながら、オレに向かってずっとごめんなさい、すみません、と連呼している。やっぱり、こんな学生を一人にしてはおけなかった。
「あの、あの、ごめんなさい、すみません、ごめんなさい……!」
「別に良いっての。気にすんな。それよりも、あいつらがな……どうするか」
誰か、あいつらを追える人が来てくれたら良いのに。そう考えるも、この辺り一帯は基本的に人がいない。ここらへんに風鈴生の家があるか記憶を探るが、オレの知る限りは居ない。
どうするか、そう考えていた時だった。
「……お前何してんだよ」
「あ?誰だ……って、お前こそなんでここいんだよ!」
そこに居たのは、遥だった。なぜコイツがここに居るのか訳が分からないが、オレは遥を見た瞬間、この状況を解決できるかもしれないと考えた。コイツに何が出来るのかは分からない。でも少なくとも、学生を守るくらいはできてほしかった。
オレは遥に頼む事にした。
「……なあ、遥」
「んだよ」
「この学生を見ててくれないか」
「はあ?なんで」
「コイツ、さっきチンピラどもに乱暴されてたんだよ。怪我してる。オレはチンピラとっ捕まえてくるから、コイツ見とけ」
よろしくとだけ言って、オレはチンピラを追おうと一歩踏み出してく。しかし後ろから、遥の待ったがかかった。
「おい待て」
「なんだよ!」
「オレに追わせろ」
遥から出た言葉は、あまりにも衝撃的な言葉だった。コイツにチンピラ複数人を追わせるなんて、考えていなかった。いや、考えていたが、実力が分からない以上、流石にやらせる訳にはいかないと思ったのだ。その考えを、目の前のコイツはやすやすとぶち壊してきた。なんていうヤツなんだ。
「は?お前大丈夫かよ!相手は複数人だったぞ」
「何人居たんだよ」
「……四人ぐらいだけど。お前さ、あの感じ一年だろ!まだ大っぴらに喧嘩する時期じゃねえよ!」
そこまで言うと、遥はオレを追い越して言った。
「うるせえ!オレは入学前から喧嘩に慣れてる。四人ぐらい楽勝だ。おい、チンピラはどこ行ったんだよ」
「…………」
「どこだ!」
実力の分からない一年。どこかに逃げたチンピラ。ボロボロになった学生。そしてオレ。どうすればいいか、だんだん状況が分からなくなっていく中、求められているのは迅速な判断だろう。
ここでうだうだとタラレバを垂れ流していても、それこそチンピラをまかせてしまうだろう。ならもう、コイツに任せてしまうのも、もしかしたら良いのかもしれない。やってダメだったら、オレがカバーしてやればいいんだ。
それに何より、遥の真っ直ぐな目を見て感じた。コイツはきっと、負けない。
「……だあ、分かったよ」
オレはなぜか笑ってしまいながら、目の前のコイツに対してこう言った。
「チンピラはあっちに行った。今すぐに追え。全員とっ捕まえろ。そしたら連絡よこせ。オレはここで学生をなんとかする。……任せたぞ、遥」
「おう」
遥は、任せとけと言わんばかりの表情を作ってから、素早く姿を消していった。どうなるかは分からないが、ここは一年に経験を積ませておけばいい。なにかあれば、オレがなんとかすればいいんだ。ここは一度、全て委ねよう。
「あ、あの、ありがとうございました……!」
「大丈夫だったか。怪我の処置は……コンビニで色々買うか。一緒に来い。一人で居たら心配だろ」
「……は、はい!」
「なんだありゃ……」
声と音がした場所まで辿り着くと、そこには数人のチンピラと、そのチンピラに囲まれ乱暴されている学生がいた。学生の方は制服を見る限り、近くの中学校のヤツだと思う。チンピラの方はよく分からないが、まあ学生に暴力を振るうあたり、まともな猿よりもろくじゃないという事は分かる。二つの意味で人でなしってわけか。
「うぅ……。や、やめてくださひ……」
「[太字]あぁ?やめてくださいだってぇ?そんな事言われて、素直にやめるヤツなんざいねぇよぉ![/太字]」
学生を一発殴るチンピラ。それを見てけらけらと笑う周りのチンピラ。本当に腹が立つ。反吐が出てしまう。
そう思って一秒も経たない時。オレがチンピラの一人に飛び蹴りをかましたのは、その時だった。
「[太字]ぼへぇ![/太字]」
チンピラは情けない声を出して、そこら辺に転がる。
「おいお前ら……。何オレが居るとこでだせえ事してんだよ。お前らみたいなヤツ見るとな、気持ちわりいんだよ……」
オレがそこまで言うと、飛び蹴りされたチンピラはギリギリ立ち上がって、オレを睨みつけた。
「おー、立ち上がる体力はあんだな。上等だよ。やれるもんならかかってこいや」
試しに脅しながら睨み返してみると、案の定チンピラ達は怖気づいて、その場を離れていった。
「逃げやがった。……クソが」
普通ならこれで一区切り、一件落着だが、オレはそうは思わない。あいつらをとっ捕まえて、なにか償いをさせる。そこまでやらないと、あいつらはまた同じ事を繰り返す。なんなら、もうあんな目に合いたくないと、より陰湿な方法を考えるだろう。それだけはダメだった。
「追うか?でもなあ……」
チンピラを追おうにも、そうするとこの学生が一人になる。それは危険すぎる。もしあいつらが戻ってきたら、この学生はまた苦しい思いをする事になる。それに、暴力を振るわれた後に、怪我の処置もされず一人にされたら不安だろう。ただの学生に、そんな不安を感じさせてはいけない。
学生は涙目になりながら、オレに向かってずっとごめんなさい、すみません、と連呼している。やっぱり、こんな学生を一人にしてはおけなかった。
「あの、あの、ごめんなさい、すみません、ごめんなさい……!」
「別に良いっての。気にすんな。それよりも、あいつらがな……どうするか」
誰か、あいつらを追える人が来てくれたら良いのに。そう考えるも、この辺り一帯は基本的に人がいない。ここらへんに風鈴生の家があるか記憶を探るが、オレの知る限りは居ない。
どうするか、そう考えていた時だった。
「……お前何してんだよ」
「あ?誰だ……って、お前こそなんでここいんだよ!」
そこに居たのは、遥だった。なぜコイツがここに居るのか訳が分からないが、オレは遥を見た瞬間、この状況を解決できるかもしれないと考えた。コイツに何が出来るのかは分からない。でも少なくとも、学生を守るくらいはできてほしかった。
オレは遥に頼む事にした。
「……なあ、遥」
「んだよ」
「この学生を見ててくれないか」
「はあ?なんで」
「コイツ、さっきチンピラどもに乱暴されてたんだよ。怪我してる。オレはチンピラとっ捕まえてくるから、コイツ見とけ」
よろしくとだけ言って、オレはチンピラを追おうと一歩踏み出してく。しかし後ろから、遥の待ったがかかった。
「おい待て」
「なんだよ!」
「オレに追わせろ」
遥から出た言葉は、あまりにも衝撃的な言葉だった。コイツにチンピラ複数人を追わせるなんて、考えていなかった。いや、考えていたが、実力が分からない以上、流石にやらせる訳にはいかないと思ったのだ。その考えを、目の前のコイツはやすやすとぶち壊してきた。なんていうヤツなんだ。
「は?お前大丈夫かよ!相手は複数人だったぞ」
「何人居たんだよ」
「……四人ぐらいだけど。お前さ、あの感じ一年だろ!まだ大っぴらに喧嘩する時期じゃねえよ!」
そこまで言うと、遥はオレを追い越して言った。
「うるせえ!オレは入学前から喧嘩に慣れてる。四人ぐらい楽勝だ。おい、チンピラはどこ行ったんだよ」
「…………」
「どこだ!」
実力の分からない一年。どこかに逃げたチンピラ。ボロボロになった学生。そしてオレ。どうすればいいか、だんだん状況が分からなくなっていく中、求められているのは迅速な判断だろう。
ここでうだうだとタラレバを垂れ流していても、それこそチンピラをまかせてしまうだろう。ならもう、コイツに任せてしまうのも、もしかしたら良いのかもしれない。やってダメだったら、オレがカバーしてやればいいんだ。
それに何より、遥の真っ直ぐな目を見て感じた。コイツはきっと、負けない。
「……だあ、分かったよ」
オレはなぜか笑ってしまいながら、目の前のコイツに対してこう言った。
「チンピラはあっちに行った。今すぐに追え。全員とっ捕まえろ。そしたら連絡よこせ。オレはここで学生をなんとかする。……任せたぞ、遥」
「おう」
遥は、任せとけと言わんばかりの表情を作ってから、素早く姿を消していった。どうなるかは分からないが、ここは一年に経験を積ませておけばいい。なにかあれば、オレがなんとかすればいいんだ。ここは一度、全て委ねよう。
「あ、あの、ありがとうございました……!」
「大丈夫だったか。怪我の処置は……コンビニで色々買うか。一緒に来い。一人で居たら心配だろ」
「……は、はい!」
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