世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
メルクはノイトが魔法で作ってくれた剣の柄をしっかりと握って街の中心の建物の最上階から飛び降りる。そして落下してすぐ、建物の壁を蹴って逃げ遅れた人たちが残されている街の方へと跳んでいった。
(街の端からあの大きな壁まではかなり距離があるし、今の段階では街の外側にある堀みたいなところに湖水が流れていっているだけで済んでいる。...溢れる前に逃げ遅れた人たちを避難させないと...!!)
「[斜体]うわあぁ!!壁の瓦礫がァ!![/斜体]」
[中央寄せ][太字][大文字][明朝体][斜体]『[漢字]灼愛射閼召[/漢字][ふりがな]ヤマナイアメ[/ふりがな]』[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
逃げ遅れた人たちの頭上から落ちてきた、崩れた壁の瓦礫を粉々に切り刻む。メルクの技は、スティレットを使って発動したときよりも威力が上がっている。
「大丈夫ですか?早く壁から離れて街の中心へ!!」
[大文字]「いや、脱出だ。」[/大文字]
口を挟んだのはドメリアス。メルクはドメリアスがつい先程まで地下の魔具の元でノイトと話していたことは知らない。
「えっと、...ドメリアスさんでしたっけ?脱出とは言っても、一体どうやって脱出するのですか...?」
ドメリアスは即答する。
「愚問だな。魔法だよ。ついさっき、君と一緒に居たノイトとか言うガキと話してきたんだがな...。俺はこんな街捨てて逃げることを勧めたんだ。」
「[斜体]!![/斜体]」
「だが...」
ドメリアスとメルクは石造りの街並みの先、都市の中心にそびえている建物を見る。
「どうもあのガキは諦める気はないそうだ。友達を信じてるんだとさ。そうやって死んでいった先人たちが数え切れないほど居たと言うのに。」
「ノイトくん...。」
メルクがノイトのことを考えている内に、ドメリアスは逃げ遅れた人たちを誘導する。
「とにかく、脱出が1番だ。あなたたちにとっては大事な故郷だったとしても、そこで起きた悲劇をただの歴史として見過ごすのはあまりにも勿体ない。[漢字]語り部[/漢字][ふりがな]メッセンジャー[/ふりがな]が必要なんだ。そのためにも、分かって欲しい。生き延びろ、語り部たち。」
逃げ遅れた人たちは少し寂しそうな表情をするが、ドメリアスの考えに納得してドメリアスの言うことを聞くことを決意する。
「話はまとまったな。それじゃあ、メルクと言ったか。その剣、貸してくれ。」
「えっと、これはノイトくんが作ってくれたもので...」
「魔法で一時的に形にしたものだろう。いずれ形を保てずに壊れる。それよりはマシな使い方をしてやるから、ほら。」
メルクは渋々ドメリアスに剣を渡した。ドメリアスは剣を受け取ると魔力を込めて剣の形を変えていく。ノイトが剣を魔法で作る時のようにぐにゃぐにゃとした銀色のスライムのようになってからやがて矢のような形になった。穴が空いた部分があり、ドメリアスはそこに自身のズボンのポケットから取り出した石をはめる。
「よし、これを上に向かって投げろ。湖のずっと上まで。」
「それ、私に言ってるんですか?」
「あぁ、そうだ。見たぞ、さっきの剣技。見事だった。あれだけ実力があれば出来るだろう。人命がかかっているんだ、早くしろ。」
メルクは不服そうな表情をするも矢を受け取り、黒いスタッズグローブのような魔具を手にはめる。そして、手のひらを矢にかざして魔法を唱えた。
[中央寄せ][斜体]上級魔術:[[漢字][太字]天突党[/太字][/漢字][ふりがな]バベル[/ふりがな]][/斜体][/中央寄せ]
銀の矢は空高くまで飛ばされ、街を覆う壁よりも高くまで飛んでいった。それを見たドメリアスは予め手を繋がせておいた、逃げ遅れた人たちのうちの1人の胴を掴んで呟く。
「上出来だ。」
そしてドメリアスは魔法を唱える。
[中央寄せ][[漢字][太字]位置置換[/太字][/漢字][ふりがな]サブスティチュート[/ふりがな]][/中央寄せ]
次の瞬間、メルクが投げた矢とドメリアスたちの位置が入れ替わり、銀の矢がメルクの元へ、ドメリアスたちが空中へと飛んでいった。ドメリアスはそのまま何か魔法を使用したらしく、さらに空中を蹴るようにして街を覆う壁の向こう側まで移動して消えていった。
メルクは他に逃げ遅れた人が居ないかを確認しながらノイトとリーリャの元へと戻ろうとしていたが、そこでまた壁の亀裂が広がったため、やむを得ず撤退することになった。街の中心へと駆けながらメルクは考える。
(結構亀裂が大きくなってきた...。そろそろ持たないかもしれない...ノイトくん、リーリャ、どうするの!?)
メルクは街の建物の上を軽々と飛び渡り、リーリャがいる建物の最上階へと戻る。
メルクはノイトが魔法で作ってくれた剣の柄をしっかりと握って街の中心の建物の最上階から飛び降りる。そして落下してすぐ、建物の壁を蹴って逃げ遅れた人たちが残されている街の方へと跳んでいった。
(街の端からあの大きな壁まではかなり距離があるし、今の段階では街の外側にある堀みたいなところに湖水が流れていっているだけで済んでいる。...溢れる前に逃げ遅れた人たちを避難させないと...!!)
「[斜体]うわあぁ!!壁の瓦礫がァ!![/斜体]」
[中央寄せ][太字][大文字][明朝体][斜体]『[漢字]灼愛射閼召[/漢字][ふりがな]ヤマナイアメ[/ふりがな]』[/斜体][/明朝体][/大文字][/太字][/中央寄せ]
逃げ遅れた人たちの頭上から落ちてきた、崩れた壁の瓦礫を粉々に切り刻む。メルクの技は、スティレットを使って発動したときよりも威力が上がっている。
「大丈夫ですか?早く壁から離れて街の中心へ!!」
[大文字]「いや、脱出だ。」[/大文字]
口を挟んだのはドメリアス。メルクはドメリアスがつい先程まで地下の魔具の元でノイトと話していたことは知らない。
「えっと、...ドメリアスさんでしたっけ?脱出とは言っても、一体どうやって脱出するのですか...?」
ドメリアスは即答する。
「愚問だな。魔法だよ。ついさっき、君と一緒に居たノイトとか言うガキと話してきたんだがな...。俺はこんな街捨てて逃げることを勧めたんだ。」
「[斜体]!![/斜体]」
「だが...」
ドメリアスとメルクは石造りの街並みの先、都市の中心にそびえている建物を見る。
「どうもあのガキは諦める気はないそうだ。友達を信じてるんだとさ。そうやって死んでいった先人たちが数え切れないほど居たと言うのに。」
「ノイトくん...。」
メルクがノイトのことを考えている内に、ドメリアスは逃げ遅れた人たちを誘導する。
「とにかく、脱出が1番だ。あなたたちにとっては大事な故郷だったとしても、そこで起きた悲劇をただの歴史として見過ごすのはあまりにも勿体ない。[漢字]語り部[/漢字][ふりがな]メッセンジャー[/ふりがな]が必要なんだ。そのためにも、分かって欲しい。生き延びろ、語り部たち。」
逃げ遅れた人たちは少し寂しそうな表情をするが、ドメリアスの考えに納得してドメリアスの言うことを聞くことを決意する。
「話はまとまったな。それじゃあ、メルクと言ったか。その剣、貸してくれ。」
「えっと、これはノイトくんが作ってくれたもので...」
「魔法で一時的に形にしたものだろう。いずれ形を保てずに壊れる。それよりはマシな使い方をしてやるから、ほら。」
メルクは渋々ドメリアスに剣を渡した。ドメリアスは剣を受け取ると魔力を込めて剣の形を変えていく。ノイトが剣を魔法で作る時のようにぐにゃぐにゃとした銀色のスライムのようになってからやがて矢のような形になった。穴が空いた部分があり、ドメリアスはそこに自身のズボンのポケットから取り出した石をはめる。
「よし、これを上に向かって投げろ。湖のずっと上まで。」
「それ、私に言ってるんですか?」
「あぁ、そうだ。見たぞ、さっきの剣技。見事だった。あれだけ実力があれば出来るだろう。人命がかかっているんだ、早くしろ。」
メルクは不服そうな表情をするも矢を受け取り、黒いスタッズグローブのような魔具を手にはめる。そして、手のひらを矢にかざして魔法を唱えた。
[中央寄せ][斜体]上級魔術:[[漢字][太字]天突党[/太字][/漢字][ふりがな]バベル[/ふりがな]][/斜体][/中央寄せ]
銀の矢は空高くまで飛ばされ、街を覆う壁よりも高くまで飛んでいった。それを見たドメリアスは予め手を繋がせておいた、逃げ遅れた人たちのうちの1人の胴を掴んで呟く。
「上出来だ。」
そしてドメリアスは魔法を唱える。
[中央寄せ][[漢字][太字]位置置換[/太字][/漢字][ふりがな]サブスティチュート[/ふりがな]][/中央寄せ]
次の瞬間、メルクが投げた矢とドメリアスたちの位置が入れ替わり、銀の矢がメルクの元へ、ドメリアスたちが空中へと飛んでいった。ドメリアスはそのまま何か魔法を使用したらしく、さらに空中を蹴るようにして街を覆う壁の向こう側まで移動して消えていった。
メルクは他に逃げ遅れた人が居ないかを確認しながらノイトとリーリャの元へと戻ろうとしていたが、そこでまた壁の亀裂が広がったため、やむを得ず撤退することになった。街の中心へと駆けながらメルクは考える。
(結構亀裂が大きくなってきた...。そろそろ持たないかもしれない...ノイトくん、リーリャ、どうするの!?)
メルクは街の建物の上を軽々と飛び渡り、リーリャがいる建物の最上階へと戻る。