世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトとメルクはこの都市の最深部にある古代の魔具の元へと辿り着いた。古代の魔具はノイトたちの十数倍はあろう直径の青い球体で、この都市のさらに下から流れる魔力を調整するリアクトルのようなもののようだ。2人は激しく光っていて魔力を噴き出そうとしている魔具の様子を見て冷や汗をかいている。
「ノイトくん...これって...。」
「うん...ちょっとまずいかもね。思ってたよりも頑張りすぎてたみたいだ。メル、こっちは僕がなんとかする。リーリャの方に行ってあげて。」
ノイトは魔具から目を話さずにメルクにそう言った。メルクはノイトの背中から心情を察し、リーリャの方へと向かう。
[中央寄せ][[太字][漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな][/太字]][/中央寄せ]
メルクがリーリャの元へと移動した後、ノイトは今にも壊れそうな魔具をどうするかを考える。
(古代の魔具だ...誰かがこれを止めようとしても止められないように魔法を反射する魔法でもかかっているだろうし、僕が知っている大抵の魔具は効果がないだろうな...。どの道この魔具にもうしばらく我慢して貰うしかない...どうする?)
そこで後ろから足音が聞こえたような気がして、ノイトは振り返った。振り返った先にいたのはドメリアス。異様なほどに静かなこの空間ではカツカツという足音がよく響く。
「運が悪かったな...。せっかくこの街に来たばかりだってのに、今すぐここから離れなきゃ命を落とすかもしれないってなるのは気の毒だ。」
「どうにかしてこの魔具をもっと持たせる方法はありませんか?」
ノイトの率直な意見にドメリアスは少し困惑しているようだ。流石にここまで大きな魔具を弄るのは危険だと考えているのだろう。それでもノイトは諦めない。
「僕の友達が、この上でこの街を守るために頑張っているんです。僕も何か出来ることを...」
[大文字]「そんなものはない。」[/大文字]
ドメリアスは冷たく、しかし悔しそうにその言葉を言い捨てるように放った。
「俺も調査員...これでも研究者の端くれだ。今までにこんな状況に陥って救われたという史実は一切ない。無理なものは無理だ。何も君みたいな若い子が必死こいてこんな街一つ守る義務なんかない。さっさと陸上に戻る方がよっぽど賢明だ。」
「...それでも、僕は僕の友達の力を信じます。...僕の心配をするくらいであれば、あなたの方こそさっさと逃げた方が良いですよ。」
俯いて手を握りしめるノイトの言葉を聞いてドメリアスはため息をつく。
「ハァ...。それなら、そうさせて貰うとするよ。忠告はしたからな。」
「されましたよ。でも、聞きません。」
「そうか。」
ドメリアスの足音がどんどん遠くなっていくのを感じながらノイトは目の前の巨大な魔具をじっと見据える。
(僕は転生者...そして、リーリャと...、多分メルクも同じだ。転生者がこの街一つのために必死に足掻いて、限界まで諦めずに抗ったらどうなるのか...試してみる価値は十分にある!)
ノイトは革の手袋の魔具を手にはめて目の前へとかざす。
(ごめんなさい...上級魔道士のお兄さん...!!あなたなしでこの魔法を使ったら何が起こるか分からない...でも、ここで僕がやらなきゃみんなが!)
[中央寄せ][太字][明朝体]禁忌魔法:[大文字]『[漢字]時[/漢字][ふりがな]と[/ふりがな]...![/明朝体][明朝体]![/大文字][/明朝体][/太字][/中央寄せ]
[大文字][斜体][太字][明朝体]ゲホッゴホッガハッ...!![/明朝体][/太字][/斜体][/大文字]
ノイトが禁忌魔法を使おうとするとノイトは咳き込んだ。いきなり肺に激痛が走ったのだ。
(身体が...言うことを聞かない...なるほど、そういうことか...[漢字]縛られてた[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]のか...!!)
ノイトは思わず膝をついて崩れ落ちてしまったが、まだ諦めない。
(せめて...少しだけでも時間稼ぎを...!!リーリャのために!!)
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
リーリャは[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]で具現化されたピアノに近づき、そっと鍵に指を添える。指先から伝わってくる冷たい感覚と共に前世の記憶がまた少し蘇ってきた。指がピアノの鍵を押そうとしたときに、街の方から叫び声が聞こえる。ハッとしてリーリャが振り返ると、街を覆う壁の亀裂が広がっていて、先程よりも大量の湖水が流れ込んできている。リーリャは咄嗟にピアノの椅子から立とうとするが、ここからでは間に合わない。それに、もし壁の方へと移動している間に壁が壊れたりしたら全員が冷たい湖の底にし沈むことになってしまう。
(どうする!今からじゃ間に合わない...!!でも、見捨てられない!だけどそれじゃあこの街が!あぁ...!!どうすれば?!どうすればいいの!?...ノイト[漢字]だったら[/漢字][ふりがな]・・・・[/ふりがな]、こんなときどうするの...?)
ノイトは魔神戦では自分への負担を顧みずに無理やり[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を飲んで戦い続けていた。
(私も...ノイトみたいに...!!)
「あちゃ〜、こりゃあ酷い有り様だねぇ...。」
リーリャが椅子から立ち上がろうとしたその瞬間、後ろから歩いてきたのは銀色の剣を持ったメルクだった。本性丸出しの喋り方だったが、そのときのリーリャの目にはとても頼もしく映る。
「メルク、お願い!!まだあそこにいる逃げ遅れた人たちを助けてあげて!!」
メルクはニヤリと笑って剣先を建物の外へと向ける。
「任せて!!私はノイトくんにそう頼まれてきたから!!」
ノイトとメルクはこの都市の最深部にある古代の魔具の元へと辿り着いた。古代の魔具はノイトたちの十数倍はあろう直径の青い球体で、この都市のさらに下から流れる魔力を調整するリアクトルのようなもののようだ。2人は激しく光っていて魔力を噴き出そうとしている魔具の様子を見て冷や汗をかいている。
「ノイトくん...これって...。」
「うん...ちょっとまずいかもね。思ってたよりも頑張りすぎてたみたいだ。メル、こっちは僕がなんとかする。リーリャの方に行ってあげて。」
ノイトは魔具から目を話さずにメルクにそう言った。メルクはノイトの背中から心情を察し、リーリャの方へと向かう。
[中央寄せ][[太字][漢字]瞬間移動[/漢字][ふりがな]ワープ[/ふりがな][/太字]][/中央寄せ]
メルクがリーリャの元へと移動した後、ノイトは今にも壊れそうな魔具をどうするかを考える。
(古代の魔具だ...誰かがこれを止めようとしても止められないように魔法を反射する魔法でもかかっているだろうし、僕が知っている大抵の魔具は効果がないだろうな...。どの道この魔具にもうしばらく我慢して貰うしかない...どうする?)
そこで後ろから足音が聞こえたような気がして、ノイトは振り返った。振り返った先にいたのはドメリアス。異様なほどに静かなこの空間ではカツカツという足音がよく響く。
「運が悪かったな...。せっかくこの街に来たばかりだってのに、今すぐここから離れなきゃ命を落とすかもしれないってなるのは気の毒だ。」
「どうにかしてこの魔具をもっと持たせる方法はありませんか?」
ノイトの率直な意見にドメリアスは少し困惑しているようだ。流石にここまで大きな魔具を弄るのは危険だと考えているのだろう。それでもノイトは諦めない。
「僕の友達が、この上でこの街を守るために頑張っているんです。僕も何か出来ることを...」
[大文字]「そんなものはない。」[/大文字]
ドメリアスは冷たく、しかし悔しそうにその言葉を言い捨てるように放った。
「俺も調査員...これでも研究者の端くれだ。今までにこんな状況に陥って救われたという史実は一切ない。無理なものは無理だ。何も君みたいな若い子が必死こいてこんな街一つ守る義務なんかない。さっさと陸上に戻る方がよっぽど賢明だ。」
「...それでも、僕は僕の友達の力を信じます。...僕の心配をするくらいであれば、あなたの方こそさっさと逃げた方が良いですよ。」
俯いて手を握りしめるノイトの言葉を聞いてドメリアスはため息をつく。
「ハァ...。それなら、そうさせて貰うとするよ。忠告はしたからな。」
「されましたよ。でも、聞きません。」
「そうか。」
ドメリアスの足音がどんどん遠くなっていくのを感じながらノイトは目の前の巨大な魔具をじっと見据える。
(僕は転生者...そして、リーリャと...、多分メルクも同じだ。転生者がこの街一つのために必死に足掻いて、限界まで諦めずに抗ったらどうなるのか...試してみる価値は十分にある!)
ノイトは革の手袋の魔具を手にはめて目の前へとかざす。
(ごめんなさい...上級魔道士のお兄さん...!!あなたなしでこの魔法を使ったら何が起こるか分からない...でも、ここで僕がやらなきゃみんなが!)
[中央寄せ][太字][明朝体]禁忌魔法:[大文字]『[漢字]時[/漢字][ふりがな]と[/ふりがな]...![/明朝体][明朝体]![/大文字][/明朝体][/太字][/中央寄せ]
[大文字][斜体][太字][明朝体]ゲホッゴホッガハッ...!![/明朝体][/太字][/斜体][/大文字]
ノイトが禁忌魔法を使おうとするとノイトは咳き込んだ。いきなり肺に激痛が走ったのだ。
(身体が...言うことを聞かない...なるほど、そういうことか...[漢字]縛られてた[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]のか...!!)
ノイトは思わず膝をついて崩れ落ちてしまったが、まだ諦めない。
(せめて...少しだけでも時間稼ぎを...!!リーリャのために!!)
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
リーリャは[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]で具現化されたピアノに近づき、そっと鍵に指を添える。指先から伝わってくる冷たい感覚と共に前世の記憶がまた少し蘇ってきた。指がピアノの鍵を押そうとしたときに、街の方から叫び声が聞こえる。ハッとしてリーリャが振り返ると、街を覆う壁の亀裂が広がっていて、先程よりも大量の湖水が流れ込んできている。リーリャは咄嗟にピアノの椅子から立とうとするが、ここからでは間に合わない。それに、もし壁の方へと移動している間に壁が壊れたりしたら全員が冷たい湖の底にし沈むことになってしまう。
(どうする!今からじゃ間に合わない...!!でも、見捨てられない!だけどそれじゃあこの街が!あぁ...!!どうすれば?!どうすればいいの!?...ノイト[漢字]だったら[/漢字][ふりがな]・・・・[/ふりがな]、こんなときどうするの...?)
ノイトは魔神戦では自分への負担を顧みずに無理やり[漢字]回復薬[/漢字][ふりがな]ポーション[/ふりがな]を飲んで戦い続けていた。
(私も...ノイトみたいに...!!)
「あちゃ〜、こりゃあ酷い有り様だねぇ...。」
リーリャが椅子から立ち上がろうとしたその瞬間、後ろから歩いてきたのは銀色の剣を持ったメルクだった。本性丸出しの喋り方だったが、そのときのリーリャの目にはとても頼もしく映る。
「メルク、お願い!!まだあそこにいる逃げ遅れた人たちを助けてあげて!!」
メルクはニヤリと笑って剣先を建物の外へと向ける。
「任せて!!私はノイトくんにそう頼まれてきたから!!」