世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
3人は水中都市·ウォルディードの中枢部へと向かっていた。
「ねぇノイトくん、もしかして魔具の様子を見に行くの?」
ノイトは振り返ってメルクの質問に答える。
「そうだね、随分古いものらしいからいつ壊れてもおかしくない。必要に応じて魔力による補強や魔法の上書きを施す必要がありそうだな。」
「でも、ノイトが安定して魔力を供給出来るのは長くて数日だとか言ってなかった?」
リーリャはちゃっかりノイトの右の袖を掴んでいて、ノイトはそれに気づいているもののそのことに関しては何も言わない。
「膨大な魔力を安定した状態で供給、となると確かに僕でも長くは持たないけど...別に僕がやる必要はないんだよ。絶対にやらせる気はないけど、多分リーリャの魔法で魔力を供給しながら僕がリーリャを回復させ続ければしばらくは持つだろうね。」
リーリャはノイトの言葉を聞いて静かに頷く。
「うん、やだよ。ノイトが一緒に居てくれるとしても流石に飽きちゃうよ。」
「随分素直にものを言うようになったね、リーリャ。それとも、昨日から今日まで私に見せていなかっただけでノイトくんだけに見せてたのかな〜?」
メルクの言葉を聞いてノイトはリーリャの反応を見る。リーリャは慌てて両手を顔の前で振って少し赤くなった顔を隠そうとしていた。
「べ、別にそういうわけじゃ...。...でも、ノイトと一緒に居るとちょっと安心できるのは、本当だよ。」
「そっか...なら、良かったよ。」
メルクは相変わらず素直なノイトの答えを聞いて少しむっとする。
「ねぇ、ノイトくん。ノイトくんはどうしてそんなに素直で居られるの?」
「そうだね、[漢字]誰か[/漢字][ふりがな](メル)[/ふりがな]と違ってツンデレじゃないし、性格が歪んではないからかな〜。」
「ちょっと、誰がツンデレなの?」
ノイトは頬を膨らませながら詰め寄ってきたメルクをスルーしながら街並みを観察する。
(こうして街中を歩いてみているけど、地上の街の建物と大して変わらないな。幻覚魔法のせいで水中にいるみたいに魚や海藻があるように見えるけど...。)
そうこうしているうちに、都市の中枢部に辿り着いた。
「ドメリアスさんは確か、この下に魔具があるって言ってたよね。」
「そうだよ、きっと。少しだけ魚とか水中っぽい幻覚が強くなってるみたいだし...。」
メルクは辺りの幻覚の様子を観察している。リーリャは念の為、白い手袋の魔具を手にはめておこうとしたが、丁度そのときだった。都市全体が大きく揺れ、何かにヒビが入って崩れたような音が鳴り響いた。
「...!!タイミング悪っ、丁度壊れたんじゃないのかこれ?リーリャ、その魔具じゃなくて[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]の方が良い。僕とメルが時間を稼ぐからその内に首にかけちゃって。それと、演奏は音がこの街全土に聞こえる場所まで移動してからで。」
「分かった!」
メルクは走り出したノイトの後に着いていく。街の中心の大きな石の建造物の近くにあった階段を下り、さらに深い場所へと降りていく。
([斜体]間に合え...!![/斜体])
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
リーリャは街の中心の石で出来た建造物に入り、上へと続く階段を駆け上がっていっていた。
(急がないと...!!ノイトに任されたんだよ、ちゃんと期待に応えないとノイトを困らせちゃう...!!)
綺麗に切り取られた石で出来た階段を、途中で転ばないように慎重に、しかし急いで上っていく。やがて階段の通路の窓から屋外が見えるようになる。窓からは街全体が見える。
(ここからなら街全体が見える...。ここならきっと!! ...あれ?)
リーリャは階段を駆け上がりながらふと疑問を思い浮かべる。先程まであれほど強かった幻覚魔法が弱くなっているのか、水中に居たような視界がまるで陸上に戻ったのかのようになっている。そして、先程よりもよく見えるようになっていった街はその正体を現す。それを見たリーリャは思わず一瞬だけ足を止めてしまう。
「え...?」
なんと、この街の端には巨大な壁が広がっていたのだ。この水中都市・ウォルディードは、巨大な石の円い机のような台上に広がっているものである。そして、街の端から少し離れた所に街を囲うように円筒上の壁が広がっている。つい先程の揺れの衝撃で壁に亀裂が入り、湖水が流れ込もうとしているのが分かる。
「い、急がないと...!!」
リーリャは再び階段を駆け上がり、やがて最上階へと到着した。石造りの天井を同じ石を削って作られた柱が支えていて、柱の隙間から街の全てが見渡せる。
「よし...ここでなら、出来る...!!」
3人は水中都市·ウォルディードの中枢部へと向かっていた。
「ねぇノイトくん、もしかして魔具の様子を見に行くの?」
ノイトは振り返ってメルクの質問に答える。
「そうだね、随分古いものらしいからいつ壊れてもおかしくない。必要に応じて魔力による補強や魔法の上書きを施す必要がありそうだな。」
「でも、ノイトが安定して魔力を供給出来るのは長くて数日だとか言ってなかった?」
リーリャはちゃっかりノイトの右の袖を掴んでいて、ノイトはそれに気づいているもののそのことに関しては何も言わない。
「膨大な魔力を安定した状態で供給、となると確かに僕でも長くは持たないけど...別に僕がやる必要はないんだよ。絶対にやらせる気はないけど、多分リーリャの魔法で魔力を供給しながら僕がリーリャを回復させ続ければしばらくは持つだろうね。」
リーリャはノイトの言葉を聞いて静かに頷く。
「うん、やだよ。ノイトが一緒に居てくれるとしても流石に飽きちゃうよ。」
「随分素直にものを言うようになったね、リーリャ。それとも、昨日から今日まで私に見せていなかっただけでノイトくんだけに見せてたのかな〜?」
メルクの言葉を聞いてノイトはリーリャの反応を見る。リーリャは慌てて両手を顔の前で振って少し赤くなった顔を隠そうとしていた。
「べ、別にそういうわけじゃ...。...でも、ノイトと一緒に居るとちょっと安心できるのは、本当だよ。」
「そっか...なら、良かったよ。」
メルクは相変わらず素直なノイトの答えを聞いて少しむっとする。
「ねぇ、ノイトくん。ノイトくんはどうしてそんなに素直で居られるの?」
「そうだね、[漢字]誰か[/漢字][ふりがな](メル)[/ふりがな]と違ってツンデレじゃないし、性格が歪んではないからかな〜。」
「ちょっと、誰がツンデレなの?」
ノイトは頬を膨らませながら詰め寄ってきたメルクをスルーしながら街並みを観察する。
(こうして街中を歩いてみているけど、地上の街の建物と大して変わらないな。幻覚魔法のせいで水中にいるみたいに魚や海藻があるように見えるけど...。)
そうこうしているうちに、都市の中枢部に辿り着いた。
「ドメリアスさんは確か、この下に魔具があるって言ってたよね。」
「そうだよ、きっと。少しだけ魚とか水中っぽい幻覚が強くなってるみたいだし...。」
メルクは辺りの幻覚の様子を観察している。リーリャは念の為、白い手袋の魔具を手にはめておこうとしたが、丁度そのときだった。都市全体が大きく揺れ、何かにヒビが入って崩れたような音が鳴り響いた。
「...!!タイミング悪っ、丁度壊れたんじゃないのかこれ?リーリャ、その魔具じゃなくて[漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]の方が良い。僕とメルが時間を稼ぐからその内に首にかけちゃって。それと、演奏は音がこの街全土に聞こえる場所まで移動してからで。」
「分かった!」
メルクは走り出したノイトの後に着いていく。街の中心の大きな石の建造物の近くにあった階段を下り、さらに深い場所へと降りていく。
([斜体]間に合え...!![/斜体])
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
リーリャは街の中心の石で出来た建造物に入り、上へと続く階段を駆け上がっていっていた。
(急がないと...!!ノイトに任されたんだよ、ちゃんと期待に応えないとノイトを困らせちゃう...!!)
綺麗に切り取られた石で出来た階段を、途中で転ばないように慎重に、しかし急いで上っていく。やがて階段の通路の窓から屋外が見えるようになる。窓からは街全体が見える。
(ここからなら街全体が見える...。ここならきっと!! ...あれ?)
リーリャは階段を駆け上がりながらふと疑問を思い浮かべる。先程まであれほど強かった幻覚魔法が弱くなっているのか、水中に居たような視界がまるで陸上に戻ったのかのようになっている。そして、先程よりもよく見えるようになっていった街はその正体を現す。それを見たリーリャは思わず一瞬だけ足を止めてしまう。
「え...?」
なんと、この街の端には巨大な壁が広がっていたのだ。この水中都市・ウォルディードは、巨大な石の円い机のような台上に広がっているものである。そして、街の端から少し離れた所に街を囲うように円筒上の壁が広がっている。つい先程の揺れの衝撃で壁に亀裂が入り、湖水が流れ込もうとしているのが分かる。
「い、急がないと...!!」
リーリャは再び階段を駆け上がり、やがて最上階へと到着した。石造りの天井を同じ石を削って作られた柱が支えていて、柱の隙間から街の全てが見渡せる。
「よし...ここでなら、出来る...!!」