世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
夜の砂漠は肌寒く、防寒具なしで過ごすことは難しい。そして今、この馬車の上に御者を除く3人が居て、そのうちの1人だけがブランケットを持っている。つまりどうなるか?ブランケットの取り合いの末の[漢字]同衾共枕[/漢字][ふりがな]きょうゆう[/ふりがな]。
「ノイト、さっきの商人からブランケット買っておいて正解だったね!」
「馬車の上で共に一晩過ごす男女。当然何も起きな、[斜体][大文字]ングゥッ[/大文字][/斜体]」
メルクの口を塞ぐノイトはリーリャとメルクに寄り添われている形でブランケットを共有していた。
「狭いから離れて。僕が買ったブランケットだよ!」
「ノイト、きっと今までに同じような状況に陥ったら私と一緒に寝てたでしょ?ノイトは優しいもんね。貸してくれて、ありがとう!」
「勝手に自己完結させないで、僕はまだ何も言ってない!」
ノイトはリーリャが引き寄せていくブランケットを引っ張って抑える。
「ちょっと、リーリャ?あんまり引っ張らないでね!」
「ノイトくん、寒い...」
メルクはブランケットをリーリャとは逆方向に引っ張る。
「ちょっと、ブランケット破けちゃうから2人とも引っ張んないでよ!」
次の瞬間。
[中央寄せ][大文字][斜体]ブチブチブチッ[/斜体][/大文字][/中央寄せ]
ブランケットが破けてしまった。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
夜の砂漠を進む馬車が1台。そこには少年少女がいる。少年は御者に代わって馬を引いていて、荷台の上には破れたブランケットをかけて寝ている御者。そして、正座をして俯いている2人の少女が居た。
「ノイト...ごめんなさい...。」
「ノイトくん、ごめんね...。」
ノイトは手綱を握って仮眠を取っている御者の代わりに前方をじっと見ている。リーリャとメルクはブランケットを引っ張って破いた罪でブランケットなしで寝ることになった。ちなみにノイトはマジックバッグの中に他のブランケットを1枚だけ仕込ませてあったのだが、それを今思い出した。
(ブランケットをもう1枚持っていたのを忘れた罪で御者さんが起きるまで馬を引く...人を咎める筋合いあるか?...いや、帳消しには出来ないか。ちゃんとお金で買ってたんだし。)
後ろから女子2人の反省の声が聞こえる。
(そろそろ許してあげたいけど、ブランケットなしで寝るように言っちゃったし、今から撤回してもそれはそれで面倒なことに繋がりかねないし...。)
そのとき、ノイトは前方に何か魔物がいることに気がつく。念の為リーリャとメルクに声をかけておくことにした。
「リーリャ、メル、魔物が居るみたいだから気をつけて。」
「魔物?砂漠だからサンドワームとかかな?」
「私が照らしてみるね。」
メルクはローブの中から黒いスタッズグローブのようなものを取り出して手にはめる。そしてメルクは手を馬車の前方にかざして魔術を唱えた。
[中央寄せ][[太字][漢字]天照[/漢字][ふりがな]アマテラス[/ふりがな][/太字]][/中央寄せ]
ノイトが魔法を使ったときと同じように、メルクの手袋の手のひらの部分から光が放たれた。光が映し出した魔物は蛇のようだ。しかし、巨大な蛇である。頭だけでも馬車の3倍はあろう高さを持つ巨体でこちらに向かってきている。
「メル、あいつのこと任せて良い?」
「もちろん!私もノイトくんの仲間なんだから、役に立たないとノイトくんに恥かかせちゃうでしょ!」
ノイトが馬車を止めると、メルクはスティレットを取り出して馬車から降りて来た。そしてノイトに話しかける。
「ねぇノイトくん。もしあいつのこと倒せたらあとでご褒美頂戴ね?」
「やめろやめろ、変なフラグを立てるなって。」
「え〜、冒険にはスリルが付き物でしょ?やりがいだって感じるし!」
「魔物1体にわざわざやりがいを見出さなくても良いから。ほら、さっさと頼むよ。」
メルクはやや物足りないようだが、ノイトの言葉に頷いて蛇の魔物に立ち向かう。リーリャは馬車の荷台の上でメルクと蛇の魔物の戦闘の末を見守ろうとしていた。
「蛇か...蛇ねぇ...?...見た目通り[漢字]重い[/漢字][ふりがな]ヘビー[/ふりがな]かな?」
「さっさと行け〜」
ノイトに言われてようやくメルクは構えた。蛇が大きく口を開けてその勢いのまま馬車を丸呑みしようとしている。
「ハァ...まったく。そんなに私にキスしたいの?」
ため息をついたメルクは砂の地面を蹴って蛇の魔物に向かって跳びかかった。
「悪いけど、初めてのキスはノイトにもらうから!」
(メル、今変なフラグ立てたな...。大丈夫か...?)
夜の砂漠は肌寒く、防寒具なしで過ごすことは難しい。そして今、この馬車の上に御者を除く3人が居て、そのうちの1人だけがブランケットを持っている。つまりどうなるか?ブランケットの取り合いの末の[漢字]同衾共枕[/漢字][ふりがな]きょうゆう[/ふりがな]。
「ノイト、さっきの商人からブランケット買っておいて正解だったね!」
「馬車の上で共に一晩過ごす男女。当然何も起きな、[斜体][大文字]ングゥッ[/大文字][/斜体]」
メルクの口を塞ぐノイトはリーリャとメルクに寄り添われている形でブランケットを共有していた。
「狭いから離れて。僕が買ったブランケットだよ!」
「ノイト、きっと今までに同じような状況に陥ったら私と一緒に寝てたでしょ?ノイトは優しいもんね。貸してくれて、ありがとう!」
「勝手に自己完結させないで、僕はまだ何も言ってない!」
ノイトはリーリャが引き寄せていくブランケットを引っ張って抑える。
「ちょっと、リーリャ?あんまり引っ張らないでね!」
「ノイトくん、寒い...」
メルクはブランケットをリーリャとは逆方向に引っ張る。
「ちょっと、ブランケット破けちゃうから2人とも引っ張んないでよ!」
次の瞬間。
[中央寄せ][大文字][斜体]ブチブチブチッ[/斜体][/大文字][/中央寄せ]
ブランケットが破けてしまった。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
夜の砂漠を進む馬車が1台。そこには少年少女がいる。少年は御者に代わって馬を引いていて、荷台の上には破れたブランケットをかけて寝ている御者。そして、正座をして俯いている2人の少女が居た。
「ノイト...ごめんなさい...。」
「ノイトくん、ごめんね...。」
ノイトは手綱を握って仮眠を取っている御者の代わりに前方をじっと見ている。リーリャとメルクはブランケットを引っ張って破いた罪でブランケットなしで寝ることになった。ちなみにノイトはマジックバッグの中に他のブランケットを1枚だけ仕込ませてあったのだが、それを今思い出した。
(ブランケットをもう1枚持っていたのを忘れた罪で御者さんが起きるまで馬を引く...人を咎める筋合いあるか?...いや、帳消しには出来ないか。ちゃんとお金で買ってたんだし。)
後ろから女子2人の反省の声が聞こえる。
(そろそろ許してあげたいけど、ブランケットなしで寝るように言っちゃったし、今から撤回してもそれはそれで面倒なことに繋がりかねないし...。)
そのとき、ノイトは前方に何か魔物がいることに気がつく。念の為リーリャとメルクに声をかけておくことにした。
「リーリャ、メル、魔物が居るみたいだから気をつけて。」
「魔物?砂漠だからサンドワームとかかな?」
「私が照らしてみるね。」
メルクはローブの中から黒いスタッズグローブのようなものを取り出して手にはめる。そしてメルクは手を馬車の前方にかざして魔術を唱えた。
[中央寄せ][[太字][漢字]天照[/漢字][ふりがな]アマテラス[/ふりがな][/太字]][/中央寄せ]
ノイトが魔法を使ったときと同じように、メルクの手袋の手のひらの部分から光が放たれた。光が映し出した魔物は蛇のようだ。しかし、巨大な蛇である。頭だけでも馬車の3倍はあろう高さを持つ巨体でこちらに向かってきている。
「メル、あいつのこと任せて良い?」
「もちろん!私もノイトくんの仲間なんだから、役に立たないとノイトくんに恥かかせちゃうでしょ!」
ノイトが馬車を止めると、メルクはスティレットを取り出して馬車から降りて来た。そしてノイトに話しかける。
「ねぇノイトくん。もしあいつのこと倒せたらあとでご褒美頂戴ね?」
「やめろやめろ、変なフラグを立てるなって。」
「え〜、冒険にはスリルが付き物でしょ?やりがいだって感じるし!」
「魔物1体にわざわざやりがいを見出さなくても良いから。ほら、さっさと頼むよ。」
メルクはやや物足りないようだが、ノイトの言葉に頷いて蛇の魔物に立ち向かう。リーリャは馬車の荷台の上でメルクと蛇の魔物の戦闘の末を見守ろうとしていた。
「蛇か...蛇ねぇ...?...見た目通り[漢字]重い[/漢字][ふりがな]ヘビー[/ふりがな]かな?」
「さっさと行け〜」
ノイトに言われてようやくメルクは構えた。蛇が大きく口を開けてその勢いのまま馬車を丸呑みしようとしている。
「ハァ...まったく。そんなに私にキスしたいの?」
ため息をついたメルクは砂の地面を蹴って蛇の魔物に向かって跳びかかった。
「悪いけど、初めてのキスはノイトにもらうから!」
(メル、今変なフラグ立てたな...。大丈夫か...?)