世界に溢れる夢
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイト、リーリャ、メルクの3人は馬車に揺られて夕日に照らされる砂漠の上を進んでいた。
「あ、そうだ。ノイトくん、私のことはメルって呼んでいいよ。そっちの方が距離も近くなりそうだし!」
「あ、うん。分かった。」
ノイトは学んだ。余計なことは言わぬが仏。だが、脳内にはツッコミが勝手に浮かんでくるものらしい。
(リーリャにはそのままでメルクで呼んで欲しいのかな...?)
「ねぇノイト、夕日が綺麗だよ!」
リーリャの言葉にメルクが反応してニヤけた。
「へぇ〜、案外積極的じゃん。やるね、リーリャ。」
「えっ!違う、そういう意味じゃ、ない!」
どんどん顔が赤くなっていくリーリャの様子を見ていなかったノイトは気が付いていない。ノイトは夕日を見て考え事をしていた。
(ノルティーク大陸の音楽堂も残すはあと一つ。リーリャの記憶が元に戻ればいいんだけど...。もしダメだったらどうしようかな...?別の大陸まで行くとなると流石に[漢字]時計塔[/漢字][ふりがな]うち[/ふりがな]の掃除を誰かに頼んでおきたいな...。)
「ノイトくん?どうしたの、ボーっと夕日なんか見つめちゃって。顔赤いよ?」
「太陽の光が当たってるからでしょ。」
ノイトはメルクのツッコミのようなボケのようなものに言い返してからそっと自分の顔の温度を確かめる。手に伝わってきた熱はさほど熱くない。本当に太陽の光が当たって赤くみえただけだった。朱に交われば赤くなる、なんてあくまでも諺でしかない。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトは最初はメルクがやや面倒な人物だと思っていたが、今は違う。メルクが仲間になって変わったものがある。話題が尽きたときでも必ず会話が続くのだ。今まではノイトもリーリャもどちらかと言えば大人しい性格だったため互いに自然風景を眺めることで静かな時間を共有していた。しかし今はメルクが加わったことでリーリャも自分の意見を言うようになり、互いの話をすることで経験を共有している。リーリャの性格が少しずつ変わってきていることに気が付いたノイトの脳内にあることわざが浮かび上がってきた。
朱に交われば赤くなる?そうだね、さっき否定したのは取り消しで。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
やがて夕日は完全に沈み、砂漠に夜が来た。ノイトは夜の砂漠が冷えることを知っていたため、ブランケットを先程闘技場の前で声をかけてくれた商人から買っていた。今はそれを自身の両肩にかけている。メルクが[打消し]一方的に[/打消し]リーリャに語るのに飽き始め、今度はノイトやリーリャからの質問を受け付け始めた。
「それじゃあ今度は私が答える番!どんな質問でもばっちこーい!」
(温度差がスゴい...ここ、砂漠だからか?)
ノイトは2種類の温度差を感じながらメルクに質問をする。
「じゃあ質問。最初は敬語だったのに今はスゴくフランク(で面倒)になってるのはどうして?」
メルクはノイトの質問に大げさなリアクションをして確認をした。
「おぉ〜!それ聞いちゃう?聞いちゃうの?後悔しない?絶対?絶対だよ?!」
「しつこいな...良いから答えるなら答えちゃって。」
メルクは自身の頬に指を添えて何かを思い出しているかのようにしながら答える。
「あ〜、それはね?私が居た組織でなんか敬語を使わないとはしたない女に見られるぞ〜、って言われたんだよ。」
メルクの答えを聞いてリーリャが掘り下げる。
「誰に?」
「ボスだよ。」
その言葉にノイトは思考を巡らせた。
(ボス...アクレウスも口走っていたな。何かの組織があるのは確かだろう。封魔の遺殿の近くの森にいた[漢字]惑霊の御鹿[/漢字][ふりがな]アム・セール[/ふりがな]の洗脳も気になる...。そう言えば、昏迷の森と迷宮都市・モスクルで会った男もまだ見つかった報告がないな...。)
ノイトが考えていることなど知る由もないリーリャは質問を続けている。メルクが夢中になって答えているときにリーリャは寒いからと言ってこっそりノイトが羽織っているブランケットの中に入ってきた。
「その組織ってどんなところなの?」
「ん〜、なんか魔神を復活させて世界を混沌に落とす...みたいな漠然としててよく分からないこと言ってたかな〜?」
メルクの発言がどう考えても貴重な情報であることを実感して、ノイトはメルクを重要な情報源だと捉える。
「メル、お陰でこの先は苦労することも少なくなると思う。ありがとう。」
「え...?何?私、告られたの?」
「違う。」
リーリャは2人の会話に齟齬があるのを感じながらメルクに話しかける。
「私も、メルクみたいに強い人が仲間になってくれて嬉しいよ!話とかリアクションも面白いし!」
2人から感謝され、慣れていないことをされたメルクは顔を赤くして照れた。
「えと...そんな...、どう...いたしまして...?」
紅潮した顔には困惑と喜びが混ざっている。指で髪の左の触覚部分を弄りながら目をそらしている様子は可愛らしい。そんなメルクの様子を見てノイトとリーリャは笑っている。
「あれ?照れてる!かわいい!」
「アハハ、ホントだ!メルクが照れてる!」
冷たい砂漠の上で温かい空間が広がっていた。
ノイト、リーリャ、メルクの3人は馬車に揺られて夕日に照らされる砂漠の上を進んでいた。
「あ、そうだ。ノイトくん、私のことはメルって呼んでいいよ。そっちの方が距離も近くなりそうだし!」
「あ、うん。分かった。」
ノイトは学んだ。余計なことは言わぬが仏。だが、脳内にはツッコミが勝手に浮かんでくるものらしい。
(リーリャにはそのままでメルクで呼んで欲しいのかな...?)
「ねぇノイト、夕日が綺麗だよ!」
リーリャの言葉にメルクが反応してニヤけた。
「へぇ〜、案外積極的じゃん。やるね、リーリャ。」
「えっ!違う、そういう意味じゃ、ない!」
どんどん顔が赤くなっていくリーリャの様子を見ていなかったノイトは気が付いていない。ノイトは夕日を見て考え事をしていた。
(ノルティーク大陸の音楽堂も残すはあと一つ。リーリャの記憶が元に戻ればいいんだけど...。もしダメだったらどうしようかな...?別の大陸まで行くとなると流石に[漢字]時計塔[/漢字][ふりがな]うち[/ふりがな]の掃除を誰かに頼んでおきたいな...。)
「ノイトくん?どうしたの、ボーっと夕日なんか見つめちゃって。顔赤いよ?」
「太陽の光が当たってるからでしょ。」
ノイトはメルクのツッコミのようなボケのようなものに言い返してからそっと自分の顔の温度を確かめる。手に伝わってきた熱はさほど熱くない。本当に太陽の光が当たって赤くみえただけだった。朱に交われば赤くなる、なんてあくまでも諺でしかない。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
ノイトは最初はメルクがやや面倒な人物だと思っていたが、今は違う。メルクが仲間になって変わったものがある。話題が尽きたときでも必ず会話が続くのだ。今まではノイトもリーリャもどちらかと言えば大人しい性格だったため互いに自然風景を眺めることで静かな時間を共有していた。しかし今はメルクが加わったことでリーリャも自分の意見を言うようになり、互いの話をすることで経験を共有している。リーリャの性格が少しずつ変わってきていることに気が付いたノイトの脳内にあることわざが浮かび上がってきた。
朱に交われば赤くなる?そうだね、さっき否定したのは取り消しで。
[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]
やがて夕日は完全に沈み、砂漠に夜が来た。ノイトは夜の砂漠が冷えることを知っていたため、ブランケットを先程闘技場の前で声をかけてくれた商人から買っていた。今はそれを自身の両肩にかけている。メルクが[打消し]一方的に[/打消し]リーリャに語るのに飽き始め、今度はノイトやリーリャからの質問を受け付け始めた。
「それじゃあ今度は私が答える番!どんな質問でもばっちこーい!」
(温度差がスゴい...ここ、砂漠だからか?)
ノイトは2種類の温度差を感じながらメルクに質問をする。
「じゃあ質問。最初は敬語だったのに今はスゴくフランク(で面倒)になってるのはどうして?」
メルクはノイトの質問に大げさなリアクションをして確認をした。
「おぉ〜!それ聞いちゃう?聞いちゃうの?後悔しない?絶対?絶対だよ?!」
「しつこいな...良いから答えるなら答えちゃって。」
メルクは自身の頬に指を添えて何かを思い出しているかのようにしながら答える。
「あ〜、それはね?私が居た組織でなんか敬語を使わないとはしたない女に見られるぞ〜、って言われたんだよ。」
メルクの答えを聞いてリーリャが掘り下げる。
「誰に?」
「ボスだよ。」
その言葉にノイトは思考を巡らせた。
(ボス...アクレウスも口走っていたな。何かの組織があるのは確かだろう。封魔の遺殿の近くの森にいた[漢字]惑霊の御鹿[/漢字][ふりがな]アム・セール[/ふりがな]の洗脳も気になる...。そう言えば、昏迷の森と迷宮都市・モスクルで会った男もまだ見つかった報告がないな...。)
ノイトが考えていることなど知る由もないリーリャは質問を続けている。メルクが夢中になって答えているときにリーリャは寒いからと言ってこっそりノイトが羽織っているブランケットの中に入ってきた。
「その組織ってどんなところなの?」
「ん〜、なんか魔神を復活させて世界を混沌に落とす...みたいな漠然としててよく分からないこと言ってたかな〜?」
メルクの発言がどう考えても貴重な情報であることを実感して、ノイトはメルクを重要な情報源だと捉える。
「メル、お陰でこの先は苦労することも少なくなると思う。ありがとう。」
「え...?何?私、告られたの?」
「違う。」
リーリャは2人の会話に齟齬があるのを感じながらメルクに話しかける。
「私も、メルクみたいに強い人が仲間になってくれて嬉しいよ!話とかリアクションも面白いし!」
2人から感謝され、慣れていないことをされたメルクは顔を赤くして照れた。
「えと...そんな...、どう...いたしまして...?」
紅潮した顔には困惑と喜びが混ざっている。指で髪の左の触覚部分を弄りながら目をそらしている様子は可愛らしい。そんなメルクの様子を見てノイトとリーリャは笑っている。
「あれ?照れてる!かわいい!」
「アハハ、ホントだ!メルクが照れてる!」
冷たい砂漠の上で温かい空間が広がっていた。