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本作は一部を除きフィクションです。
一部を除き、実在する人物、出来事、組織とは関係ありません。

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世界に溢れる夢

#26

26.剣術修行(3)

[中央寄せ]・・・[/中央寄せ]

アクレウスの高速の一撃がノイトに迫っていた。が、ノイトは瞬時に身体の向きを変え、難なくそれを躱す。
[斜体]「なぜ当たらない!」[/斜体]
「...さぁ?」
ノイトはアクレウスの攻撃だけではなく質問も受け流して、無意識的だが見事にアクレウスを挑発している。
[斜体]「俺は本気で戦っているんだ!真剣にやれ!」[/斜体]

「嘘つき。」

その言葉でアクレウスの動きが止まった。
「あなたはヒーローだと称えられるうちに自惚れましたね?今のあなたは街の英雄じゃなくて娯楽のための道具ですよ。」

[大文字]「何だと?」[/大文字]

その瞬間、場の空気が凍る。観客たちの歓声はチャンピオンの突然の沈黙によってなくなり、観客席で観戦していたリーリャは息を呑んで2人の動きに注目する。
「ノイト...大丈夫かな?私のせいで...。」

アクレウスは剣を握る力を強め、次の瞬間にはノイトの眼前まで迫っていた。
[斜体]「!!」[/斜体]

[中央寄せ][大文字][斜体]ズバンッ[/斜体][/大文字][/中央寄せ]
咄嗟に仰け反ったノイトだったが、目の前の空気が全てアクレウスの剣によって切り飛ばされたことに気づいて目の色を変えた。
(さっきよりも速い!!これがこの人の本気か!!普通に空気が切れて聞こえる音じゃないぞ。威力が...)

[中央寄せ][大文字][斜体]ズバンッ[/斜体][/大文字][/中央寄せ]

地面が割れた。幸い、アクレウスの攻撃の角度のお陰で観客席には届かずに済んだが、闘技場のフィールドが豆腐のように切れている。もちろん、ノイトがそのように操作する間もない。
(桁違い...!!)
ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】に魔力を込めると、[漢字]魔霊晶[/漢字][ふりがな]アメジスト[/ふりがな]が青い光を放ち始めた。
(半端にやったら怪我では済まないかもな...やむを得ない。だけど...)
ノイトの目にはアクレウスの顔が映った。怒っているのか、すごい表情になっている。言葉で表現し難い。

[中央寄せ][大文字][太字][斜体]〔[漢字][明朝体]魔力斬[/明朝体][/漢字][ふりがな]マギノ・スラッシュ[/ふりがな]〕[/斜体][/太字][/大文字][/中央寄せ]

ノイトが放ったのは、先日牢獄都市・サラヴァルトを壊滅させた技。それをアクレウスの方向へと飛ばす。観客席に命中しないように上空へと放ったが、アクレウスはどう動くだろうか。

アクレウスはノイトの斬撃を剣で受け止めようとした。が、剣こそ折れなかったもののひどく刃毀れし、上空へと弾き飛ばされる。そのまま落下したら確実に命を落としてしまうため、ノイトは左手の魔具に魔力を込めて闘技場のフィールドの地面を柔らかくする。観客たちがノイトの放った斬撃を、目を丸くして見守っているのは言うまでもない。
しばらくして、アクレウスが落下してきた。予めノイトが柔らかくしておいた地面がクッションとなったため落下ダメージはないようだ。ノイトはアクレウスの生存を確認してから地面の軟化を解除し、ゆっくりと近づいていく。そして、チャンピオンの目の前に来たときに【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】の先を向ける。
「あなたは[漢字]英雄[/漢字][ふりがな]ヒーロー[/ふりがな]じゃないですよ。ヒーローは裏で何かに妥協しているなんて、聞いたことないですし。...僕の勝ちで良いですよね?」
「あぁ...、こりゃあダメだな。君の勝ちだ。」
次の瞬間、観客席がざわめく。
「おい、あいつが負けたぞ」[右寄せ]「あの子強いな」[/右寄せ]
[右寄せ]「えぇ〜あの武器すげぇ」[/右寄せ]
「何だよ、もう終わりか?」
[中央寄せ]「すごかったな!」[/中央寄せ]
「子どもに負けるなんて、ださっ」
[右寄せ]「ねぇ、あの子なんて言うの?」[/右寄せ]

何も言わずにうつ伏せで倒れたまま空を見つめていたアクレウスの目に涙が浮かぶ。
「なんだよ...俺は、チャンピオンだったのに。...だったのに...。」
それを見たノイトは武器を下ろして語りかけた。
「あなたは速かった。ただ、それだけですよ?」
「何が言いたいんだ...。」
「速かった。それだけでも十分でしょう。あなたの速さは僕が先日戦った魔神よりも上でした。流石に世界最速とまでは行かなくとも、その速さは誇れますよ。」
「チッ...せっかく勝ったんだから、もっと勝ち誇れよ。」
ノイトはチャンピオンだった男の言葉を聞いて笑いながら空を見上げて続ける。
「僕はやりたいことをやりたいように生きていくスタイルなんでね。今こうしてカッコつけてるだけで満足ですよ。...ん?」
遥か上空に何かいる。こちらを見ている人型の何か。
(この元チャンピオンの裏にいた誰かか...?)
次の瞬間、その人型の何かが落下してきた。手にはスティレットのようなものが握られている。次の瞬間、虹色の魔力を帯びた黒い五線譜が1本、ノイトの上に伸びてきて、それに向かって落下してきた何かが攻撃をしていた。
(何だ?!リーリャ!!)
ノイトがリーリャの方を見ると、白い手袋を付けてピアノを弾くように指を動かしていた。指先から五線譜が出てきている。
([漢字]幻想の首飾り[/漢字][ふりがな]ファンタジア・ペンダント[/ふりがな]を付ける暇が無かったのか!簡略化された、リーリャの魔法に守られた!)
ノイトは【[漢字]時憶の指針[/漢字][ふりがな]トオクノハリ[/ふりがな]】を振りかぶってスティレットを持っている、全身が黒いローブで覆われた人物に攻撃をした。


作者メッセージ

 作者の御鏡 梟(みかがみ きょう)です。
今回はアクレウスが本気を出しましたが、ムールが作ったノイトの武器とそれを使った魔法には敵いませんでしたね。ちなみにチャンピオンの剣は通常のスパタと同じく青銅や鉄でつくられたものに、鍛冶職人が魔力を込めて補強したものです。どう頑張ってもノイトの武器には敵いません。次回もお楽しみに!!
本作を読んでの感想の他、キャラクターや世界観についての質問も受付けています。
本作品を読んでいただき、ありがとうございました!!

2025/11/09 13:11

御鏡 梟 ID:≫ m9kR/WFBrng.A
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